高松宮殿下記念世界文化賞の国際顧問として、授賞式などに出席するため来日していたアメリカのヒラリー・クリントン元国務長官に三田友梨佳キャスターがインタビュー。
ロシアによるウクライナ侵攻や今後の日米関係、そして大統領選出馬の可能性についても切り込んだインタビューを全文掲載する。

三田友梨佳キャスター:
インタビューお受けいただいてありがとうございます。最後に東京を訪れてから、ずいぶん経ちましたね。ここまでの滞在はいかがですか?

この記事の画像(10枚)

ヒラリー・クリントン氏:
日本にまた来られて、素晴らしいです。何年も会っていなかった友人たちに会えますし、また新しい方々とお会いするのが楽しみです。世界文化賞の一端が担えるのは名誉なことです。

芸術と文化を承認することは非常に重要な努力です。世界文化賞は芸術のノーベル賞と言えます。この2日間で受賞者たちに会いました。

三田キャスター:
おっしゃられたように、あなたは世界文化賞の国際的なアドバイザーになりました。あなたの役割で達成したいことを教えていただけますか?芸術の力についてどうお考えですか?芸術はこういった状況下でどのように私たちの生活に影響を与えられるのでしょうか?

クリントン氏:
芸術は常に重要だと思いますが、困難な時には特に重要です。世界はコロナ禍に襲われ、今は、ウクライナ戦争による様々な困難、ロシアの攻撃性、中国や他の場所で起こっている出来事に直面しています。

芸術は、私たちが普遍的な人間性をわかり合うことを促し、ときに私達を日常から離れた時空にいざなってくれます。そのためにも、私たちは芸術家をたたえ、芸術作品を分かち合うため、成せることを果たなければなりません。それこそが、本当に世界文化賞がやろうとしていることです。

三田キャスター:
そうですね。芸術には人をつなぐ力があります。それは今、これまで以上に必要とされていると私は感じています。世界が様々な問題やコロナ禍、戦争に直面しているので。
 

ウクライナ侵攻は非常に危険なシグナル

三田キャスター:
ロシアによるウクライナ侵攻について少しご質問させていただきます。あなたのご経験からすると、NATOやG7は何をすればよいのかと、ロシアの次の動きはどうなると思われますか?

クリントン氏:
日本を含むG7の反応は、まさに正しいものだと思います。(ウクライナに)武器を供給できた国もあれば、人道的支援をした国もあります。すべての国々がプーチンやプーチンの周辺の人物に制裁措置を行いました。

なぜなら、彼が理由なく近隣の国に侵攻したことは、ウクライナだけの問題ではありません。世界の民主主義の将来という問題だからです。

21世紀の今日の世界の中の1か国が、ロシアがウクライナに侵攻したように、隣国に侵攻できるなら、そのことは他の攻撃的な国や指導者に非常に危険なシグナルを送ります。G7はやるべきことをやってきたと思います。日本が次の会合で開催国になるということも知っています。

私は、日本がウクライナから遠く離れているにもかかわらず、日本政府、首相がウクライナ国民を支援していることを称賛したいです。
ロシアがそこでやっていることは、日本を含む世界の民主主義の将来に影響を与えています。

三田キャスター:
ウクライナには絶対に財政的、軍事的援助や物資が必要です。私たちにできることは他に何かありますか?特に一般の市民に。

クリントン氏:
とても良い質問ですね。彼らは支援を必要としています。自分自身を守るだけではなく、ウクライナに残っている、または祖国を離れた何百万人ものウクライナの女性と子供たちを助けるという支援です。ロシアは、病院や学校、保育園、アパートなどを爆撃しています。これらは軍事目標ではありません。

これは、ウクライナの人々に大きな苦しみと痛みを与えていて、よくあることですが、その重荷の多くは女性と子供にのしかかっています。だから、たとえ彼らが安全を求めてウクライナを去ったとしても、支援を必要とし続けています。

ウクライナ国内にとどまっている人々にも支援が必要で、インターネットで食料や避難所を提供しているグループを見つけられるようすべきです。私がゼレンスキー大統領夫人と会ったときに、彼女に早産児や出産する妊婦のための病院の設備を頼まれました。

不当に、そして、いわれもなく攻撃された国が必要であろうすべてのニーズを想像してみてください。そして、個々の市民にできることはたくさんあると思います。

三田キャスター:
ロシアが核兵器に手を出す可能性はどうですか?

