スマホゲームやアニメで人気の「ラブライブ!」。舞台となった場所にファンが大勢訪れる「聖地巡礼」で有名だ。来年春にリリースされる最新作の舞台に金沢が選ばれた。アニ​メなどの舞台を訪れるいわいる“聖地巡礼”によって地域に何が起きるのか。県内の事例を取材した。

聖地巡礼で人の呼び込みに成功

湯涌温泉 ぼんぼり祭り
湯涌温泉 ぼんぼり祭り
この記事の画像(36枚)

10月22日、石川県金沢市の湯涌温泉で行われた第10回ぼんぼり祭り。3年ぶりに開催されたこの祭りに全国から多くの人が集まっていた。

祭りの最後を飾るのはおたきあげ。人々の願いを込めた「のぞみ札」が幻想的に燃え上がった。

お焚き上げの様子
お焚き上げの様子

訪れた人:
感動しています、涙出ました。

訪れた人:
原作通りという感じで非常に幻想的で美しい。

実はこの祭り、この地域に昔から伝わる祭りではない。

2011年に放映された湯涌温泉を舞台にしたアニメ「花咲くいろは」

祖母の経営する温泉旅館で働くことになった東京生まれの女子高生、松前緒花の成長を描いた物語で、そこで描かれている祭りがぼんぼり祭りなのだ。

ファン:
アニメだとここに大きな石の階段が。

舞台となった湯涌温泉にはアニメが終わっても今なお多くのファンが訪れている。いわゆる聖地巡礼だ。

東京から来たファン:
ここでね主人公がお祈りしてるんですよ。
記者:
同じようにお祈りされてましたが?
東京から来たファン:
言葉にできないけどその場にいるんだなってなりますよね。

岐阜から来たファン:
放映当時からずっと来ている。聖地巡礼も何回も来ているし花咲くいろはがあったからここに来る。

「聖地巡礼マップ」サイトも登場

これは「聖地」をネット上でファン自らが登録することができる聖地巡礼マップ。その数は年々増加し全国で約5000カ所、石川県内では60カ所が登録されている。

サービスを運営する会社によるとアニメの聖地は地方に広がっていて、7年前と比べると東北地方では6倍、北陸・信越地方でも3倍に増えているそうだ。

聖地巡礼マップを運営するディップ執行役員 進藤 圭さん:
アニメの世界の中に入れるっていうのはファンにとって大きな魅力。それを通じて石川県行ってみようか聖地だしっていうタイミングが作れたり、誘客した先にグッズ作ったりっていうものを売るっていう売り上げとか産業がついてくる。

先ほどの「ぼんぼり祭り」。本番当日に行ってみるとなぜかながーい行列が…数えてみると…300人以上はいる。

ながーい行列ができていた
ながーい行列ができていた

記者:
何時から並んでいる?
東京から来た先頭に並ぶファン:
きのうの夜10時から並んでいる

実はこれ、アニメのグッズを買い求めるファンの行列だ。販売開始12時間前から並ぶ熱狂的なファンもいるこの作品。グッズはまさに飛ぶように売れていた。

三重から来たファン:
1万8000円買った。

群馬からのファン:
3万5000円分買った。僕が花咲くいろはを知ったのが中学1年生の時で、見始めて8年くらい経つ。活力にさせてもらっている。

聖地巡礼の火付け役となったアニメ「らき☆すた」の舞台、埼玉県・久喜市ではアニメが始まるとファンが押し寄せ10年で31億円の経済効果があった。

花咲くいろはが放送された2011年は東日本大震災が発生し、湯涌温泉でも多くのキャンセルが出たが…

湯涌ぼんぼりまつり実行委員会 山下新一郎委員長:
どうなるかと思っていたところに花咲くいろはのお客さんが訪れて、全国でもほぼないと思うが2010年度比でプラス成長だった。やはり花咲くいろはの舞台になったことが大きく起因していると思う。

経済効果の一方でトラブルも…

そんな経済効果の一方、過去に地元とトラブルになったケースもあるようで…

聖地巡礼マップを運営するディップ執行役員 進藤 圭さん:
(人が増えると)車がたくさん来るようになって駐車場が必要になるとか、道の駅で泊まる人が出てくるので防犯の警備の費用がかかるとか、聖地として描かれるところは色んなものがあって鉄道とかの入っちゃいけない所も描かれるそういうマナーとか迷惑の問題は必ず発生する。

人気アニメの「ラブライブ!シリーズ」では今年8月、勘違いによる聖地巡礼で公式サイトが注意喚起をするケースもあった。すべてがバラ色…というわけにはいかないようだ。

それでも地域は「聖地巡礼」に期待

こうした中、今、地域を挙げて期待しているのが…

不眠症、インソムニアに悩む高校生2人が学校の天文台で出会い、一緒に過ごしながら悩みを解決していくこのアニメ。七尾市を舞台にしたマンガ「君は放課後インソムニア」だ。森七菜さん主演で来年、映画が公開。アニメも放送予定だ。

来年は実写映画も公開
来年は実写映画も公開

物語の鍵となる天文台は石川県立七尾高校がモデル。地元の生徒も期待をよせている。

モデルとなった石川県立七尾高校
モデルとなった石川県立七尾高校

七尾高校の生徒:
普段自分たちが研究とか単純に星見るために使ってる場所が漫画の舞台にされていてスゴイ。

マンガで描かれた場所に行ってみると…再現度の高さが伺える。

漫画の1シーン
漫画の1シーン

七尾市の一本杉通り商店街では、漫画の1場面を再現しインスタグラムに投稿したところフォロワーが200人ほど増加、閲覧数も約3倍になった。

一本杉商店街の再現
一本杉商店街の再現

七尾まちあるきセンター・中央茶廊 店主 窪丈雄さん:
七尾の人間じゃないと分からない場所であったりここが実は載っているんだよってお話させてもらうと喜んでもらえる。

こちらは七尾市内のコーヒー店。店主の窪さんが代表を勤める、七尾まちあるきセンターではファンと一緒に聖地をめぐる聖地巡礼ツアーを行っている。

七尾まちあるきセンター・中央茶廊 店主 窪丈雄さん:
うちの店がこれなんですけどその横に私がしれっと映っています、聖地とは行かないですけど登場しているお店。一コマで来てくれる人もいる。

聖地巡礼マップを運営するディップ執行役員 進藤 圭さん:
ファンの方が望まれている形で(聖地を)作らないと人が来ないので、ファンと話す時間を作る。リスク・デメリットもあるので(地元に)アンチがわかないように、地元と会話をすることがおススメです。

経済効果と迷惑は紙一重。聖地巡礼をうまく町おこしにつなげるために、作品とその地域そのもののファンを作ることが重要だ。

聖地巡礼で活性化した湯涌温泉
聖地巡礼で活性化した湯涌温泉

(石川テレビ)