とどまることを知らない値上げの波。

そんなこの冬。洋服のリユースが注目を浴びている。

"タンスの肥やし"になっていた古い服も、手を加えると大変身。洋服代の節約やSDGsにもつながるという。

「洋服お直しのお店」は今、大忙し。

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どんな人がどんな服を直しているのだろうか?

店員:
縫いこんでしまうと裏地が小さくなって破れやすくなるので、裂ける原因になる。別の裏地になるが、布をあてるのが良い

使い続けて8年間、大切なコートの修理をしようと女性が持ち込んだのは、札幌三越3階にある服のお直しの専門店「札幌三越リフォームブティック」。

裏地が擦れて薄くなり破れてしまったため、裏地を張り替えることに。

利用客:
高校の時からずっと着ている。これは母からの誕生日プレゼントなので

フォルムアイ 藤木 香奈子さん:
裏地の“マチ”が入りますので6050円になります

この店の系列店は全国に約250店舗。

札幌市内では各デパートに支店を持ち、洋服の"お直し"を行なっている。

フォルムアイ 吉岡 二士雄さん:
物価がだんだんと上がっていることもあり、新しい服を買うよりも昔の服を直したほうが経済的という事でお直しする客が多い

物価の上昇が止まらない中、冬物の買い控えをする消費者が洋服の"お直し"に注目をしているようだ。

赤ちゃん連れのこの女性は、修理を依頼していたカーディガンを受け取りに来た。

客の女性:
引っかかって穴が小さく開いていたので直してもらった。今年買ったばかりだったので

カーディガンの小さな“ほつれ”を直すのは2750円だ。

「洋服リユース」へ回帰

忙しい冬を迎えたお直し業界。

実は2000年代にファストファッションが流行して以降、厳しい環境が続いていた。

その流れを変えたのはフリマアプリの流行。

個人間の洋服の取り引きが活発になり、中古売買市場の規模も年々大きくなっている。

業界ではリユース市場の拡大に期待をかけている。

フォルムアイ 藤木 香奈子さん:
いつからか服が消耗品になってしまいましたが、本当は違うと思う。好きで買った服が圧倒的に多いと思うので、直して大事に着たいという思いが時代にもあっている。"サステナブル"という意味では

買うよりも"安く済む"というだけでなく、"思い入れのある大切な品物をこれからも使いたい"と持ち込む客も多いそう。

フォルムアイ 藤木 香奈子さん:
50年前に作られたオーダーメイドのコートをとても気に入っているということで今回お直し。少し体形が変わられたということなので、全体的に身幅を大きく着丈・袖丈もできるだけ長くします

2023年1月に閉店する帯広の老舗百貨店・藤丸で50年前に作られた一点物のオーダーコートはまだまだ活躍しそうだ。

フォルムアイ 高尾 絵里さん:
去年、裏地を取り換えたコートですよね

札幌大通公園沿いにある本店に50代の男性がコートを持ち込んだ。

利用客の男性:
裏地はきれいにしたのでここだけ気になって

フォルムアイ 高尾 絵里さん:
ボタンホールは一度ほどき、裏地をそっくり取り換えて補強をした上で再度ボタンホールを入れなおす

利用客の男性:
来年で20年になります。これと同じ物が出てこないので。買った時にもこだわりがあった。人と被るのが嫌で

20年前に12万円で購入し、これまで5回修理し使い続けてきたという。

今回の修理では、生地が薄くなっているボタン周りの裏地を貼り替えてボタンホールを付けなおし、全体的なほつれも直すことに。

フォルムアイ 高尾 絵里さん:
大事にしている気持ちは伝わってくるので、できるだけきれいにお直しできたら

受付から約2週間。20年間愛用されてきたコートが生まれかわった。

ここまで大きな仕事となると、技術料などを合わせて35000円ほどになる。

その仕上がりは?

利用客の男性:
すごくきれいですね。いつもながらに。思った以上です

思い出の品を大切に…。この冬をきっかけに服も使い捨てからリユースに変えてみては?

北海道文化放送
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