東京ガールズコレクションでお披露目されたかつてない立体感と没入感が得られる縦型のライブビューイングとは? 

スクリーン4枚配置で立体感

3日に行われた日本最大級のファッションイベント 「東京ガールズコレクション」。

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会場には約2万人が来場し、LINEライブやTikTokライブなどの配信視聴者数と合わせると総体感人数はのべ約812万人に達した。

今回も人気モデルやアーティストが出演し、会場が熱気に包まれる中、都内の会場では 「縦型ライブビューイング」が行われていた。

これは、イマジカ・イークスとの日本初の実証実験で、透過性が高い特殊なスクリーンを4枚配置することで立体感があるライブビューイングを実現。 

さらに、縦型動画をスクリーンに映し出すことで、より没入感を得やすい仕組みに。
会場には、ティーン層を中心とした約100人が無料で招待された。

来場した親子:
すごく臨場感があって、本当に会場に行っているみたいですごく楽しかったです。
結構アップがあったりとか本当に歩いてきているかのように見えたりするところもあってすごく楽しかったです。

今回、ライブビューイング用の縦型動画を撮影するため、TGCでは初めて縦撮影用のカメラを設置。 縦型の動画はTikTokでも配信された。

W TOKYO 村上範義代表:
我々はオフラインとオンラインをコロナ禍を経て同じヒエラルキーで作るようになりまして、それぞれに違う体験価値をもたらしていきたい。その中で特にライブビューイングというのはオンラインとオフラインの間のようなところを目指していて、同じ時間に違う空間で新しい体験価値を得られるというところにトライしてみました。

没入体験ができる新たな形のファッションショー。
"空間を超えた体験"の可能性が広がりそうだ。

エンタメは「復活」ではなく「変革」へ

三田友梨佳キャスター:
一橋大学ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに聞きます。 新しいエンタテイメントの楽しみが広がっていますが、マーケティングを研究されている鈴木さんの目にはどう映っていますか? 

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
日本のエンタメ業界は2010年からの10年間は年平均で8%の成長が続き、市場は6295億円にまで広がりました。 
それが感染の拡大によりライブイベントなどの中止が相次ぎ、いきなり8割を超える減少に見舞われました。 

それでもアーティストたちはショーは続けなければならない。ショーマストゴーオンの精神で、無観客でもエンタテイメントを届ける方法を模索しました。 

そしてVTRにあったライブビューイングという大きな鉱脈を探り当てました。

来年、2023年にはエンタメ業界の市場規模は感染拡大前に戻ると指摘されていますが、これは「復活」というよりも「変革」と表現されるもので、デジタルの活用が進みエンタメ業界は大きく変わると言われています。 

三田キャスター:
確かに、コロナ禍の中で私たちのエンタテイメントへの接し方も変わりましたよね。 

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
今回のファッションショーでも使われている「縦型」動画コンテンツは、 スマートフォンとの親和性や没入感が得られやすいことから急速に普及しています。 

これまでライブビューイングといえば、 映画館やホールなどで行われるイメージでしたが、 ストリーミングなどの活用が進み、手のひらのスマートフォンでもライブやショーの臨場感を味わえるため、さらに市場が拡大する可能性があります。 

三田キャスター:
そうなると具体的にはどんなことが可能になるのでしょうか? 

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
会場に足を運ぶというアクセスの制約がなくなり、世界中にライブを届けることが可能になります。
例えば、歌手のアデルは去年11月にニューアルバムの発売に合わせてプライベートコンサートを開催しましたが、これがライブストリーミングされ全世界で1,000万人以上に視聴されました。 

今後はドームコンサートなどをリアルタイムで世界に配信したり、デジタル演出に磨きをかけた    ストリーミングライブが加速すると思われます。
アーティストもファンもリアルの良さと、バーチャルの楽しみが共に広がり、その先には想像を超える新たなエンタメの姿があるのではないでしょうか。 
 

三田キャスター:
奇しくもコロナ禍をきっかけにエンタメ界は新しいテクノロジーが導入されてDXが一気に進みました。今後もエンタメの楽しみ方の幅が広がりそうです。 

(「Live News α」9月6日放送分)