最新のオリコンチャートが発表された。実はこの上位10曲の中に「ゼロイントロ」と呼ばれる現象が起きている。

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上位10曲のうち4曲が“ゼロイントロ”

最新のオリコン ストリーミングランキングの1位を飾ったのはドラマ「silent」主題歌、Official髭男dismの「Subtitle」。

“ゼロイントロ”とはどういうことなのか?実際にこの曲を再生してみると、曲がスタートして直ぐに歌が始まった。つまり「イントロが0秒」。そして、同ランキング6位のYOASOBI「祝福」も“0秒イントロ”。

最新のランキング上位10曲をすべて計測してみると、10曲のうち4曲が“ゼロイントロ”。歌い出しまでの平均はわずか6秒だった。

一方、CD全盛期でミリオンヒットが相次いだ1995年のオリコン年間シングル トップ10を聴いてみると…。

1位のDREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」は歌い出しまでに23秒。そして、1番イントロが長かったのは、10位のB'z「LOVE PHANTOM」で1分19秒。

1995年の年間シングルランキングTOP10のイントロ平均タイムは26.5秒。最新曲のTOP10の6秒と比べると約4.5倍の長さだった。

若い世代にイントロについて聞いてみると…。

18歳男性:
今はサビの部分でドカーンとくる曲が増えてると思うんですけど、そういうのが早く来ないと、もうさっさと次の曲にいっちゃって…。

17歳女性:
私は結構(イントロが)ない方が好きだったりしますね。

イントロは「短いほうがいい」という声が多く聞かれた。

一方、“0秒イントロ時代”の到来にCD世代からは。

40代女性:
曲の世界観の前兆みたいな感じがして、イントロがあるほうが私は好きですね。

40代女性:
「UFO」のイントロ、あぁいうの良いですよね。やっぱ昭和世代はイントロ必要ですよ。

50代女性:
小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」とかを聞くと、その頃の自分の恋心みたいなものを思い出しますね。答えてて恥ずかしいけど(笑)

サブスクの影響? 福山雅治・高見沢俊彦も言及

なぜイントロが消えつつあるのか、シンガー・ソングライターで音楽プロデューサーの臼井ミトン氏に聞いた。

シンガー・ソングライター/音楽プロデューサー 臼井ミトン氏:
サブスクの配信サービスで音楽が聞かれるようになったことが、すごく要因として大きいんじゃないかと思っていて。イントロ聞いて「あんまり好みじゃないな」と思ったら、みんなすぐに次の曲にスキップしちゃうんですね。

シンガー・ソングライター/音楽プロデューサー 臼井ミトン氏:
音楽を作る側としては、なるべくスキップされないように、その曲の一番魅力的な部分、なるべく曲の一番おいしい部分を先に聞かせてしまおうって、そういう強迫観念みたいなものを音楽業界全体が持ち始めてしまったのかなっていうイメージがありますね。

臼井氏によると、サブスクの場合は30秒くらい聞かれないと“1再生”としてカウントされないという。例えば10秒、15秒くらいで飽きられて別の曲にスキップされてしまうと、お金が入ってこない。つまり、スキップさせない手段の一つとして、イントロのない曲が増えてきたという。

若い世代では、動画を倍速で見たりなど、いわゆるタイパ(=タイムパフォーマンス)を意識する人が増えてきた。この現状に対し、歌手で俳優の福山雅治さん(53)はラジオ番組「福山雅治 福のラジオ」でこう語っていた。「イントロをスキップされると寂しいか?」という質問に対して…。

福山雅治:
スキップされるようなイントロを作っているからダメ。スキップさせないぞっていうイントロを作ればいいだけの話。

一方、570本ものギターを所有するギタリストでもあるTHE ALFEEのの高見沢俊彦さん(68)は、「イントロがなくてすぐ歌だと、ギタリストとして何をやっていいかわからない」と困惑しながらも「時代は巡るので、いずれまたイントロが長い時が来る。それまで待つ」と話している(「高見沢俊彦のロックばん」より)。

今後、音楽はどのような形に変化していくのだろうか。

(「イット!」 11月11日放送)