日本初の「糖質ゼロ」ビールとして大人気となった『キリン一番搾り 糖質ゼロ』。
このヒット商品の裏側には開発者の、ある身近な体験があった。

きっかけは友人や妻の正直な一言

2022年7月の製造品からリニューアルされた『キリン一番搾り 糖質ゼロ』。

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従来品より麦芽やホップの使用量を増やし、さらにビールらしい味と飲み応えに進化した。
2020年秋に販売を開始してから、販売数量3.5億本を突破する大ヒット商品となったが、開発のきっかけは技術開発担当者が友人と交わしたある会話だったという。

キリンHD 飲料未来研究所 森下あい子さん:
友人の1人が、「ビールが好きなんだけど最近ちょっと体形が気になってくるのでビールは最初の1杯だけ」と言って違うものを飲んでいる残念な姿を見て、「あっ、これがもしやビール好きの本音なのかな」と思い、ビールの好きな方にもっと気兼ねなく飲むことができる美味しいビールを作りたいと思ったのが開発を始めたきっかけです。

周りとの何気ない会話が新商品の開発の種に。
麦芽を使用しながら糖質をゼロにするという技術的なハードルが高い挑戦に約5年の歳月をかけて誕生した。

そして、発売から約2年が経った今回のリニューアルも、きっかけは商品開発担当者の日常生活の中にあったという。

キリンビール マーケティング部 商品開発研究所 山口景平さん:
友達を我が家に招いてホームパーティーをした時などに『一番搾り糖質ゼロ』を飲んでもらうんですけど、「お、おいしいね」みたいな気まずい感じで、優しさにあふれた美味しいみたいな言葉をいただいて、これじゃまずいなと思ったのが1つと、発売の時まで結構忙しかったんですけど、やっと完成したものを妻に飲んでもらって「どう?」と味を聞いたら、妻は正直に「あんま美味しくないね」とすごく単刀直入に言われて、それもなかなか私の心に傷をつけたので、ちょっと頑張ろうかなと。

大手ビールメーカーの新商品だが、 開発のきっかけもリニューアルのきっかけも、開発担当者の周りで起こった出来事だったのだ。

キリンビール マーケティング部 商品開発研究所 山口景平さん:
今回のように糖質ゼロという新しい価値を付加したり、クラフトビールみたいにおいしさのバリエーションを付加したりする感じで、皆さんがあっと驚くようなおいしさを目指していけたらなと思っています。

そしてこの成功体験は商品開発以外にも影響を及ぼしていた。

キリンHD 飲料未来研究所 森下あい子さん:
メンバーが「作りたい」「お客様にお届けしたい」という商品を作るために必要な技術に対して、チャレンジする風土を作る。そういったサポートをする側として携わっていきたいなと思っています。 お客様にワクワクを伝える、我々が仕事でワクワクしながら届けないと届かないんじゃないかって、合言葉じゃないんですけど、働いています。

(「Live News α」10月3日放送分)