「重要文化財指定」の車両、懐かしの駅弁売りに蒸気機関車、本物の電車を改造した運転シミュレーター。広島で話題になった“サイコロ切符”で行く「九州・鉄道の旅。」鉄道をこよなく愛するテレビ新広島の野川諭生アナウンサーが、全国10万人の鉄道ファンへ、熱い思いを込めて報告する。

野川アナ「サイコロきっぷ」に大興奮

9月16日、広島の鉄道界の中心・広島駅にスーツ姿で現れた野川アナ。

並々ならぬ気合で広島駅にやってきた野川諭生アナウンサー
並々ならぬ気合で広島駅にやってきた野川諭生アナウンサー
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野川アナ:
今日、広島駅でビッグイベントが行われるということで、緊張しております。たくさんの人が集まっていますね…我々も行ってみましょう!

広島駅では、JR西日本の企画切符「広島発!サイコロきっぷ」の発売記念イベントが行われていた。目の前で”巨大サイコロ”を転がして、出た目的地と広島の間を大人1人5000円で往復できる破格の企画である。

発売記念イベントで転がす巨大サイコロ
発売記念イベントで転がす巨大サイコロ

旅の目的地は、博多・松江・姫路・金沢の4カ所。

さあ、野川アナもサイコロきっぷを購入してチャレンジ!

JR西日本 広島営業部・高橋明子さん(左)と野川アナ(右)
JR西日本 広島営業部・高橋明子さん(左)と野川アナ(右)

野川アナ:
一番お得な「金沢」を当てて見せましょう!気合を入れて、金沢に行く北陸新幹線W7系のネクタイピンを付けて来ましたので!

ネクタイピンで”鉄オタぶり”をさらっとアピールした野川アナだったが、投げたサイコロは金沢とは全く逆方向…「博多」が出た。

サイコロきっぷの行き先が決まった後は、引換券にスタンプを押してもらって予約完了。後に、この旅で担当ディレクターは鉄オタの洗礼を受けることになるのだが…まだ知るよしもなかった。

「私、この座席愛してます」博多へ向かう新幹線で衝撃の告白…

日を改めて、再び広島駅にやってきた野川アナ。
サイコロきっぷで博多へ向かいます!

出発の朝、広島駅の新幹線ホームへ向かう野川アナ
出発の朝、広島駅の新幹線ホームへ向かう野川アナ

まずは新幹線の出発ホームへ。博多へは、新大阪から鹿児島中央を結ぶ「さくら号」で向かう。

この車両を指定したのも野川アナだ。さくら号で広島から博多まで約1時間の列車の旅がスタート。

野川アナ:
このN700系の8両編成は座席がいいんですよ。2列ずつの配置で、包み込まれるような座席…私この座席、愛してます!肘掛けも木目調の非常にいいデザインでしょ。リクライニングにすると、背もたれが倒れるだけじゃなくて座面も合わせてスライドして快適。ちょっと倒してみますと…背もたれと座面が連動して動くので、体に負担が少ない設計になっています

新幹線さくら号・N700系の座席に包まれる野川アナ
新幹線さくら号・N700系の座席に包まれる野川アナ

座席だけで10分もしゃべり続けた野川アナ。担当ディレクターは思った。
「鉄オタ恐るべし…!」

記念切符の収集、特急車両への熱いまなざし…”鉄オタぶり”さく裂!

野川アナがさくら号への愛を語り尽くすより早く、あっという間に博多駅へ到着。

改札口へ向かおうとしたその時、野川アナは自動改札…ではなく、わざわざ”駅員がいる窓口”へ。一体これは?

野川アナは窓口の駅員へ切符を渡しに行った
野川アナは窓口の駅員へ切符を渡しに行った

野川アナ:
私、仕事でも個人的な旅行でも、乗った記念に切符を持ち帰ることにしています。窓口で「切符を持ち帰りたいです」と言うと、”乗車記念 使用済み”というスタンプ、そしてパンチで穴を開けてもらい切符を持ち帰ることができるんですね。広島駅だと、もみじの絵柄が入ったスタンプを押してもらえたりもします

持ち帰った切符を専用ファイルに入れて、眺めては旅を思い出すという。

野川アナ:
こんな切符を使ったのね、と思い出せるので。旅の思い出も含めて一石二鳥にも三鳥にもなります

野川アナ自慢の切符ファイル
野川アナ自慢の切符ファイル

(ディレクター:ここからどうしましょうか?)

