コロナ禍で大企業を中心に、社員の柔軟な働き方を認める動きが広がりつつある。パナソニックホールディングスは10月21日、グループ企業が“働く時間と場所”の選択肢を拡大する、新たな勤務制度を明らかにした。

“働く時間の選択肢”の拡大によって、社員は、他社に雇用される形での“社外での副業”を行うことも可能になる。

働く時間の選択肢拡大(提供:パナソニックホールディングス株式会社)
働く時間の選択肢拡大(提供:パナソニックホールディングス株式会社)
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また、“働く場所の選択肢”の拡大によって、介護や単身赴任解消のための通勤圏外でのフルリモートワークもできるようになる。

働く場所の選択肢拡大(提供:パナソニックホールディングス株式会社)
働く場所の選択肢拡大(提供:パナソニックホールディングス株式会社)

この新たな勤務制度によって、多様な働き方を推進し、社員の安定したウェルビーイング(一人ひとりが心身ともに健康で、挑戦の機会を通じて、幸せと働きがいを感じている状態)の実現、および、雇用機会を広げることで、多様で優秀な人材確保を目指すとしている。

ウェルビーイングの実現(提供:パナソニックホールディングス株式会社)
ウェルビーイングの実現(提供:パナソニックホールディングス株式会社)

この新たな勤務制度は2022年10月から、「PHD(パナソニックホールディングス)」と「PEX(パナソニックオペレーショナルエクセレンス)」で試験導入、「PAS(パナソニックオートモーティブシステムズ)」では運用を開始している。また、「PID(パナソニックインダストリー)」では、理由を問わず働く場所の選択肢を拡大する制度を導入している。

「PHD」と「PEX」「PAS」が導入する制度では、週4日勤務も可能になるとしている。今回の試験導入で課題の抽出やノウハウを収集し、その他の事業会社への展開を、今後、行っていく予定だ。

この新たな勤務制度によって、社員の働き方はどのように変わるのか? パナソニックホールディングスの担当者に話を聞いた。

社員のウェルビーイングの実現を後押し

――新たな勤務制度を導入する理由は?

新たな勤務制度は、多様な働き方を推進し、社員の安定したウェルビーイング(=心も身体も社会的にも満たされた状態を表す言葉)、および、雇用機会を広げることによって、多様で優秀な人材確保を目指すものです。

まずは、自律したキャリア形成に向け挑戦したい個人、ライフイベントとキャリアを両立したい個人など多様化する就業ニーズに対し、選択肢を拡大することで、社員のウェルビーイングの実現を後押しします。

社員のウェルビーイング(提供:パナソニックホールディングス株式会社)
社員のウェルビーイング(提供:パナソニックホールディングス株式会社)

――10月からの試験導入、対象となる従業員の人数は?

事業会社によって、適用内容が異なります。

“時間と場所の選択肢拡大”のトライアルは、「PHD」と「PEX」の約5000人です。ただし、働く時間の拡大、働く場所の拡大には、理由が必要となります。

たとえば、働く時間の拡大は「副業・ボランティア・自己学習・育児・介護」など、働く場所の拡大は「パートナーの転勤帯同・遠隔地採用、単身赴任の解消・回避、介護・育児」などです。

「PAS」は、時間と場所の選択肢拡大を導入しています。こちらも選択肢を拡大するには理由が必要で、対象は約4400人です。「PID」は、理由を問わず、働く場所の選択肢を広げるトライアルをしています。対象は約1万3000人です。

週4日勤務で他社雇用による副業も可能に

――たとえば、どのような働き方が可能になる?

「PHD」と「PEX」の社員の働き方の例です。

副業・ボランティア・自己学習など、自律したキャリア形成に向けて挑戦したい人の場合、以下の働き方が可能になります。

・週4日勤務で他社雇用による副業に挑戦。
・月間労働時間を減らさず、週4日勤務を行い、かつ通勤圏外の実家から週1日はリモートワーク。増えた休日で、実家の会社での副業に挑戦。

週4日で他社副業に挑戦(提供:パナソニックホールディングス株式会社)
週4日で他社副業に挑戦(提供:パナソニックホールディングス株式会社)

また、育児や介護、もしくはパートナーの転勤に帯同するといったライフイベントと、キャリアを両立したい個人の場合には、以下の働き方が可能です。

・通勤圏外の自宅から、残業なしのフレックス&フルリモート勤務。
・通勤圏外の実家で家族を介護しながら、週4日フルリモート勤務。

パートナーの転勤に帯同したい(提供:パナソニックホールディングス株式会社)
パートナーの転勤に帯同したい(提供:パナソニックホールディングス株式会社)

――10月から試験導入された後、社員からはどのような声が寄せられている?

「PHD」と「PEX」では10月1日からトライアルが始まり、2週間経った10月13日現在で、「副業」に対する問い合わせが多いです。

“業務委託型”がメインですが、“他社雇用型”の副業についての問い合わせも数件あり、トライアルしてみたいという声があがっています。

「他社雇用型の副業」が課題

――この勤務制度の課題だと感じていることは?

他社雇用型の副業が可能となるのは、今回が初めてなので、トライアルを通じて検証を図り、必要に応じて、条件・制約を検討していきたいと考えています。


――この勤務制度、グループ全社での本格的な導入はいつ頃を予定している?

「PHD」と「PEX」の本格的な導入は、2023年2月を予定しています。また、当グループはグローバルで約24万人の社員がいます。

多様な個性と能力をもつ当グループの社員ひとりひとりがウェルビーイングな状態であることが必要だと考えていますが、今回、トライアルを実施している制度については、各国ごとに税法や査証の取り扱いが異なることを考慮し、原則、国内での利用に限定(対象6万人)しています。

社員のウェルビーイング(提供:パナソニックホールディングス株式会社)
社員のウェルビーイング(提供:パナソニックホールディングス株式会社)

“働く時間と場所”の選択肢を拡大することによって、一部のグループ会社で可能となる、週4日勤務や他社雇用型の副業。

パナソニックホールディングスだけでなく、多様な働き方を選択できる制度改革が大企業を中心に進んでいるが、今後こうした働き方が当たり前になっていくのか注目したい。