島根県内に自生している植物「クロモジ」。和菓子に添えられる楊枝の材料としておなじみだが、「国産ハーブ」として注目され、健康食品などへの利用も始まっている。
この「クロモジ」を島根ならではの観光資源として生かそうと新しい体験ツアーの取り組みが松江市で始まっている。

島根ならではを追求した体験型ツアー

日本海を望む松江市島根町。海水浴場近くにぽつんとたたずむのはテントサウナ。次々と人が入ってくる。

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参加者:
気持ちいいです

島根ならではの体験ができる新しいツアー。この日は、実施に向け課題を探るため6人のモニターが実際にツアーを体験した。

このツアーのコンセプトは…

嶋村采音アナウンサー:
森林の香りが広がります。実はこちらクロモジというハーブを抽出したものなんです

本州などに広く分布する「クロモジ」。島根県内では松江市島根町のほか標高の高い飯南町や隠岐・海士町などに多く自生して、古くからお茶として飲まれているほか、正月の飾りなど地域の風習を通じて親しまれてきた。

このクロモジがサウナテントの中に。サウナ内で蒸気を発生させる「ロウリュ」に使う水には、クロモジから抽出したエキスが加えられている。

今回のツアーは、この「和のハーブ」とも呼ばれるクロモジを使って癒しの体験を提供。島根ならではの新しいツアーをと、観光庁の補助金を活用して企画された。癒やしの体験はほかにも…

嶋村采音アナウンサー:
こちらのヨガ体験、よく見てみますとクロモジの木を使って体をほぐしています

クロモジの香りに満たされた部屋で深呼吸、よりリラックスしてヨガを体験する。

参加者:
ちょっとぼーっとしてます。森の中にいるような感じです

食事は、島根県産の豚肉となすの蒸しもの。水の代わりにクロモジのエキスを使って蒸し上げた。クロモジの葉を粉末にして混ぜ合わせたキーマカレーもある。

嶋村采音アナウンサー:
スパイシーですが、クロモジのスーッとした感覚が鼻から抜けます。新しい感覚です

クロモジ活用で「もう一泊」を目指す

このクロモジを活用したツアー企画したのは、島根県の魅力化に取り組むため、中小企業3社と3人の個人事業主が結成した企業組合と地元の宿泊施設。共同で商品化に向けて企画を進めている。

ブランディングネットワークしまね協同組合・大谷修司さん:
クロモジを活用することでいままで1泊2日だった旅が2泊3日、3泊4日の旅が可能となる

狙うのはプラスワン、もう1泊の需要開拓。2020年度に民間のシンクタンクが行ったアンケート調査によると、新型コロナの感染が収まったあと行きたい観光先のランキングで島根県が34位、鳥取県は39位。コロナ後の観光需要回復は、山陰両県にとって厳しい見通しとなりそう。

水際対策の緩和でインバウンド、海外からの観光客も期待できる中、コロナ後の観光客を呼び込むためには、山陰ならでは、島根ならではの魅力が必要だと考えた。そこで目を付けたのが「クロモジ」。地域資源を生かした独自のコンテンツで観光客により長く滞在してもらう狙い。

参加者:
香りをかぎながらヨガができたり、クロモジ三昧で楽しめました

参加者:
クロモジの体験はしたことない人が多いと思うので県外や海外の人にも体験してほしいと思った

ブランディングネットワークしまね協同組合・大谷修司さん:
島根の古代の薬草文化が大きなコンテンツになると思う。クロモジが特産品として一つの起爆剤になってほしい

このクロモジ体験ツアー、今回のモニターの意見をもとに今後、ツアー内容を旅行会社と協議、2022年4月以降、実施したいとしている。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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