突風が発生しやすい場所というのはあるのだろうか。
静岡・牧之原市は、2021年から2022年にかけて1年半で3回 突風が発生し、竜巻と確認されたものもある。広大な台地が広がり、お茶の栽培が盛んな街だ。
なぜこの地域に多発するのか、また一般的に突風には注意するべき兆候があるのか。気象台に聞いた。

2022年9月に6日間で2回の突風被害

牧之原市の最近の突風被害
牧之原市の最近の突風被害
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静岡県の中部に位置する牧之原市。
駿河湾に面していて、牧之原台地が広がり、お茶の栽培が盛んだ。

9月23日の突風で飛ばされたビニールハウス
9月23日の突風で飛ばされたビニールハウス

台風15号が静岡県を襲った9月23日夜、牧之原市や隣接する御前崎市で突風が発生。屋根の一部が壊れたり、農業用ハウスが飛ばされたりする被害が出た。
農園の工場の屋根が、約500m離れた地点まで飛ばされていた。

9月18日に静岡空港から撮影(視聴者提供)
9月18日に静岡空港から撮影(視聴者提供)

牧之原市では、5日前の18日にも竜巻とみられる突風の被害があったばかりだった。
静岡空港から撮影された映像では、黒い渦を巻く雲と破片のようなものが飛んでいる様子が確認されていた。

9月18日の突風で被災した住宅
9月18日の突風で被災した住宅

斉藤力公記者
こちらの民家では、きのう(18日)の突風の影響で玄関の屋根が大きく崩れている様子がわかります

9月18日の突風で飛ばされたコンテナ
9月18日の突風で飛ばされたコンテナ

ここ牧之原市勝間の住宅では、50mほど離れた場所にあったコンテナが吹き飛ばされ、玄関の屋根を直撃した。

「家が直撃されて怖さを再確認」

被災から約1カ月経った10月17日に取材した。壊れた玄関の屋根は応急的な修理がされただけで、まだ復旧にはほど遠い状態だ。 

被災1カ月後の大石さん(右)の住宅
被災1カ月後の大石さん(右)の住宅

大石昌稔さん
とりあえず(家の)中が見えないように、雨が入らないように仮補修のような形でやってもらいました。将来的には元通りにしたいという気持ちはあるけど、時間がかかるかもしれない

気象台の現地調査で、大石さん宅のある勝間地区に吹いた突風は竜巻と推定された。
竜巻とみられる突風が住宅を襲った際、住宅の中にいた大石さんは、恐ろしさを実感したという。

大石さん「竜巻の怖さを再確認した」
大石さん「竜巻の怖さを再確認した」

大石昌稔さん
今まで竜巻も他人事のように考えていましたが、去年 今年と続けて発生して、しかも今年は自分の家が直撃されたので、本当に竜巻に対して怖さを再確認した

突風が1年半で3回 なぜ多発?

2021年5月の突風で被害をうけた醤油工場
2021年5月の突風で被害をうけた醤油工場

牧之原市では2021年5月にも4カ所で竜巻とみられる突風が発生し、醤油工場をはじめ計148棟の建物が損壊する被害が出た。

2021年5月の突風被害
2021年5月の突風被害

甚大な被害をもたらす突風。
なぜ牧之原市で被害が相次いだのだろうか。突風が発生しやすい状況について、気象台に聞いた。

鶴橋気象情報官「積乱雲がもとで発生しやすい」
鶴橋気象情報官「積乱雲がもとで発生しやすい」

静岡地方気象台・鶴橋茂大 気象情報官
竜巻等の突風は、発達した積乱雲がもとで発生しやすい。台風や低気圧の接近通過、寒冷前線など前線の通過、さらに暖かく湿った空気が入ってくる、上空に強い寒気が入ってくる…このような要因によって雲が発達して、竜巻等の突風が発生している

静岡地方気象台によると、2016年以降、県内では20件の突風被害が確認されていて、特に西部や中部の沿岸部で多くなっている。

平地が広いと甚大な被害か
平地が広いと甚大な被害か

気象台は牧之原市をはじめ、西部や中部は平地が広いことから竜巻が弱まりにくく、甚大な被害につながっていると分析している。

突風で倒れた電柱
突風で倒れた電柱

静岡地方気象台・鶴橋茂大 気象情報官
竜巻の状態を維持していくためには、風の入ってくる向きや風の環境、地形的な環境が起因していると思う。竜巻そのものの風の強さもあるが、それが民家のある所を継続して竜巻として進んでいくかどうかで、被害の大きさには影響してくる

突風はどこでも発生…天気予報「雷を伴う」に注意

その上で、2022年8月に静岡市駿河区で突風が発生したように、牧之原市に限らず県内どこでも発生すると指摘する。

突風で倒壊したビニールハウス(2022年8月・静岡市)
突風で倒壊したビニールハウス(2022年8月・静岡市)

静岡地方気象台・鶴橋茂大 気象情報官
確かに被害をもたらす竜巻が、牧之原市で昨年 今年と発生しているが、それ以外のところでも発生しているので、県内の他の場所でも十分発生する可能性はある

鶴橋気象情報官「天気予報の“雷を伴う”に注意」
鶴橋気象情報官「天気予報の“雷を伴う”に注意」

そして突風に備えるために、天気予報に注意すべき言葉があると指摘する。それが「雷」だ。

静岡地方気象台・鶴橋茂大 気象情報官
天気予報の中で、「雷を伴う」という表現を使う時があります。これは大気の不安定な状況が予想されて、積乱雲が発生しやすい時。そういう時は事前に注意をしていただくことが大切で、頑丈な建物に避難することが重要です

牧之原市だけでなく、どこでも発生する可能性があるという突風。
被害を最小限に抑えるために、雷をともなう天候に十分注意することが求められる。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
テレビ静岡

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