野川アナ:
そうですね。北九州市の門司港駅から歩いてすぐのところに「九州鉄道記念館」という博物館がありますので、そこをゴールに行ってみようと思います

北九州市の門司港駅へ移動すべく、在来線のホームへ。ここでも、野川アナの”鉄オタぶり”がさく裂。

野川アナ:
博多は九州の代表駅。一大ターミナルですよね。特急「リレーかもめ」は長崎方面に向かって武雄温泉まで行きます。佐世保に行く特急「みどり」も通ってますし、「ハウステンボス」や「にちりん」といった特急もありますから。まあ、博多駅のホームにいるといろんな車両が来るので飽きることがないです

特急リレーかもめの車両を眺め、「しぶい!」と野川アナ
特急リレーかもめの車両を眺め、「しぶい!」と野川アナ

折尾駅で101年続く駅弁の”立ち売り”

ひとしきり博多駅を満喫し、特急「ソニック」で門司港駅へ。野川アナは「特急ソニックは登場してから20年くらい経ちますが、全然古い感じがしない」と言って、車両に乗り込んだ。

門司港駅へと向かう道中、折尾駅で途中下車。

野川アナ:
博多駅から特急で30分くらいの折尾駅に到着しました。何やら独特な歌声が聞こえてきましたよ

「かしわめしべんとーう!」
両腕をひらひらと泳がせながら独特な踊りと歌声を響かせ、折尾駅の名物駅弁「かしわめし」を販売する東筑軒の小南英之さん。この踊りについて聞いてみると…

東筑軒・小南英之さん:
手の動きは「ようこそ折尾へ」。腕のひらひらは「鶏が羽ばたいて、皆さんにお会いできてうれしい」という表現です。おかげさまで101年になります

折尾駅のホームで駅弁を販売する東筑軒・小南英之さん
折尾駅のホームで駅弁を販売する東筑軒・小南英之さん

大正時代から続く駅弁の”立ち売り”がほぼ毎日見られるのは、今では折尾駅くらいなんだとか。
鹿児島本線と筑豊本線が立体交差する折尾駅の駅舎は、2021年にリニューアルして高架化された。駅の改札をくぐり正面に見えるのが「東筑軒」うどん・そば店。

折尾駅の「東筑軒」うどん・そば店
折尾駅の「東筑軒」うどん・そば店

高架化でホームが2階になったことで、最近は駅のホームでも「かしわめし」を売ることが増えたという。

鶏が羽ばたくように腕を広げる小南さん
鶏が羽ばたくように腕を広げる小南さん

東筑軒・小南英之さん:
弁当が売れるとか売れんとかじゃなくて、お客さんから声をかけてもらえたら、やっぱり本当ありがたいですよ。「あんたの声を聞いて元気をもらった」という方もおられるし

東筑軒の「かしわめし」を購入する野川アナ
東筑軒の「かしわめし」を購入する野川アナ

野川アナは「かしわめし」大を2つ購入し、門司港駅へと向かった。

関門海峡の絶景と甘辛い「かしわめし」

潮の香りと情緒が漂う「門司港駅」に到着。

野川アナ:
門司港駅に到着しました。関門トンネルができる前は、本州側の下関と九州側の門司港の間を連絡船が行き来していました。まだ鉄路が通っていなかった時は、門司港で連絡船を降りて、ここから鉄道に乗り換えていたんですね。門司港駅はかつて九州鉄道の玄関口でもあった歴史ある駅でございます

門司港レトロ地区から眺める関門海峡の景色
門司港レトロ地区から眺める関門海峡の景色

門司港駅に着いたところで、ひと休み。駅近くの門司港レトロ地区で関門海峡の絶景を楽しみながら、お昼ご飯に「かしわめし」をいただくことに。

野川アナ:
おいしい!鶏肉はフレーク状で甘辛い味付けです。下のご飯がとってもおいしくて、鶏のスープで炊き込まれているような気がします。箸が止まらなくなる味ですね。そしてこの景色、完璧なシチュエーションです

関門海峡を眺めながら「かしわめし」を食べる野川アナ
関門海峡を眺めながら「かしわめし」を食べる野川アナ

蒸気機関車の”汽笛”に感情移入…

お腹いっぱいになった野川アナは、旅の目的地「九州鉄道記念館」へ。

九州鉄道記念館の広報を担当する佐藤秀一郎さんと一緒に館内を巡る。屋外にも、九州の鉄道史を彩った9つの車両が展示されていた。

佐藤さんの案内で蒸気機関車「C591」を見学
佐藤さんの案内で蒸気機関車「C591」を見学

九州鉄道記念館・佐藤秀一郎 企画広報課長:
こちらの蒸気機関車は「C591」と言いまして、C59型の1号車になります。
「C」は動輪の数を表します(A=1つ、B=2つ、C=3つ、D=4つ)。こちらの車両は「C」なので動輪が3つ。山口をよく走っている有名な「D51」は動輪が4つ付いているということです

