『エコ通勤』は、渋滞を緩和して環境を改善しようという取り組み。通勤の交通手段を自家用車から公共交通機関や徒歩・自転車に切り替えたり、在宅勤務や時差出勤を取り入れたりする。
福島県では、エコ通勤を体験した多くが取り組んでよかったと回答。一方、地方ならではの公共交通機関の利便性も課題に上がったという。
ライフスタイルを“少しだけ”変える
福島県内では、会津若松市にある「会津オリンパス」と、郡山市役所がエコ通勤に取り組む事業所として認証を受けている。
2022年10月は、福島市・いわき市・須賀川市で取り組みを実施。福島市では、通勤時間帯の午前7時から8時の間に渋滞が発生している中心部を対象に実施された。
2021年の『エコ通勤』実施期間には対象エリアを通行した車が2019年10 月と比べて7%・49台減少した。今回は2021年以上の交通量減少を目指した。
福島河川国道事務所・伊藤英和副所長:「エコ通勤といっても、無理のない範囲で通勤の形を時々変えるとか。あとはテレワークをするとか、少しだけライフスタイルの形を変えるということを取り組んでいただければ幸いです」
車からの二酸化炭素削減などメリットが
●車の台数が減ると事故も減る
●バスの運行がスムーズになる
●バスの利用者が増えると運行本数も増えるなどサービスが向上する
●通勤手段を車以外のものに替えて渋滞に巻き込まれなくなると「イライラしたり焦ったりしない」
といったメリットも期待される。
実際にエコ通勤をしている福島市の渡辺尚希さん
渡辺さんが勤める福島製作所は、社員の健康増進を目的に2021年から『エコ通勤』に取り組んでいて、時差出勤も導入している。
勤務先で『エコ通勤』が呼びかけられたことをきっかけに、渡辺さんは2022年10月から自転車通勤に切り替えた。車で通っていたころは2,5キロほどの距離でも20分近くかかっていたが、今は以前の半分の約10分。
渡辺尚希さん:「いつもこの八木田橋の辺りで渋滞につかまっちゃって、10分くらい渋滞から出られないってこともよくありました。自転車だとすごくスムーズにここまで来ることが出来て、すごく気分的にもよくなりました」
季節の移ろいに敏感になったという渡辺さん。職場の駐輪場に停めてある自転車は以前より増えていて、『エコ通勤』の仲間が増えることを歓迎している。
渡辺尚希さん:「朝から体を動かすことができるので、すごくすっきりした気持ちで仕事に臨むことが出来てます。是非みなさんもやってみてほしいです」
2021年の『エコ通勤』の効果 ・福島市の場合
取り組みに参加したのは15の事業所で、エリア内の通勤時間帯の交通量は2019年10月と比べて一日平均で49台減少した。これが一年間続いた場合、二酸化炭素の排出量は226t減少する試算。
良いことづくめのようだが、誰でも『エコ通勤』を実践できるわけではないという課題もある。自宅と職場が離れている場合や、近くに利用できる公共交通機関がない場合などは車通勤をやめにくい。
福島河川国道事務所が、2021年に『エコ通勤』を実践した119人にアンケートを行ったところ、半数以上の人が公共交通機関の利便性の向上を求めていた。
同時に、過半数の人が「また協力したい」とも回答している。「エコ通勤に取り組んで良かった」と感じた結果だと思う。最初から完璧を目指さずに、できることから始めてみると良いのではないだろうか。
(福島テレビ)