対象は高齢者、入院、投薬、妊婦
「都は今後これらの取り組みによりまして、新たなステージへと歩みを進めてまいります」 新型コロナウイルス感染者の全数把握について、小池知事は、今月26日からの国の一律見直しをうけ、東京都も見直すことを決めた。
見直し後でも、医師がこれまでどおり発生届を出すのは①65歳以上②重症化しているなどすぐ入院が必要な人、基礎疾患があり今後入院する可能性がある人③肥満など重症化リスクがあり治療薬の投与が必要な人 ④妊婦、となっている。
この記事の画像(4枚)発熱外来や検査キットで「陽性」と分かったけれど、①~④にあてはまらない人は「陽性者登録センター」に自ら登録。登録すれば、健康観察、配食サービス(条件付き)、パルスオキシメーター貸与、宿泊療養、医療相談、入院・往診などの緊急時対応などを受けられる。しかし、登録するかしないかは本人次第。登録する人を増やせるかの環境整備は、見直しとなる26日までの課題だ。
フラグ立てられる?
「いかにフラグを立てられるか」 東京都は、今後、医師が発生届を出すのが全体の2割、自ら登録センターに届け出る人が8割になると見ている。その8割の人のなかで「急変した人」について、どう的確なタイミングで医療につなげていくのか、これも26日までに、”詰め”なくてはならない課題のひとつだ。
「我慢強い人が重症化するケースは出てくると思う」一方でこのような懸念もあり、体調が悪化してきた場合、どのタイミングで再診を受けるよう促すことができるのか、これも課題だろう。
一方、ある関係者は、「隠れ持病、肥満、ワクチン打ってない。若い人の急変は、この3つのどれかが多い」 と話していたが、「全数把握」を見直して、若い人の急変を把握できるかどうか、心配する声は多い。また、“隠れ疾患”は若い人ほど気づかない傾向にあり「これまで通り、すべて医師が管理した方がいいのではないか」との指摘もある。
BMI25以上は「肥満」
ある感染者の60代男性は、高血圧であることから宿泊療養施設に入所。すると、身長と体重を自ら測定するよう言われ、その数値をもとに肥満度を表す体格指数=BMIを確認されたという。男性の数値「26」だった。
ところが、施設の職員から、「重症化のリスクがあるので、血中酸素飽和度が94を切るようなことがあったら中和抗体薬を投与します」 と言われたそうだ。さらには、「BMI25以上は「肥満」で重症化リスクがあるため、血中酸素飽和度の数値次第で、中和抗体薬を投与する」と説明を受けたという。この男性は、一般的に肥満には見えず本人も驚いていたが、「肥満」は、それだけ重症化リスクが高いと言うことだろう。
不同意のわけは「ど正論」
当初、小池知事は、「国の全数把握見直し」に同意しなかった。その理由について、別の関係者は、「医療機関がひっ迫しているから止める、という、なし崩し的な止め方ではなく、なぜ止めるのか、誰を発生届で把握するのか、しっかり議論して結論を出してから止めるべきだ、と思っていたからだ」と説明した。その上で、東京都の対応について、「東京は、ど正論だった」 と評価した。
では、なぜ、小池知事は、この段階になって、「全数把握見直し」に舵を切ったのか。その根拠は、「発生届」対象外の人に健康観察を提供できるメドが経った他、コロナ治療の飲み薬の一般流通が始まるからだという。
「これまでよりさらに自分の身は自分で守る、ということだ」 このような見方をする関係者は多いが、26日の見直しにむけて残された課題も多い。 自分の身を自分で守るためには、感染予防対策を緩めず、感染したら行政や医療機関から“見逃される”ことがないよう自ら登録、まずはこの2つが大切だろう。
(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)