日本損害保険協会は毎年、事故の多い交差点をランキング形式で発表している。その結果がこちら。2021年、最も事故が多かったのは、「仙台バイパス六丁目交差点」の9件だった。こちらは、10年連続13回目のランクインと長い期間にわたって事故の多い交差点として知られてきた。なぜ対策が難しいのか?報道ライトアップ、今回は「危険な交差点」を特集します。

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“危険な交差点”なぜ事故が多い?

近くに住む人:
六丁目交差点を渡るのは自転車も怖いです、乗るのが。救急車がしょっちゅう行き来しているから、事故が多いんじゃないかなとは思っていました

10車線ずつの道路が交差する、仙台バイパス六丁目交差点。国道4号と県道がXの形で交差し、右折や左折の専用レーンも複数設けられている。自動車学校の協力のもと、この交差点を実際に車で走行してみると…。

記者:
一気に、右折・左折、車線が増えるが、ドライバーの方は、おぉ…となりますか?

日の出自動車学校 武田学さん:

慣れていないと、うわ、この車線じゃなかったとかある。(左折レーンは)横断者注意となっていますし、ここになぜ一時停止が付いているのか、など考えながら曲がっていただきたい場所ですね

右折レーンが最大3つあるこの交差点。自動車学校の教官もその難しさを感じていた。

日の出自動車学校 武田学さん:
自動車学校の生徒も緊張して、これだけ大きい交差点に入りますので、入る前から目配りをしてもらったり、準備は余裕を持ってしてもらっています。普段、落ち着いて運転される方も、やはり右折となると慌ててしまう、前の車に付いていかなくてはいけないなど、そういった心理作用も働いてきます。信号が変わってもスピードを上げれば行ける、という心理は働いてしまいやすいので…

日本損害保険協会によると2021年、この交差点で発生した事故は9件。右折に関連した事故は合わせて3件で、左折事故は4件だった。それぞれに専用レーンが設けられているものの、交通量が多く、人や車と衝突するケースが後を絶たないという。

日本損害保険協会東北支部 生駒新一 事務局長:
直角の十字路ではないというのが1つ、事故の多い交差点の特徴だと思う。それに加えて、複数車線というのが事故の要因の1つかなと思います

日本損害保険協会によると、統計を始めた2008年から2021年までに、宮城県内の交通事故件数は1万件から半分以下に減った。

一方で、交差点での事故の割合に大きな変化はなく、依然として半分を占めている。なぜ、交差点で事故が多いのか?交通工学の専門家は次のように話す。

埼玉大学理工学研究科 久保田尚 教授:
それほど数としては多くない交差点で、交通事故としては半分も起きているということは、交差点で事故が発生しやすいということ。対策はそれぞれその場所で全然違ってくるが、1つは見通しを良くして注意すべきことを、ちゃんと認識できるようにすること。あるいは、車、人、自転車が錯綜しないように、なるべく空間を分けていくこと

事故を防ぐ 3つの改善策

ドライバーが見やすく、空間を分けて、事故を防ぐ。宮城県警と仙台河川国道事務所は、すでに対策を始めている。改善策は大きく3つ。
1つ目は信号機の改良。国道4号を直進する車と右折する車が交わらないよう、走行できるタイミングを完全に分けた。

2つ目は左折車の対策。歩行者に注意を促す表示のほか、草木を伐採し、見通しをよくした。

3つ目は追突事故の対策。路面表示のほかにも、車線にドットラインをひき、スピードの出しすぎを防ぐようにした。

仙台東国道維持出張所 表康弘 所長:
通る人に注意喚起の意味で、視覚的に注意を促す効果があるのでやっている

2020年12月に始まった対策工事は2021年2月に完了。2021年も残念ながら事故が最も多い交差点となったが、対策の効果は出てきているという。
県警によると、仙台バイパス六丁目交差点の事故件数は、2020年3月から2021年2月までは12件だったのに対し、2021年3月から2022年2月までは7件と6割ほどに減った。

仙台東国道維持出張所 表康弘 所長:
事故件数的には若干減ってきているので、効果はあるのかなと。2021年やったばかりなので、これからもっと減っていくと思っている。

一方、事故が多いのは「六丁目交差点」だけではなく、ハード面の対策には限界があるのが現状。事故を防ぐためにできること。運転指導のプロが呼び掛けるのは、ルールを守った余裕のある運転だ。

日の出自動車学校 武田学さん:
ドライバー・歩行者ともに「いるものだ」「来ているものだ」と「かもしれない運転」を心がけていただいて、交通ルールを守って危険予測をすれば、事故は減っていくと思う

(仙台放送)

仙台放送
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