大阪・天満のカラオケパブでオーナーの女性を殺害した罪に問われている常連客の男の裁判で、検察は無期懲役を求刑した。男は裁判の最後に、約1時間にわたり自身の主張を述べた。

無期懲役の求刑に…被告「死刑の宣告を」

無職の宮本浩志被告(57)は2021年6月、大阪・天満のカラオケパブ「ごまちゃん」で、オーナーの稲田真優子さん(当時25)を刃物で刺して殺害した罪に問われている。

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逮捕当時、宮本被告は事件への関与を否認していた。

真優子さんの母・稲田由美子さん:
まゆっちのスマホです。見ました…

裁判を前に、検察から家族の手元に返ってきた真優子さんのスマートフォン。そこからは、被告の男の異常とも言える執着が見てとれた。

<宮本被告からのメッセージ>
あー、まゆさんの声、聞きたいな。眠れてないんです。勝手なことですが。1時間おきに目が覚めて

また宮本被告は、真優子さんに執ように電話をかけ続けるなど、連絡が途絶えることはなかった。 
そして、6月11日の犯行当日。宮本被告が真優子さんの店に訪れた後に撮った写真。宮本被告はこのすぐ後に犯行に及んだと考えられている。

9月の初公判で、宮本被告は裁判員に「判決は死刑をお願いします」と話し、弁護側は無罪を主張した。

10月12日に大阪地裁で行われた裁判では、真優子さんの母親の由美子さんが証言台に立った。

真優子さんの母・稲田由美子さん:
(真優子さんが)どんなに痛かっただろう。どれほど恐怖だったか、想像しただけで胸が張り裂けそうな思いです

検察側は、宮本被告の靴や服に真優子さんの血液が付着していたことや、現場に残されていた宮本被告の指輪に真優子さんの皮膚片が残されていたことなどを指摘。被害者に好意を募らせ、感情を鬱積(うっせき)させて犯行に及んだと主張し、無期懲役を求刑した。

一方、弁護側は「被告の犯行で間違いないと示す証拠はない」などとして、改めて無罪を主張した。

裁判の最後に宮本被告は「証拠隠滅という言葉もなかなかいいものだなと。捜査して見つからなかったから証拠隠滅」「見つけられなかった捜査の不手際だ」などと語り、直接的に認否を明らかにしないものの、検察批判を展開した。

一方で「判決は死刑を宣告していただきたい」と、これまでと同じ主張を述べた。

裁判後に行われた会見で、真優子さんの兄は「どんな判決を望む?」という質問に、「社会的制裁を受けて苦しみながら生き続ける。それが一番死ぬよりも苦しいことだと思う」と述べた。

判決は、10月20日に言い渡される。

検察を批判した上で、認否を明らかにせず死刑を望む宮本被告。裁判での言動が判決に与える影響について、報道ランナーに出演する菊地幸夫弁護士は…

菊地幸夫弁護士:
現に求刑には相当な影響を与えています。被害者1人の殺人事件であれば、懲役は10数年ぐらいが落ち着きどころ。それが無期求刑にまでなっているということは、裁判員にも影響があると思う。職業裁判官は比較的、今までの相場に注目しますが、裁判員は“反省がない”“謝罪がない”といったことに影響を受けるのではないでしょうか

(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月12日放送)

関西テレビ
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