広島県が日本一の生産量を誇る牡蠣(カキ)。そのカキを育てるために使われる”カキパイプ”が海に流出する問題がある。プラスチック製のゴミが海洋生物へ与える影響が指摘される中、カキパイプを回収して意外な場所で再利用する取り組みを取材した。

店舗スタッフが宮島で海岸清掃

10月6日、秋の表情を見せる瀬戸内海をフェリーが宮島に向かう。

フェリーから見える宮島の景色
フェリーから見える宮島の景色
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フェリーから観光客に混じって降りてきたのは、「ゆめモール西条」の食品スーパーで働くスタッフだ。車で移動すること10分。観光地として人気の世界遺産・厳島神社とは逆方向の海岸へ向かった。この海岸で、あることが行われようとしている。

宮島の包ヶ浦海水浴場に整列する食品スーパーのスタッフ
宮島の包ヶ浦海水浴場に整列する食品スーパーのスタッフ

砂浜に集まったスタッフが働く「ゆめマート西条」は、大手スーパー・イズミグループで初めて使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うなど、SDGsに特化した店舗。スタッフはオープン前からSDGsについて学んできた。

イズミ SDGs推進課 松永純一課長:
この海岸にありとあらゆるゴミが落ちています。これはカキパイプといって、カキを養殖する際に出るプラスチックゴミです

そう、ここへ来た目的は海岸清掃。これもSDGs研修の一貫だ。

“広島ならでは”の海岸ゴミを有効活用

海岸清掃のターゲットはビン、カン、発泡スチロールなど6種類のゴミ。一見すると、さほどゴミがあるようには見えないが、作業を始めてみると…。

ゴミ袋片手に海岸を清掃
ゴミ袋片手に海岸を清掃

ゴミ拾いをするスタッフ:
ペットボトル、発泡スチロール…まぁまぁゴミがあるじゃない。ここで何したの?キャンプかな

海岸にはさまざまなゴミが落ちていた。その中で特に目立つのがカキパイプだ。

カキはホタテの貝殻に幼生を付着させて育てられる。その貝殻をいかだから海中につるす道具として、カキパイプが使用されている。

貝殻をいかだから海中につるすためにパイプを使う
貝殻をいかだから海中につるすためにパイプを使う

生産者はカキパイプを海に流失させないよう対策しているが、すべてを防ぐことは難しく、各地で問題になっている。イズミは、海岸に流れ着いた困りもののカキパイプを「買い物かご」に形を変えて有効活用しようとしているのだ。

カキパイプを一部再利用して製作された買い物かご
カキパイプを一部再利用して製作された買い物かご

イズミ SDGs推進課 松永純一課長:
カキパイプがたくさんあって本当にびっくりしました。私たちは、カキパイプを一部再利用した買い物かごを西条の店舗に初めて導入します。カキ生産者の方たちもカキパイプが流失しないように工夫されているのですが、どうしても流れ着くものがあるので。私たちがカキパイプをリサイクルして、いろいろな使い道を提案をできたらと思っています。ハードもソフトもSDGsにチャレンジする店舗として、やっていきたいです

SDGsと食品スーパー。これまでなかった新しいコンセプトの食品スーパーが、10月27日「ゆめモール西条」にグランドオープンした。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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