体験を通して新しい暮らしを提案する、“体験型”のホームセンターが、東京・恵比寿にオープンした。

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道具を試して練習も オシャレスポットにDIY専門“体験型”ホームセンター 

11月8日、「恵比寿ガーデンプレイス」の三越跡地に、商業施設「センタープラザ」がグランドオープン。そこに登場したのが、ホームセンター「DCM」が手がける、DIY専門の体験型ホームセンター「DCM DIY place」だ。

防音材やキッチン収納など、都市部ならではの悩みを解決するラインナップが充実。塗料や壁紙などDIYに必要な商品が多いのはもちろん、インスピレーションが広がる参考ブースもある。

貸し出し用スペース。自宅では使いにくい物を含め、様々な道具を試せる
貸し出し用スペース。自宅では使いにくい物を含め、様々な道具を試せる

さらに貸し出し用スペースでは、自宅ではなかなか使いにくい、音の出る電動工具や塗料などの様々な道具を試せる(1000円以上の購入で4時間無料)。

店員のアドバイスを受けながら、壁紙の張り替えも練習する記者
店員のアドバイスを受けながら、壁紙の張り替えも練習する記者

ほかにも、DIYが得意な店員のアドバイスを受けながら、壁紙の張り替えや塗装の練習ができるコーナーも設けられている。

なぜ都市部に、体験型のDIY専門店をオープンしたのか。
賃貸が多い都市部ではDIY未経験者が多いが、DCMは、一度店で体験することで、新たな顧客を開拓出来ると見ている。

DCM DIY place・坂根健太郎 店長:
一軒家だったら解決できる悩みが、“あ、自分でもこれできそうじゃん”とか、アパート・賃貸だと自分には関係ないと思っていたDIYが、賃貸向けにもこんなに便利なDIYがあるんだということを知ってほしい

また同じフロアには、ファッションブランド「THE NORTH FACE」などを展開するゴールドウィンが、サステナブルなキッズ製品を扱う店舗「PLAY EARTH KIDS」を初出店。
フリースやジャケットなど、着られなくなったキッズ製品を買取って手直ししたリペア商品や、“一点もの”の製品として作り直したアップサイクル商品を販売している。

それだけではなく、DCMとコラボした木を感じられる音の遊具「Sound Playground」を外に設置。木のボールをたくさん入れたボールプールのようなものや、木琴のように音が鳴る木で出来た柵などが設けられた(11月8日~13日までの期間限定)。
子供たちが体を使って自然の音を体験できるだけではなく、恵比寿で、新たな人々が集まる拠点となることを目指す。

ライフスタイルが多様化する中、“体験”を通して新たな過ごし方を提案する。

こだわりをカタチに 若者中心に“自分で手を加える余地”を歓迎傾向

Live News αでは、マーケティングや消費者行動を研究されている一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子(すずき さとこ)さんに話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
体験型ホームセンター、どうご覧になりますか?

一橋ビジネススクール・鈴木智子 准教授:
恵比寿ガーデンプレイスという東京のおしゃれスポットに、目利きのバイヤーがセレクトした商品が並ぶ百貨店に代わって、自分で手を加えて「こだわり」をカタチにしていく体験型ホームセンターが出来るのは、時代の流れをよく表しているのではないでしょうか。
いま若い世代を中心に、企業からの一方的な商品提案よりも、自分で選ぶ・あるいは自分で手を加える余地があることを歓迎するようになっています。
それは住まいに関しても、そうです。在宅時間の増加によって、Do It Yourself、つまりDIYのニーズが高まっています。DIY=日曜大工と思われがちですが、実はDIYというのは住まいと暮らしをよりよいものにするために、自らの手で快適な生活空間を創造することを言います。

ーー専門の業者の方にお願いしたり出来上がったものを買ったりするよりも、費用を抑えられるメリットもありますよね
確かにそれも大きな理由の一つではありますが、Googleが行ったDIYに関する調査によると、お金の節約を優先している方は38%に過ぎません。DIYは「自分でやってみたい」という好奇心や「こだわり」の実現だったりします。
ただし素人作業ゆえ、失敗はつきもの。そこで今回のような、壁紙の張り替えや収納棚の取り付け、こういった体験ができるホームセンターのニーズは高いのではないでしょうか

ーーちょっとした部屋のアレンジでも、自分が手を加えてやった場合、愛着や満足感が高まるように思います
実は、自分で「ひと手間」加えることでユーザーの満足が高まるのは、マーケティングの王道でもあります。
例えば、水を加えるだけで出来上がるホットケーキミックスの売上げを伸ばすために、冷蔵庫の卵を混ぜるという「ひと手間」を追加したら売上げが急増した、という有名な成功例があります。
これまでホームセンターは、一部のDIY好きの方や、何か必要がある場合に店舗に足を向ける方が多かったですが、今回のような体験型ホームセンターが広がるとブランド・ロイヤルティが高まり、自分の「こだわり」をカタチにしてくれるパートナーとして、大切な場所になっていくのではないでしょうか

三田友梨佳キャスター:
いまネットでなんでも完結できる時代ですが、リアル店舗ならではの体験型ストアで、DIYをより身近に感じられそうです

(「Live News α」2022年11月7日放送)