中国のIT大手、アリババグループが13年前にネット通販の普及のために始めた「独身の日セール」。インターネットの生中継で商品を売り込む「ライブコマース」など市場規模が拡大した。一方、経済の減速などから撤退する企業も相次いでいる。

11月11日は中国では「独身の日」 

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中国では、「1」の数字から「ひとり」が連想されることから、「独身の日」と呼ばれ、インターネット通販で大セールが行われている。

「独身の日」にはネット通販の大セール

記者リポート:
独身の日当日に向けたセールスが始まりました。売り上げがカウントアップされていきます

歯ブラシや歯磨き粉でおなじみの大阪の企業「サンスター」も、この一大イベントに参加。セールが始まると同時に売り上げがぐんぐん伸びていった。

独身の日に合わせて多くの企業が力を入れているのが、インターネットの生中継で商品を売り込む「ライブコマース」。サンスターでは今年、アジア地区のトップ、吉見執行役員が自ら出演して、日本でおなじみの「オーラツー」シリーズを紹介。そのあとは若いネットアイドルたちが、場を盛り上げる。

中国のインフルエンサー トウさん:
すごくすごくお勧めです。まずご紹介したいのは、僕が日常使っているマウスウォッシュです

今後の中国の少子高齢化を見据え、口の健康の大切さを伝えるために、このライブコマースはいい機会のようだ。

サンスターグループ 執行役員 アジアエリア消費財事業本部長 吉見普さん:
(中国は)人口が多くて、お口の数が多いということもありますが、これからもっともっと健康に気を使うことが中国でも起こっていくと思いますので、非常に可能性があるマーケットと感じています

中国のIT大手、アリババグループが13年前にネット通販の普及のために始めた「独身の日セール」。中国政府の統計によると、2021年の中国国内でのライブコマースの市場規模は、40兆円を超えたということだ。

撤退する企業も相次ぐ

一方で、ライブコマースの施設が集まる街の一角では過酷な現実も。

記者リポート:
こちらには立ち入りを禁じる紙が貼ってまして、中は入れないようになっています

業者は:
コロナの影響と業者乱立で、競争は激しくプレッシャーも大きい。隣の建物にもかなりの業者がいましたが、今年みんな出て行きました

業者が乱立して過当競争になったことや、厳しいゼロコロナ政策によって経済成長が減速し、物流も滞っていることなどが影響し、企業の撤退が相次いでいるのだ。

中国企業の信用情報サイトによると、今年既に7800社以上がライブコマースの事業から手を引いたというデータもある。発展し続けてきた中国のライブコマースは今、光と影の両面をあわせ持っている。

(関西テレビ「報道ランナー」11月11日放送)

関西テレビ
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