賞味期限は通常の7倍!製造から21日に

9月29日、JR秋葉原駅で無料配布されていたのは、その名も「凸パン」。
印刷大手・凸版印刷が、高級食パン専門店「嵜本」とコラボ開発したイベント限定の製品だ。

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印刷を手掛ける企業がいったいなぜこのようなイベントを主催したのか、その秘密はパッケージにあった。

凸版印刷 宣伝部 主任・行徳茜さん:
フードロス削減の取り組みについて当社が展開している「GLバリア」というパッケージフィルムがあり、空気と水蒸気を通しづらいという機能があります。そうすることで中の食品の鮮度を長く保つことが実現できます。

見た目は普通のパッケージと変わりないが、 特殊なフィルム「GLバリア」を採用したことで、 賞味期限はなんと通常の7倍、製造から21日にまでのびたという。

パンを受け取った人からは、「パッケージは確かに厚い、あとなめらかな感じ。パンは翌日にだめになっちゃうことも多いんですけど、置きっぱなしでも10月まで食べられるならいいなと思います」「賞味期間がのびて風味がどうなるのか気になりますが、取り組みはいいと思います」と評価する声が聞かれた。

凸版印刷は今回の取り組みを通じて自社の技術を知ってもらう機会にしたいとしている。

凸版印刷 宣伝部 主任・行徳茜さん:
「GLバリア」がフードロスの解決に貢献していると知っていただいて、その上で日常生活でも「GLバリア」が使われているものを積極的に選んでいただいてサステイナブルな世界につなげていけたらいいなと思っています。

ネット通販で冷凍せず配送できることで価格メリットも

内田嶺衣奈キャスター:
マーケティングアナリストの渡辺広明さんに聞きます。
食品ロスの削減につながる取り組みということですが、どうご覧になりますか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
今回は店頭での期間限定の配布ということですが、賞味期限が7倍になるということはネット通販によるパンの販売につながる可能性が高いと思います。
今後、ベーカリーショップは店舗の立地にとらわれることなく、美味しいパンを全国に売ることが出来て商圏が広がって、売上拡大につながると思います。

内田キャスター:
お店だけでなく、私たち消費者にとっても賞味期限がのびるのはうれしい方が多いのではないでしょうか。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
これまでネット通販の対象となる食品は、賞味期限をのばそうとしたらいわゆる冷凍食品が多かったんです。
今回のように包装資材の工夫で賞味期限をのばせるようになると、冷凍よりも配送コストが削減される可能性が高いため販売価格等で消費者メリットも出てくると思います。

内田キャスター:
賞味期限がのびることで、食品ロス削減につながるという期待も高まりますね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
これまで企業の食品ロス削減の取り組みとしては、小売などでは期限切れ直前のポイント付与や 価格を下げた売り切れ御免のセールなどを行ったり、食品メーカーなどの供給側では、規格外野菜の販売や加工品への利用など運営面での工夫の取り組みが多かったんです。

いずれにせよ、賞味期限切れによる食品ロスの削減には様々な工夫やノウハウが必要だったんですが、包装資材で誰もがどのお店でも食品ロスの削減に貢献できる意味は大きく、今後の可能性を感じます。

内田キャスター:
地球に優しい包装資材の使用が広がるといいですね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
今回の取り組み以外でも、賞味期限をのばす包装資材の工夫として、コンビニ惣菜のフタ等に採用されている 「ガス置換包装(MAP)」という技術があります。
これはパック内の酸素・窒素・二酸化炭素を絶妙にコントロールして食品の保存に最も適した環境を作り出す技術で、賞味期限延長が実現されています。

事業系食品ロスの取り組みの拡大や技術革新が進んできているので、今後もったいないの観点からもますます進化していくことに期待したいです。

内田キャスター:
ひとり一人の意識の向上はもちろんですが、進化した包装パッケージなどが食品ロス削減に向けて大きなチカラになってくれそうです。

(「Live News α」9月29日放送分)