9月12日から再開された「大阪いらっしゃいキャンペーン」。新型コロナで落ち込んだ観光需要を喚起するための事業で、期待が高まっている。
そんな「大阪いらっしゃいキャンペーン」の補助金を巡り、不可解な事態が起きていることが分かった。

大阪府・吉村洋文知事:
宿泊するお客様を対象にした事業ですから。これは不正だと判断すれば、厳しく対応します

一体何が起きているのか、その実態を追跡した。

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「大阪いらっしゃいキャンペーン」再開も…あるホテルで“不可解な利用実態”

旅行などでホテルに泊まった時、通常は利用客が宿泊代を全額ホテルに支払う。
しかし、「大阪いらっしゃいキャンペーン」を利用すると、この宿泊代の半額(上限5000円)を事務局が補助金で負担してくれるため、利用客がホテルに支払う宿泊代は半額になる。
さらに、宿泊客は飲食店など登録店舗で使えるクーポンももらえる。お得に旅を楽しめるとあって、これまでに40万人以上が利用。約30億円の税金が投入されている。

大阪府内のあるホテルで不可解な利用実態があった。話してくれたのは、障害者の就労支援活動を行っているAさん。

クーポンを受け取ったAさん:
「大阪いらっしゃいキャンペーン」が始まって、クーポンをタダで沢山配ってくれている、いい社長さんと思っていた。(クーポンを)持って行ったら無料でご飯が食べられるよ、と聞いてて、すごいという感じ

Aさんは、このホテルの「ボランティアスタッフ」として週に数回、深夜のフロント業務などを手伝っていた。
ホテルからの給料は出ないが、その代わりに無料で宿泊したり、就労支援活動のためにホテルの厨房を使ったりすることを許可されていた。

そんなAさんが、「大阪いらっしゃいキャンペーン」の対象者として扱われていたのだ。

Aさん:
ここにサインして、チェックして、QRコードを読み取って、ポイントが入ると。「それでいけるんや」と言っていた。私たちも泊まっているからええか、という感じ

Aさんによると、宿泊代を払っていないのにクーポンが発行され、一部を使用したとのことだ。
また、ホテルには事務局から「宿泊代」の半額の補助金が支払われた。
つまり、Aさんの宿泊について、動いたお金は補助される税金だけということになる。

 “無料宿泊”対価は “労働”…しかしホテルは「宿泊代」計上して補助金受給

これはどういうことなのか…ホテルの社長で、支配人の男性が取材に応じた。

支配人:
住み込みで払う賃金あるでしょ。その賃金と、彼女らがホテルに泊まっているという事実がある

支配人によると、Aさんには働いたことの対価として無料で宿泊サービスを提供。さらにAさんと同じ立場の人は全部で7人いて、2021年11月から2022年1月までの間、働いたことの対価として150回以上宿泊サービスを提供したということだ。

支配人は、宿泊代として計上した総額219万円分について申請し、約100万円の補助金を受け取り、約137万円分のクーポンを発行したことを明かした。

支配人:
大阪府民でね、本人達が住み込みをしていた。泊まっているのは間違いないわけだから、客室に

(Q.例えば、2022年1月1日に502号室で2名が2万円分の料金として泊っているとなっているのですが、この2万円は受け取っていない?)
支配人:
受け取っていません

(Q.ホテルとしては受け取った形で申請した?)
支配人:

間違いないです。それは間違いないです。確認取ってます

(Q.それは良くないと思うか?)
支配人:

泊まっている事実があって、その者がホテルの手伝いをしていない人間であれば、これは問題ですけど

(Q.交付された補助金は誰が受け取った?)
支配人:
ホテル、会社が受け取っています。間違いないです。入金確認できていますので

(Q.およそ100万円を受け取った?)
支配人:

そういうことですね

「大阪いらっしゃいキャンペーン」の要項を確認すると、確かに「宿泊代を“労働”によって受け取ることを禁止する」というような記載はない。
ただ、「旅行プラン又は宿泊プランを予約」と記載されていて、通常のホテル利用が想定されていることは明らかだ。

「労働の対価」「住み込み宿泊」申請…吉村知事の見解は?

この利用実態について、キャンペーン事務局はどう判断するのか聞いてみると…

キャンペーン事務局:
基本的には「宿泊」を対象にしていますので、「住み込み」での「宿泊」というのは旅行代金、宿泊代金が設定されたものではないというのが基本的なものと認識しております。「そうではない」という主張が例外的にあるのであれば、個別の事案として事実確認をしていく

(Q.労働対価を事務局はどう想定するか?)
キャンペーン事務局:

すみません。要項上、利用規約等できっちりと明記されていないものではございますので、契約内容であったり、どういった労使関係になっているかを含めて、個別の判断になりますので、事情を確認した上で、対象プランになるのかどうか判断していくことになります

事務局によると、少なくとも宿泊代は現金やクレジットカード、QRコードなどでの支払いを想定していて、労働による支払いは「想定外の事態」だと困惑している。

また、「住み込み」の人による申請は「大阪いらっしゃいキャンペーン」の趣旨に沿うのかどうか、吉村知事の見解は…

大阪府・吉村洋文知事:
労働が現金に代わってというのは、本来想定していないと思います。当然、利用要項があります。またその利用要項の解釈については、本来の制度の趣旨に従って行うことになる。
皆さんの税を使っているわけですから、税を受けている我々の立場からすると、その制度趣旨を完全に逸脱したものがあれば、当然事業者には返金を求めるし、これは犯罪にもなるという場合は刑事告訴も当然検討する、厳正に対処する、ということになります

再開された「大阪いらっしゃいキャンペーン」。打撃を受ける旅行事業者への救済措置として、今、府民が“納得のいく”運用が求められている。

(2022年9月8日放送)