69年ぶりに戦艦大和の大砲を削りだした大型旋盤が大和をつくった広島県呉市に戻った。その費用はクラウドファンディングで予想を上回る、およそ2億7000万円を集めた。兵庫県から船で運んだその運搬作業に密着した。

戦後は日本の造船業を支えた大型旋盤

兵庫県播磨町の工場でその時を待っていた一台の工作機械。

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加藤雅也アナウンサー:
見えますね!戦艦大和の主砲を削った旋盤が、この目でしっかりと確認できます。やはりこの円形の部品、大きいですね、近くで見ると遠目で見たときよりも迫力が増します

戦艦大和の当時世界最大級の口径46センチの主砲身。旧日本海軍 呉海軍工廠の砲身工場でこの主砲を削り出したのがドイツ製の大型旋盤「15299機」。

大型旋盤を寄贈した船舶エンジン会社「きしろ」担当者:
いまそちらに新しい機械があるところが、今回の大型旋盤が最後にあった場所

終戦後の1953年に神戸製鋼に払い下げられ、その後、こちらの船舶エンジン会社に移ってからも、エンジンの力をスクリューやプロペラに伝える回転軸などの製造に使われてきた大型旋盤。現役を引退し大和ミュージアムにとっては開館当初からの悲願となる寄贈が決まった。

そもそも、大型旋盤とはどのような機械なのか。今回寄贈される旋盤と同型のものを見せてもらうと…

加藤雅也アナウンサー:
少し高い位置から稼働している旋盤を見てみると、削る部品の大きさによるところもあるとは思いますが、それでもこの旋盤のスケールを感じます。ロマンがありますね

大型旋盤を寄贈した会社の担当者:
日本の産業界を支えていた機械に我々も関わることができて非常に光栄です。安全な作業をしててほしい。じゃあ、かかろうか!

加藤雅也アナウンサー:
いまゆっくりとクレーンで吊り上げていきます。遠くから見ているだけでもその重量感を感じます。

これから、このクレーンの上の部屋から見せてもらえるということで…
地上から見るのとでは全く違う印象を受けますね。大きな歯車のような部品が所狭しと敷き詰められている、そんな印象を受けます

クラウドファンディング寄付者らが“出迎え”

重さ160トンの旋盤を9つに分解し、部品をクレーンで次々と搬出。

寄贈した「きしろ」松本好隆社長:
Qこの旋盤を通してどういったことを感じてほしい
戦後、平和産業に貢献してきた機械ですから、これで日本の造船を支えたということを感じてもらえたらうれしい

加藤雅也アナウンサー:
運搬船のデッキへとやってきました。格納部分の深さが約5.7mということで高さを感じる。

旋盤はクレーンで運搬船へ
旋盤はクレーンで運搬船へ

パーツの周りに木枠が見えるがあの木枠を設置することで揺れないように固定する、そのサイズを計算して組み立てていく作業なんですね

木枠で部品を固定
木枠で部品を固定

そして11月2日。船は呉港に到着。
鈴木崇義記者:
いよいよ当日を迎えましたが、あちらには、今か今かと、その瞬間を待つ人たちの姿も見えます。

鈴木崇義記者:
そして今、こちら陸揚げするための船も近づいてきています

実は大型旋盤とともに戦艦大和の建造に関わったと言われるこの船での陸揚げ。

広島県外から来た人A:
当時のものが残っているなんてそれも驚きですけども
広島県外から来た人B:
いやもう感動以外の言葉はないですね。クラウドファンディングもやったので、是非ともしっかりこの目に焼き付けて帰りたいと思いまして

クラウドファンディングでは予想を上回る、およそ2億7000万円の輸送・設置資金が集まり、実に69年ぶりに呉への”帰還”が実現した。

大和ミュージアム学芸課・兼光賢 課長:
呉港の景色をバックに実物が据えられたことを見ると、やっぱり感慨深い

この大型旋盤は、呉の大和ミュージアムで2023年3月に一般公開される予定。

(テレビ新広島)

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