蒸気機関車「C591」には大きな動輪が3つ
蒸気機関車「C591」には大きな動輪が3つ

本来はインベントの時にしか開放していない蒸気機関車の運転席に、特別に乗せてもらえることに。
運転席に座ってみると、ほとんど前が見えない。よく映画で窓から機関士が顔を出しているシーンがあるが、そうでもしないと前方の安全が確認できないのだそう。計器類もピカピカで、今にも動き出しそうだ。

蒸気機関車の運転席横にある計器類
蒸気機関車の運転席横にある計器類

野川アナ:
圧倒されます。計器類や金具に”怪物感”がありますね。私、SLって生き物だなって思うことがあるんです。一つ一つに個性があって、汽笛を上げるときも嬉しそうな汽笛だったり、悲しげな汽笛があったり…ちょっと感情移入しすぎですかね

蒸気機関車の運転席に座る野川アナ
蒸気機関車の運転席に座る野川アナ

九州鉄道記念館・佐藤秀一郎 企画広報課長:
いえいえ。蒸気機関車はほとんど手作りみたいなものですから。それぞれ個性というか、同じ設計図に沿って作っても違いが出てくるというのはあると思います

さらに、こちらは2022年3月、国の重要文化財に指定された車両。戦前の代表的な機械式気動車である。

国の重要文化財に指定された車両。先端が丸い特徴的な外観
国の重要文化財に指定された車両。先端が丸い特徴的な外観

感動に震える野川アナが車内を見せてもらうと、今の列車とは違って木材がたくさん使われていた。

野川アナ:
うぉー!運転台のあたりも、今の列車とずいぶん違いますね

「キハ07 41号」の運転席右前にある機械式クラッチ
「キハ07 41号」の運転席右前にある機械式クラッチ

九州鉄道記念館・佐藤秀一郎 企画広報課長:
国の重要文化財に選ばれた理由の一つとして、機械式のクラッチが付いています。ギアを変えながら運転するので、昔のマニュアル車みたいな感じです

運転シミュレーター体験で、まさかの停車位置オーバー

貴重な屋外展示を見た後は、鉄道記念館の建物の中へ。

本館入口で迎えてくれたのは、明治時代の客車を復元した車両だ。

九州鉄道記念館にある明治時代の客車を復元した展示物
九州鉄道記念館にある明治時代の客車を復元した展示物

野川アナ:
何にビックリするかと言いますと、畳の椅子ですよ

そして、鉄道記念館で1番人気を誇るのが…鉄道ファンから子どもたちまで大人気の「運転シミュレーター」である。本物の電車を改造して作られただけあって、操作感も非常にリアル。

野川アナ:
乗務開始!ブレーキを解除して、オッ!動き出した。加速音がすごい

運転シミュレーターを体験する野川アナ
運転シミュレーターを体験する野川アナ

このシミュレーター、運転ダイヤ通りに操作することも採点項目の一つで、本当の運転士気分を味わうことができる。

運転席横の画面で次の停車駅までの残り時間を確認
運転席横の画面で次の停車駅までの残り時間を確認

野川アナ:「残り50秒で駅に着かないといけない」
シミュレーター:「停車駅に近づきました。ブレーキをかけて停車してください」
野川アナ:「わかりました。あー、止まってくれ」
シミュレーター:「速度が速すぎます。直ちにブレーキをかけて駅に停車してください」
野川アナ:「うわー、超えてしまった…停車位置を15mオーバーでございます。難しい!」

野川アナ、停車位置を大幅にオーバーしても嬉しそう
野川アナ、停車位置を大幅にオーバーしても嬉しそう

九州鉄道記念館には、貴重な資料や列車のパーツなどがたくさん展示されていた。隅々まで見倒して、広島発サイコロきっぷの旅は終了。

野川アナ:
今回の旅は、JR西日本の広島発サイコロきっぷで博多駅へ行き、鹿児島本線で門司港方面に来ました。素晴らしい1日でしたね。

鉄オタ野川アナも大満足の、鉄道の過去と現在と未来、すべてに触れた旅となった。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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