2022年9月の沖縄県知事選挙で、各候補者は若者などの支持を集めようとSNSでの取り組みも強化した。
その一方で問題となったのが、SNS上で飛び交う誹謗中傷やデマだ。根拠が不明確な情報や特定の人・団体を侮蔑するような表現がなぜはびこるのか。識者に聞いた。

表現の幅が広がることは大事 その一方で…

専修大学 山田健太 教授:
豊かで自由な表現行為が、SNS上も含めてネット上できるってことはとってもいいことで、しかもリアル社会に比べて、よりその表現の幅が広がっているということについては、大事にする必要があると思います

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SNSの重要性を指摘するのは、専修大学で言論法などを研究する山田健太教授だ。

2022年9月に行われた県知事選挙では、各候補者がこれまで以上にSNSを活用し広く県民に訴えてきた。
玉城知事は現職の知名度を生かして、自らの出自や人柄をアピール。

佐喜真さんは、親子の絆を描いたドラマ自立ての動画で選挙への思いを伝えた。

また、下地さんは若い世代への訴えを強化する為に、コミカルな演出で自身の訴えをSNSに掲載した。

“選挙ヘイト”は許されるという思い違い

一方で、選挙期間中にはSNS上で多くの誹謗中傷やデマも飛び交った。

SNSでの書き込み:
統一教会と深くつながるサキマ淳候補を当選させたら、沖縄県自体がカルトの広告塔にされてしまう

SNSでの書き込み:
フランス軍が警告していた沖縄の中国スパイは玉城デニーで確定。フランスの報告書が危惧していた通りの展開が沖縄県知事選で発生している

こうした現状について山田教授は、応援している候補者を当選させたいあまり、情報を発信する人の自制が弱くなっていると指摘する。

専修大学 山田健太 教授:
最近「選挙ヘイト」という言葉が生まれています。いわゆる選挙期間中はヘイトスピーチが自由にできるんだっていう思い違いですよね。選挙候補者を応援する、いわゆるSNSも含めた表現行為についても、自由なんだというふうに思って

専修大学 山田健太 教授:
歯止めない表現を使うということが起きると。あるいは、行き過ぎた自由の表現行為がまん延するという事態が今起こっている

虚偽の情報の流布等は処罰の対象にも

選挙では、ポスターの掲載やビラ配りなど、公職選挙法に基づき候補者の表現に制限がかかる。
一方、インターネット上も、当選させない目的で候補者に関して、虚偽の情報を流したり、事実を歪めて公にした場合は処罰の対象になることがある。(公職選挙法第235条第2項)

2022年9月の県知事選挙に関して、大阪の市議がツイッターに投稿した内容が物議を醸した。

議員 ツイッターより:
沖縄を中国の属国にしたいデニー候補。ウイグル・モンゴル・チベットのように日本民族も強制収容所に入れられ民族浄化(虐殺)されます

議員は自身のツイッターで「私のツイートは事実に基づく合理的な意見であり、フェアなコメントです」と主張しているが、「投稿内容は事実ではなく不法かつ悪質な選挙妨害」だとして市民団体に刑事告発されている。

専修大学 山田健太 教授:
政治家が、ヘイトスピーチを後押しするような言動をリアル社会であったり、あるいはネット上にそういう書き込みをする。勇ましいことを書き込みをするということが、一般市民がやっていいんだ、あそこまではいいんだ、あるいは、彼らがやっていいるのなら、もっとやってもいいんじゃないかっていう状況を生み出している。そういうようなヘイトを、よりしてもいいんだという気安さの雰囲気を醸し出してるというのが、非常に大きな問題

「リアル社会とネット上の表現の自由に差はない」

どこまで表現の自由や言論の自由は許容されるのか。山田教授は次のように説明する。

専修大学 山田健太 教授:
リアル社会とネット上の表現の自由に、差はありません。リアル社会で、例えば相手に向かって喋れないようなこと、口汚い罵りは、ネット上でも言っちゃいけないっていう、そういうことだと思います

玉石混交の情報が溢れるインターネット。
自身の思いを伝えることは大切だが、その一言が誹謗中傷につながり相手を傷つけることにならないかを考えることや、真偽がわからず根拠が不明確な情報を疑う思考を持つことが求められている。

(沖縄テレビ)