クリントン氏:
そこまで切羽詰まっていないと思いますが、彼らは脅しとして使うのは好きですよね。大事なのは、私たちが今のように団結することです。

もし、プーチンがそうするなら、バイデン大統領が言ったようにロシアに壊滅的な結果をもたらすことになると明確にすることですね。現時点では、私はそういうことが起こるとは思いません。しかし、あなたが独裁者、私たちが見てきたようにいじめっ子と交渉する場合には、彼がやることすべてには結果が伴うとはっきりさせるのが重要です。
彼は何らかの形で責任を問われるでしょう。(核兵器が)すぐ起こる脅威だとは思いませんが、そのことをはっきりさせておく必要があると思います。

世界がウクライナ国民を支援するという反応をしてきて、プーチンが大変だと思っているなら、彼、ロシア、そして彼の周りの人々にとって、はるかに困難になるでしょう。

バイデン大統領には非常に安定した統率力がある

三田キャスター:
ロシアのウクライナ侵攻で政治的な分断がありました。世界はさまざまな種類の危機に見舞われました。この政治的な不安定さと分断の責任についてどう考えていますか?現代のリーダーとしてのアメリカの役割や行動についてどう評価しますか?

クリントン氏:
私はバイデン大統領を非常に支持し、誇りに思っています。彼が、非常に衝動的で、世界に不安定さを生み出すようなことを言ったりやったりした前大統領の後に大統領になったのは、驚くことではありません。そして、バイデン大統領には非常に安定した統率力があります。

バイデン大統領が対応し、他の国々と協力し、ウクライナを支援して、ロシアのプーチンに説明責任を負わせようとしただけではありません。米国を気候変動との戦いに復帰させようとしています。

議会が可決し、バイデン大統領が署名した法案は、これまでになされた気候変動との闘いへの財政的取り組みとしては最大です。そして、それは彼の政権下で、私たちが気候変動を真剣に受け止めているという本当に強いシグナルです。

「非常に安定した統率力」バイデン大統領
「非常に安定した統率力」バイデン大統領

バイデン大統領の支援活動と、日本や韓国、オーストラリアやインドとの政府の協力は、志を同じくする国々と民主主義のパートナーシップを結ぶことができると我々が信じていることをはっきりと示しています。そのことは中国へのシグナルになります。

そして、それは台湾のために特に重要です。私たちは今、着実で落ち着いた経験豊富な大統領を有していると思います。そのおかげで、私たちはG7やその他の会合で、国際的な秩序にさらなる安定を図る機会が得られます。

また、協力するさらなる方法を見つけることもできます。共通の防衛、気候変動に対する戦い、次のパンデミックへの準備などで。

私たちは、直近の出来事(コロナ禍)から多くの教訓を学ぶべきでした。それは私たち全員が、協力して、気候変動やコロナ禍に対処している国々を支援するべきだということです。私たちは正しい道を歩んでいると思います。私はただ、それを継続することを願っています。

将来、大統領選出馬の可能性は?

三田キャスター:
米国の政治についてお伺いします。アメリカはバイデン大統領とその取り組みをどう評価していますか?

クリントン氏:
大統領が誰であれ、中間選挙は常に困難です。政権がどちらの党にあろうと、有権者は与党ではない方に投票します。

夫が大統領だった1994年にもありました。バラク・オバマが大統領だった2010年にも起こりました。中間選挙で何が起こるかについては、歴史的な前例があることを認識することが重要だと思います。

そうは言っても、上院と下院の両方で過半数を維持するために、民主党は非常に懸命に動いています。なぜなら、共和党側で立候補している候補者たちは非常に極端(な政治思想を持っている)だからです。

彼らはあまり賢明な政策案を持っていません。私の見解では、彼らは、私たちが直面している現実からかなり乖離しています。私はできることをやっていますし、他の皆さんは民主党員を選ぼうとしています。まあ、11月8日に何が起こるかですよね。

三田キャスター:
あなたに高い期待を寄せている人はかなりたくさんいます。率直に言って、2年後、あるいは時には将来に大統領に出馬されると。

クリントン氏:
いいえ。ないですね。私は自分が信じている人々、良い仕事をすると思う人々を応援するつもりです。私は出馬するつもりはありません。

三田キャスター:
あなたが国を率いるのを見るチャンスはないのでしょうか?

クリントン氏:
ないですね。今の時点では、バイデン大統領は再び出馬すると思いますね。彼がそうするなら、私は彼を支持します。

三田キャスター:
わかりました。トランプ氏は2年後の出馬に興味を持っているようですが、彼はまだ(大統領選で)負けたことを認めていませんよね。それについてはどう思われますか?

