北海道札幌市では、10月から札幌駅前のバスターミナルが閉鎖され、停留所が各地に分散されたが、変更はこれだけではない。
2024年4月から運転手の労働規制が強化されるのに備え、北海道内の複数のバス会社が減便などのダイヤの改正に踏み切っている。
バスダイヤ改正「減便」も
釧路市を中心に運行しているくしろバス。10月からダイヤを改正し、あわせて43便を減便、3路線を廃止した。理由は運行の効率化と運転手の休息の確保のためだ。
この記事の画像(6枚)「利用したい時にバスがないのはやっぱり困る」(バス利用者)
「減便は仕方がない。時代かなと思っている」(バス利用者)
労働規制の強化
国はバスの運転手の労働環境を改善するため、2024年4月から年間の労働時間の上限を引き下げ、退勤から出勤までの休息時間も現在の8時間から11時間を基本とするなど、規制の強化に乗り出した。
くしろバスでは規制を見据え、利用者が多い朝のダイヤの勤務に影響が出ないよう、最終便を30分~1時間ほど早めることにした。
「乗務員の安全面に関しては、事業者として取り組まなければならない」(くしろバス 乗合事業部営業課 石岡勝巳さん)
利用者への影響を少なくするためには、運転手の確保が欠かせない。
しかし高齢化やコロナ禍などを背景に、北海道内のバス運転手は最盛期の30年前と比べ、約3割減少。厳しい状況が続いている。
「乗務員の人繰りや配車上で厳しい部分が出てくるのは事業者の悩み。さらに踏み込んだ減便などダイヤの見直しをしていかないと、この先の安定したダイヤの維持は厳しいのかなと思います」(くしろバス 石岡さん)
運転手確保へ 説明会を開催
そこで、バス業界に興味を持ってもらい運転手の採用につなげようと、札幌では9月30日、11のバス会社が集まり、合同採用説明会が行われた。
「バスを運転して客を運ぶ、やりがいのある仕事だと感じている」(説明会への参加者)
今後も北海道各地で説明会が開かれる予定で、運転手を確保し、利便性を保ち続けることがどこまでできるのか、注目が高まっている。
間近に迫る“2024年問題”
ダイヤ改正に踏み切ったのは「くしろバス」だけではない。
「ジェイ・アール北海道バス」も10月1日から、運転手の休息時間確保のため、最終便を繰り上げている。
さらに「北海道中央バス」は、通常の12月か来春にあわせてダイヤ改正を予定している。
運転する側の労働環境の改善はもちろん大切だが、公共交通機関の利便性とのバランスも大切。
“交通弱者”の利用が多い路線バスをどう維持していくか。
行政も含めた検討も必要になりそうだ。