9月にアメリカで開かれた世界的なファッションショー「ニューヨークコレクション」に、ヘアスタイリストとして参加した美容師が新潟市にいる。地方から世界の舞台へ、その挑戦に込めた思いを取材した。

新潟から世界に挑戦 本番に向け練習重ねる

新潟市東区の美容室「アルチア」。ここでオーナー美容師を務めるのが土沼隆さん(39)。

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杉本一機キャスター:
お客さんと笑顔でコミュニケーションをとりながら、一方では真剣に髪と向き合ってカットする表情が印象的です

客:
初めて切ってもらったときに、すごく気に入った仕上がりだったので、そこから通っている

日々、お客さんの要望を聞きながら、美を追求する土沼さん。美容師歴は約20年に達するが、この日の夜、営業が終了したあとの店内では…

杉本一機キャスター:
辺りも暗くなりました。店の営業も終了し、ここからは土沼さん1人、マネキンに向き合います

営業終了後の店内
営業終了後の店内

店に残り、黙々と始めたのはマネキンを使っての練習。

美容室アルチア 土沼隆さん:
世界4大コレクション。よく「パリコレ、パリコレ」と言われるが、パリコレクション・ミラノコレクション・ロンドンコレクション・ニューヨークコレクションと4つある中で、ニューヨークで開かれるファッションショーの準備をしている

パリやミラノなどと並び、「世界4大コレクション」と称され、世界に流行を発信するファッションショーの一つ「ニューヨークコレクション」。
そこでモデルのヘアメイクを担当する日本のチームの一員として、オーディションで選ばれた土沼さんが参加。7月からは毎週店の定休日に東京に出向き、チームでの練習を重ねていた。

自分を変えるため美容師に…業界の現状にもどかしさも

仕事に没頭する土沼さんだが、そもそも美容師を志したきっかけは意外なものだった。

美容室アルチア 土沼隆さん:
18歳まで本当に人と話してこなかった。何とか強制的に人と話す仕事に就きたいと思って

美容師を志したきっかけは
美容師を志したきっかけは

幼い頃から内にこもりがちで、人とのコミュニケーションが苦手だったという土沼さん。そんな自分をなんとか変えたいと、いやがおうにもコミュニケーションが必要となる美容師の専門学校に入った。

美容師の専門学校を卒業
美容師の専門学校を卒業

いざ、美容師になってみると、客との会話から要望をくみ取り、常に美を追求していく仕事の魅力にとりつかれたが、一方で美容業界全体に目を向けると、現状にもどかしさを感じると言う。
理容師美容師試験研修センターの調査では、美容師免許を取得した人の数は2021年度、約1万8000人。20年前と比べ、1万人近く減少している。

美容室アルチア 土沼隆さん:
ずっと流行が変わり続けているから終わりがない。新しい薬剤、新しい技術も出てくるし、本当に美容師の仕事は楽しい。自分がいいなと思ったものは人に勧めたい

「チャンスは自分でつかめる」NYコレクション参加で強まった思い

「地方からでも大きく挑戦する姿を通し、美容師という仕事の魅力を発信したい」そんな思いも込め、土沼さんのニューヨークコレクションへの挑戦の舞台が9月9日に幕を開けた。

ニューヨークコレクションでヘアメイクをする土沼さん
ニューヨークコレクションでヘアメイクをする土沼さん

9月14日までの6日間、様々なブランドのショーでヘアメイクを担当した土沼さん。タイトなショーのスケジュールの中、日本人とは異なる世界のモデルの髪質などに苦戦しながらも、最新のファッションに映える髪型をスタイリング。ランウェイでのモデルの堂々としたウォーキングを支えた。

モデルの髪質に苦労も
モデルの髪質に苦労も

人とのコミュニケーションが苦手だった少年が、世界を舞台にコミュニケーションを取り、世界に美を発信する。

美容室アルチア 土沼隆さん:
誰ともしゃべらないで過ごしていくんだなと考えている時期もあったので、以前と全く真逆のところを生きているなと思う。すごく楽しかった

ニューヨークコレクションへの参加は…
ニューヨークコレクションへの参加は…

帰国後、さっそく自分の店に立つ土沼さん。世界への挑戦を通し、改めて美容師の仕事の楽しさを実感するとともに、発信したい思いをより強くしたようだ。

美容室アルチア 土沼隆さん:
「ここが新潟だから」とか関係なく、自分の両手で大きいチャンスはつかめると思うので、多くの人に美容師をやってみたいな、楽しそうだなと思ってもらい、力を合わせて、これからももっと新しいことに挑戦できたらいい

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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