23年卒の就活に”異変”
10月3日は就活生の晴れ舞台、内定式のピークだった。

新型コロナが落ち着いて企業の採用意欲も復活し、就活市場は「売り手市場」に戻っている。マイナビによると、6月時点で学生一人あたり平均2.25社もの内々定を受けている。これは現行の採用スケジュールになってから過去最高だ。

そうなると増えるのが「内定辞退」。22年卒の学生に比べ、23年卒の学生で「内定を辞退した」人は8.2%増加している(22年3月時点、リクルート調べ)。企業側にとって、新卒採用は「いかに内定辞退を防ぐか」に変わっていきているとも言える。
ここで、注目されているのが「リファラル採用」。
リファラル=Referral(紹介、推薦)採用とは、自社の社員が紹介した知人や友人を採用するというもの。22年卒の新卒採用では、前年比で7.1ポイント、このリファラル採用を導入する企業が増えている(リクルート調べ)。
「リファラル採用」が増えるワケ
リファラル採用サービスを企業に提供する株式会社MyReferは「自社の理解を深めてもらいつつ、信頼できるつながりから、次年度以降の学生に個別でアプローチする方法としてリファラル採用を始める企業が増えている」と分析している。
リファラル採用には主に3点のメリットがある:
●企業が欲しい人材に効率的、低コストで接触できる
●紹介者と内定者との信頼関係により内定辞退率が下がる
●紹介者として自社の社員が採用に関わることで会社への理解が深まり、モチベーションにつながる・離職率が下がる
MyReferによると、働きだす前の内定者が採用の担い手になる「内定者リファラル制度」も増えているそうだ。優秀な友人や後輩を紹介してもらえるうえ、内定者と人事担当者とのコミュニケーションが深まり、内定辞退のリスクも減るという「一石二鳥」の効果が見込まれる。たとえば、高知銀行では、2021年10月にこの内定者リファラル制度を導入し、前年は11.5%あった内定辞退率が2.5%まで下がった。
新卒採用の売り手市場がつづき、対面での採用機会が減る中で、企業は「待ちのマス型採用」から「攻めの個別採用」へ動いている。
(フジテレビ経済部・井出光)