台風シーズンが続く中、防災ツールである『キキクル』という言葉を耳にする機会が増えたのではないだろうか。いざという時に有効に活用できるよう、改めて使い方をお伝えしたい。

『キキクル』とは…名称は公募で小6児童の案を採用

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『キキクル」は、雨による災害の危険度を、5段階の色分けで地図上で確認出来るもので、気象庁がホームページ上で公開している。

全国各地の【土砂災害】【浸水害】【洪水害】の発生リスクを1キロ四方ごとに見られる。

携帯電話などからアクセスし位置情報と連動させれば、いま自分がいる場所の状況を簡単に知ることができる。

気象庁ホームページを元にフジテレビ気象センター作成/地図出典:地理院タイル(加工して利用)等/Ⓒ Japan Meteorological Agency 2020
気象庁ホームページを元にフジテレビ気象センター作成/地図出典:地理院タイル(加工して利用)等/Ⓒ Japan Meteorological Agency 2020

【土砂災害】…山やガケが崩れたり、崩れた土砂が雨水や川の水と混ざって流れてきたりして引き起こされる災害

【浸水害】…大雨などで地表の水が増加して排水が追いつかず用水路や下水溝があふれたり、河川の増水や高潮によって排水が阻まれたりして、住宅や田畑が水につかる災害

【洪水害】…大雨や融雪などで河川の流量が異常に増加することで、堤防の浸食や決壊・橋の流出などが起こる災害

かつては『危険度分布』と呼ばれていたが、より多くの人に利用されるようにと愛称を公募。1271件の応募の中から、去年、当時小学6年生だった女子児童の案『キキクル』が採用された。名前の由来は「危機が来る」。

色を見て“取るべき行動”を判断

『キキクル』では、災害危険度の高い順に【黒】【紫】【赤】【黄】【白(河川は水色)】の5色を使用している。

「避難指示」「高齢者等避難」などは自治体から出されるものだが、多くの場合、『キキクル』などの防災気象情報は「避難指示」などより早く出されるため、自らの避難の判断に活用したい。

それぞれの“色の意味”と“とるべき行動”は以下の通り。

気象庁ホームページを元にフジテレビ気象センター作成/注:【浸水害】の危険度では【黒】のみが「警戒レベル5相当」で【紫~黄】は警戒レベルの相当なし
気象庁ホームページを元にフジテレビ気象センター作成/注:【浸水害】の危険度では【黒】のみが「警戒レベル5相当」で【紫~黄】は警戒レベルの相当なし

【黒】…「災害切迫」:災害が起きそうか、既に発生している可能性が高い。指定された緊急避難場所などへ安全に移動することができない場合は、今いる場所より安全な場所に直ちに移動するなど、命を守る行動をとる。全ての災害で自治体が出す「緊急安全確保/警戒レベル5」に相当。

【紫】…「危険」:過去に人命を奪うほどの災害が起きた状況に匹敵すると予測されている危険な状態。ガケ・渓流の近くや低い土地、河川沿いの区域など、“危ない”とされる場所にいる全員に避難が求められる。【土砂災害】【洪水害】では自治体が出す「避難指示/警戒レベル4」に相当。

【赤】…「警戒」:警報発表基準への到達が予想されている状況。高齢者や移動に時間がかかる方は“危ない”とされる場所から避難。それ以外の方も、必要に応じて普段の行動を見合わせたり、避難行動を。【土砂災害】【洪水害】では自治体が出す「高齢者等避難/警戒レベル3」に相当。

【黄】…「注意」:注意報発表基準に近づいている状況。避難行動をすぐとれるよう、ハザードマップなどの確認を。【土砂災害】【洪水害】では「警戒レベル2」に相当。

【白(水色)】…最新の防災気象情報などをチェックする。

【黒】になる前に行動判断を

少し細かい話だが、『キキクル』は、情報を見た人が避難準備と移動に十分な時間が確保できるよう設計されていて、【紫】【赤】【黄】は「数時間以内にその状況になると予測された地域」に表示されている。つまり、“近い未来”の状況が、色分けされて示されていることになる。

令和4年9月現在、【土砂災害】は2時間先、【浸水害】は1時間先、【洪水害】は3時間先までの予測が使われている。

一方で【黒】は“近い未来”とは異なる。こちらは「予測値」ではなく、実際に観測された雨量など「実況値」を使って算出されている。

過去のデータと照らし合わせて、何らかの災害が発生している可能性が極めて高いと判断された地域に示されているので、【黒】が表示された地域の方は、ただちに命を守る行動をとることが求められる。

今回、記事を書くにあたり、気象庁気象リスク対策課の坪井嘉宏さんに話を伺ったが、身を守るため、『キキクル』を活用する際の大切なポイントとして、【黒】になる前、【紫】【赤】の段階でしっかり行動判断をしていただきたいと話していた。

便利!「ハザードマップ」と“合体”

おしまいに、“便利機能”を一つご紹介。

『キキクル』の画面にある「重ね合わせ」ボタンを押すと… 国土地理院が持つ「ハザードマップ」のデータが重ねて表示される。

気象庁ホームページを元にフジテレビ気象センター作成/地図出典:地理院タイル(加工して利用)等/Ⓒ Japan Meteorological Agency 2020
気象庁ホームページを元にフジテレビ気象センター作成/地図出典:地理院タイル(加工して利用)等/Ⓒ Japan Meteorological Agency 2020

【土砂災害】のページでは「土砂災害警戒区域」が、【洪水害】のページでは「洪水浸水想定区域」が表示され、警戒が必要とされていた場所を『キキクル』の色分けと同時に確認することができる。

だが、使用する際には、いくつか注意点がある。

気象庁ホームページを元にフジテレビ気象センター作成/地図出典:地理院タイル(加工して利用)等/Ⓒ Japan Meteorological Agency 2020
気象庁ホームページを元にフジテレビ気象センター作成/地図出典:地理院タイル(加工して利用)等/Ⓒ Japan Meteorological Agency 2020

まず、【土砂災害】

「土砂災害警戒区域」は、人が住んでいる場所で指定されているものなので、山道などは対象外。「重ね合わせ」で、通ろうと考えた山道などに警戒区域の表示がなかったとしても、安全ということにはならない。大雨の時、崩れやすいガケなどに近づくのは避けたい。

気象庁ホームページを元にフジテレビ気象センター作成/地図出典:地理院タイル(加工して利用)等/Ⓒ Japan Meteorological Agency 2020
気象庁ホームページを元にフジテレビ気象センター作成/地図出典:地理院タイル(加工して利用)等/Ⓒ Japan Meteorological Agency 2020

続いて、【洪水害】

「洪水浸水想定区域」は、大河川については全国で指定が完了しているが、中小河川は、令和7年度までの完了を目指して作業が進められている最中。
中小河川流域の方は、「重ね合わせ」で何も表示されない場合でも、これまで通り、お住まいの地域や上流域で大雨が降った際は、警戒をゆるめないようお願いしたい。

普段からチェックを

雨による災害は、いつ自分の周りで発生するか分からない。

いきなり“本番”とならないために、全国どこかで大雨が予想・観測されたときには、一度『キキクル』を検索してホームページを開き、どういった内容が表示されるか確認しておくことをオススメしたい。

(執筆:フジテレビ 気象センター兼社会部 川原浩揮)