クリントン氏:
彼は出馬するかもしれないし、しないかもしれないです。わからないですね。彼の計画についての内部の情報を持っていないです。しかし、彼は米国の政治において大きな破壊力となっていました。私たちの国を分断し、米国選挙について真実ではないことを言っていました。

だから私は彼が出馬しないことを願っています。しかし、もし彼がそうするなら、以前から彼を応援していたかもしれない人を含めた大勢の人たちは、彼を支持しないでしょう。私たち全員が見たことを彼らも見てきました。

「出馬しないことを願っている」トランプ前大統領
「出馬しないことを願っている」トランプ前大統領

彼は米国のリーダーシップに危険なアプローチをしています。アメリカで止めることだけでなく、世界でも止めることが重要です。アメリカの大統領というのは、非常に大きな影響を与える人物で、問題に対処するために世界をまとめたり、バラバラにしたりすることを行うからです。

私たちには、誰であれ、リーダーシップが実際に何を必要としているかを認識している大統領が必要です。現実や事実、証拠を受け入れないのなら、リーダーにはなれません。

トランプ氏のパンデミックに対する対応、ワクチンの放棄、気候変動の否定、選挙に関する彼の大きな嘘。これらは非常に厄介な行為です。ですので、彼が出馬しないことを願っています。本当に。出馬すれば、また負けるでしょう。

日米でロシアと中国に非常に強力なシグナルを送るべき

三田キャスター:
わかりました。これからの日本と米国の関係についてお伺いします。最近、ロシアと中国は、日本各地で軍事活動を頻繁に行っています。そして、北朝鮮はミサイルをテストしています。日米安保体制下で今後アメリカが何をするべきか、また、日本の役割とは何でしょうか?

クリントン氏:
両国の関係は非常に強いと思いますが、軍事や防衛については、より多くの調整が必要かと思います。特にあなたが言うように、軍事演習や軍事装備の合同での生産を通じて、ロシアと中国の両方にメッセージを送るためにです。

日本と米国は団結していて、米国は日本を支持し、バックアップしているんだというメッセージです。

太平洋の同盟を強化することも大事だと思います。オーストラリア、韓国、日本、米国、インドが、ロシアと中国による太平洋の侵略に対しての計画を立てられるようにです。そして、あなたがおっしゃるように、ロシアと中国は軍事演習を行ってきました。

私は個人的には、日米が軍事演習を行って、ロシアと中国の両方に非常に強力なシグナルを送るべきだと思います。米国と日本は団結しており、これらの国々のどちらかによるいかなる攻撃にも対抗するというシグナルです。

三田キャスター:
次が最後の質問です。台湾についてお伺いします。台湾海峡では中国が軍事圧力を強めていますが、この状況をどうお考えですか?米国はどのような役割を担うべきですか。

クリントン氏:
私は中国の台湾に対するもっと攻撃的なレトリックについて、とても心配しています。私は、日本がエネルギーやその他の重要な物を(海運)輸送するために台湾海峡にどれほど依存しているかをわかっています。

米国、日本、その他のアジア太平洋諸国は、私たちが台湾を支援しなければならないことを認識する必要があります。それには多くの方法があります。

我々は台湾の軍隊の能力を高めなければならないです。より高度な装備と武器を提供しなければなりません。しかし、私たちは中国にシグナルを送る必要があります。

海運輸送の流れを妨害する、台湾に侵攻する、台湾の民主主義を弱体化させると、それには結果が伴うというシグナルです。何がなされるのかについて詳しく話すのは得策とは言えません。ですが、日本と米国が一緒に計画を立て、連携し、準備を行い、台湾に対する中国の攻撃的な行動に対処する、または防止するのが非常に重要な地域であると思います。

三田キャスター:
どうもありがとうございました。

クリントン氏:
ありがとうございました。

記事 858 Live News α

働く人の役に立つ、ステップアップ、スキルアップ(+α)につながるニュースをお届けする新感覚の報道番組です。
フジテレビ報道局が制作する経済、SDGs、イノベーションなどを主に扱うビジネスパーソン向け夜のニュース番組。毎週・月曜~木曜日23時40分、金曜日24時10分より放送中。
メーンキャスター:三田友梨佳/内田嶺衣奈
キャスター:今湊敬樹/上中勇樹/海老原優香