私たちのこれからを明るく照らすSDGsなアクションに迫る「#ミライにα」。おしゃれでサステイナブルな明日を見つめる見本市を取材した。

トウモロコシや廃棄網を活用

東京ビッグサイトで開催されている「サステナブル ファッションEXPO」。国内、海外から620社が集まり、世界的に関心が高い最新のサステイナブルな製品およそ2万点が出展されている。

この記事の画像(8枚)

会場には、リアルファーではなく、工業用のトウモロコシのポリエステル繊維を使用した「エコファー」の商品も並ぶ。

エコペルジャパン・新開恵介取締役COO:
植物のカスからできているものがいかにアップサイクルされてくるかというのが、プラネットフレンドリーという観点から非常に重要なポイントになっています。(世界的な)ラグジュアリーブランドから、多くの引き合いが来ていて、日本だけでなく世界各地の高級ブランドで使用されている素材です。

海外での関心が高いとされる「サステナファッション」だが、日本での取り組みも拡大している。

光沢感のあるスクールリュックの原材料は、廃棄された漁に使う網。ファスナーなども全てリサイクル素材が使われていて、子どもたちにSDGsへの関心を持ってもらいたいという狙いもあるという。

さらに、大学生が製品化したiPhoneケースの素材は、土や米、玉ネギ、ニンジンなど100%天然由来の成分で、1~3年で土に返すことができる。

IRONY's TOKYO harmonized creation・重藤聡太CEO:
スマートフォンケースが現代では欠かせないかなと思い、そういったときに廃棄したときもごみが残らないようなものでと考えて、スマートフォンケースにした。実際に生活していく中で環境問題に取り組むというのは、意識的にするものではないと思っていて、生活の中で呼吸をするように気づいたら取り組めているという状況を実現したいと思っています。

「サステイナブルが当たり前の生活」に。そうした思いの積み重ねが、日本のサステナファッションを育てていくのかもしれない。

エシカル消費の条件は「価格が同じ」

三田友梨佳キャスター:
マーケティングや消費者行動を研究されている一橋大学ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに聞きます。SDGsが暮らしにもっと馴染んでいくといいなと思いますが、そのためには何が必要なのでしょうか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
SDGsが当たり前の世の中を実現するためには、つくったモノをいかにリサイクルしていくかという側面と、そもそもエシカルな素材を使ってモノをつくるという2つの側面があります。

今回のEXPOでもエシカルな素材を使った様々な商品が展示されていますが、その活用がなかなか進まない背景の1つに「態度と行動のギャップ」があります。消費者はサステイナブルな活動に対して好意的な態度を示しても、行動に示さないことが多いのです。

三田キャスター:
態度と行動のギャップを埋めるためにはどんなアプローチがありますか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
例えば電通の調査で、「エシカル消費をする条件」で最も多い4割以上の回答を集めたのが、「価格が同じならエシカルな商品を選ぶ」でした。つまり「地球への優しさ」は大切でも、高いコストを支払うことには抵抗があるのです。

そこで、エシカルな商品をつくる企業は、いかに早く規模の経済性を獲得し、生産量を増やしてコストを下げられるかが普及のカギとなります。

そのためには消費者に欲しいと思わせるきっかけが「地球への優しさ」だけでは弱く、つくる側はデザインや機能を充実させ、商品としての魅力を高める努力が求められます。

三田キャスター:
魅力的だと思って手にとったものが地球に優しいものであれば理想的ですが、私たち使う側にできることはありますか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
VTRにあったスクールリュックのように、子供の頃からエシカル素材を使った商品に親しむと持続可能な消費が当たり前に感じられるはずです。

もう1つは商品開発に消費者を巻き込んでいくことです。学生が考えたiPhoneケースのような商品が増えるとエシカルな消費が自分ごと化されるようになります。

環境的責任で知られるパタゴニアは、「サステイナビリティ」という言葉を使っていません。パタゴニアにとってそれは当たり前のことだからです。SDGsを真の意味で実現するためには、バズワードのようになっている「サステイナビリティ」を過去のものにする必要があります。

三田キャスター:
こうした商品の種類と価格の幅が広がって選択肢が増えることを期待したいですし、私たちも改めてものを大切にする心を養いたいと思います。

番組で放送したSDGsに関する企画は、「60秒SDGs NEWS」としてTikTokでも手軽に見られるようになりました。是非こちらもチェックしてください。

(「Live News α」10月18日放送)