乾燥が厳しくなる冬が差し迫ってきた今、注意が必要なのが爪のトラブルだ。
ここ数年はコロナ対策のアルコール消毒でさらに乾燥が進み、手荒れや爪割れの患者が増えているという。

「神楽坂 肌と爪のクリニック」野田弘二郎院長に、爪トラブルの原因と予防法を聞いた。
女性に多い「二枚爪」や「ぜい弱爪」
――湿度が下がり乾燥してきているが、どういった症状の患者が増えている?
ここ3~4週間ですが、肌のカサカサ、あるいは爪が割れたという患者が増えています。
原因としては、外気の乾燥が非常に大きいですが、ここ数年はコロナの流行とともにアルコール消毒を皆さん頻回にされるようになり、皮脂といって体の表面をバリアとしてカバーしている“油”が失われることによって、乾燥の症状が加速していくことがあります。

アルコール消毒でさらに乾燥が進み、手荒れや爪割れが悪化してしまうケースがあると指摘する野田院長。患者の多くに見られるのは、「二枚爪」や「ぜい弱爪」といった症状だという。
――実際にどういった症状がある?
爪の症状に多いのは「二枚爪」といって、冬場に特に女性に多く、水仕事が多い方を中心に爪の先端部分が剥がれるようになっていってしまう。
あるいは、「ぜい弱爪」といって、かけたり、割れたり、ひびが入ったりする患者さんが増えています。

――患者の年齢層は?
若い方は割と少ないですが、やはり中年以降の方で、お仕事上水を使うとか、あとは小さな赤ちゃんがいて手をよく洗う方は悪化しやすいです。
女性は元々爪が薄くて弱いというのもありますが、水仕事をされる主婦の方はどうしても石鹸とかでアルコールと同じように皮脂が奪われやすくて症状が進みやすいです。
ハンドクリームなどこまめな保湿ケア
秋口から春先にかけて急増する爪や手のトラブル。治療にはこまめな保湿が重要だという。
――二枚爪やぜい弱爪の治療法は?
やはり外気の乾燥や皮脂が奪われる状態なので、頻回に保湿をすること。
これは保湿剤を使ったり、あるいは、お持ちのハンドクリームを塗っていただくのですが、アルコール消毒をしないわけにはいかないので、保湿剤を持ち歩いて、その都度つけるということです。
爪じゃなくても手が荒れちゃうという方も多いです。

爪の付け根のあたりが腫れたり、関節部が切れたりして痛かったり痒かったり、あるいは、ひどくなった爪が凸凹してきたりする患者さんなど、やはりこの季節は症状が悪化しやすいです。
また、「手湿疹」も乾燥によって起こります。

紙とか布を扱う職業は手湿疹の症状が出やすいです。
しょっちゅう触っていると皮脂が奪われやすいんだと思いますが、一日中何百枚の紙を扱っている方にはこういった症状が出やすいと感じています。
“手袋”で保温、保湿
――手荒れの予防法は?
予防法としては、保湿を頻回にすることと、症状が進んでしまった場合は速やかに皮膚科で相談していただくことです。
あと、患者さんにお勧めしているのが“手袋”です。
手は外気にさらされて、非常に乾燥しやすく痛みやすいので、手袋で保温、保湿をしていただくと予防効果が高いです。
また、飲食業の方は一日に何十回も手洗いをされます。
お料理をしながらハンドクリームを塗ってしまっては食材が触れなくなってしまうので、できる範囲で料理の時もお皿を洗う時も手袋をして、自衛するのが大切です。

――加湿器や洗濯物を部屋の中に干すことは効果ある?
室内の湿度を適切に保つためには効果的だと思いますが、それだけではやはり不足していると思います。
一番良いのはハンドクリームや保湿剤をキッチンやベッドルーム、リビングなど家中に置いて、目に付いたら手に塗るぐらいしょっちゅうつけてちょうどいいと思います。