私がお伝えしたいのは、「中国内陸部で起きた電力不足」です。
中国・四川省や重慶市ではこの夏、記録的な猛暑で電力の需要が急増。
一時、計画停電も行われ、日系企業などの工場もストップしました。
今年は、例年の半分しか雨が降らず、およそ8割が水力発電という四川省の偏った電力構成も電力不足の原因と指摘されています。
ポイントはこちら。「クリーンエネルギーの強みが裏目に?」注目です。
【注目ポイント・記者解説】
中国内陸部の四川省や重慶市では8月、猛暑による電力需要逼迫(ひっぱく)で地元当局の通達により日本のホンダやトヨタのほか、アメリカのアップル製品を生産する工場が一時、稼働停止に追い込まれました。
また、商業施設も営業時間を短縮し、電気自動車の充電スタンドの一部が閉鎖されるなど市民生活にも影響が出ました。
中国メディアによりますと、今回、電力不足となった原因は、異常な酷暑によるエアコン需要の増加と、水力発電に依存する四川省で例年の半分ほどしか雨が降らず発電量が大幅に減ったためと報じられています。
四川省では発電量の約8割を水力発電が担い、その発電量は中国の省別で第1位となっていますが、一つのエネルギーに依存した電力構成が今回、裏目に出た形です。
また、四川省で発電された電力は長江下流の重慶市、湖北省、上海市など電力需要の多い地域に供給されていたため、電力不足の影響が広がりました。
その後、中国国営の新華社通信によりますと、気温が下がりエアコンなどの需要が低下したことに加え、大雨により水力発電の能力が回復傾向にあるため、8月30日には電力供給が完全に正常化したと報じています。
しかし、中国国内でも一つのエネルギー源への依存がもたらす脆弱性を指摘する声も上がっていて、中国全体のエネルギー安全保障も踏まえ今後どのような議論になるか注目が集まっています。
(FNN北京支局 葛西友久)