今注目を集めている「セレンディピティ」という言葉を知っているだろうか?「すてきな偶然」という意味で、本や旅行など様々な分野で盛り上がりを見せている。その魅力を調査した。

何が来るか…本好きの好奇心をくすぐるガチャ

8月、本のオンライン販売である試みが話題になった。

吉原功兼アナウンサー:
タイトルも書いていない…。ずいぶんざっくりしていますね

この記事の画像(30枚)

短編や長編、ジャンルなどを選んで購入すると、書店員がおすすめする本がランダムに送られてくる「本のガチャ」。届いた本にはカバーがかかり、すぐにはタイトルが分からないようになっているのも、ワクワク感を高めてくれる。

届いた本にはカバーがかかり、すぐにタイトルが分からないようになっている
届いた本にはカバーがかかり、すぐにタイトルが分からないようになっている

仕掛けたのは、本のネットショップ「honto」。

「honto」販売マネージャー 高橋亜悠子さん:
ネットはある程度欲しいものを決めて買い物に来る。“店の中を歩いて何となく目に留まったものを買う”っていう出会いが作りにくいなと思っていて。「何が来るか分からないけど、面白い文庫が来るよ」というのが、本好きの知的好奇心をくすぐったかなと思っています

8月1日の発売後、即日完売となったこれぞ“セレンディピティ”な本。反響を受けて9月にも第2弾を発売する予定だそうだ。

すてきな偶然を楽しむ体験について、街を歩く若者たちに聞いてみた。

20代男性:
新しい出会いとか、新しい知識とかを得たいので賛成派です

20代女性:
その行為自体が楽しいから、中身が何でも楽しめそう

10代女性:
何が出るか分からないっていうのが、ワクワクして楽しい

消費動向のトレンドに詳しい専門家は…。

博報堂 楠田勇輝さん:
ウェブ検索していると、自分の趣味趣向のものしか出てこないことが多分にあると思います。そうじゃないものに一歩外れる「不確実性」みたいなものが、いつもの日常から非日常にいざなっていってくれると。自分では見つからないものを見つけたいっていうのが、欲求としてあるのかなと思う

行き先はサイコロのみぞ知る どんな旅になる?

そんな“一歩外れる体験”をしてもらおうと、JR西日本が7月に発売したのが「サイコロきっぷ」。一律5000円で往復の特急券が買えるのだが、その名の通り、サイコロを振るまで行き先が分からない。

行き先は西日本の7カ所で、中には往復2万円以上かかる博多まで行けるチャンスもあるのだ。実際にサイコロを振った人に話を聞くことにした。

大阪駅で待ち合わせをしたのは、お笑い芸人をしている藤本康志さんと芸人仲間。

これから3人で、日帰り旅に出かけるそうだ。

リスナップ 藤本康志さん:
サイコロきっぷの行き先、これなんですけど…。「東舞鶴」が出たときの絶望感

ハッピー中尾さん:
どこに行くかっていう旅、なかなかないじゃないですか。自分が絶対行かないようなところに行けたりするんで、だからやってみようよと

近くて遠い、京都府北部の東舞鶴。これまで行ったことはなかったそうだが、せっかくなのでカメラを渡して、その旅を記録してもらうことにした。

吉原功兼アナウンサー:
いってらっしゃ~い!

藤本さんご一行は、京都駅から特急に乗って東舞鶴へ。窓から見える景色ものどかな雰囲気になってきたが…。

ハッピー中尾さん:
後ろ向きに進むんですね

リスナップ 藤本康志さん:
途中から後ろ向きになったね

なんと、途中の綾部駅で進行方向が逆向きに。これもセレンディピティな旅ならではの発見だ。

大阪を出て2時間半、いよいよ東舞鶴に到着。まずは海鮮市場で腹ごしらえだ。

ずらりと並ぶ新鮮な海の幸。食も旅の醍醐味だ。カニたっぷりの海鮮丼にサザエのつぼ焼き、ぷりっとしたカキまで。

Raynaさん:
うま!おいしいです!!

偶然がもたらした東舞鶴の旅。さて、次はどこに?大阪にいる吉原アナがリモートで話を聞いた。

リスナップ 藤本さん:
今、我々は天橋立にいます

吉原功兼アナウンサー:
えっ、東舞鶴って聞いてましたけど…天橋立?

リスナップ 藤本さん:
ちょっとせっかくなので足を延ばして、車で

吉原功兼アナウンサー:
藤本さん、大阪駅でテンション低かったの覚えています?

リスナップ 藤本さん:
何のことだかさっぱり忘れていましたね!本当に今最高ですよ

ハッピー中尾さん:
赤れんがパークも、とれとれ市場も行って。意外と見るとこいっぱいあって。普段来ないところに来れるのはいいですね

Raynaさん:
割と短い時間で大旅行みたいな気分になりましたよね

切符は3日間有効なので、浮いた交通費を使って高級宿に泊まり、温泉ざんまいを満喫する人も。この「サイコロきっぷ」は、開始からわずか2週間で約10万人が購入するほどのヒットとなった。

ターゲット層の10代、20代はもちろん、旅行好きな富裕層にも響いているようで、旅の途中で早くも2回目のサイコロを振る人までいる。

憧れの輸入車と行き先をくじで 古都を遊びつくす最高の1日

セレンディピティな旅を体験してみたいと、吉原アナが訪れたのは奈良県。

輸入車中古販売店が行っている、その名も「くじ旅レンタカー」。憧れの輸入車の1日レンタルと奈良の観光マップのくじを、5000円で引くことができるプランだ。

ROUND MOTER 西井康二社長:
くじにすることによって輸入車の敷居を下げ、安く体験していただきたいという思いもございます

吉原アナもさっそく挑戦。カプセルを開けると…。

吉原功兼アナウンサー:
乗ってみたいなぁベンツ!出てこいベンツ!…はい、出ました。プジョー!

ROUND MOTER 西井康二社長:
オープンカーです

吉原功兼アナウンサー:
オープンカーですか?

観光マップは、橿原(かしはら)神宮などをめぐる橿原定番コースに。セレンディピティ=素敵な偶然に期待して、いざ出発だ。

吉原功兼アナウンサー:
ふぁー風が気持ちいい。オープンカーで良かったー!

青空の下、軽快に車を走らせる吉原アナ。

吉原功兼アナウンサー:
雰囲気も変わってきました。のどかな田園風景、日本の原風景ですね~

くじを引かなければ、きっと見ることがなかった景色。その先に待つのは、飛鳥時代に造られたとされる日本最大級の方墳「石舞台古墳」だ。

日本最大級の方墳「石舞台古墳」
日本最大級の方墳「石舞台古墳」

吉原功兼アナウンサー:
すごい迫力ですよ、近くでみるとこの石!めちゃくちゃ大きいですよこれ、すごいな…

石の総重量は推定2300トン
石の総重量は推定2300トン

石の総重量は推定2300トン。その大きさに大興奮だ。

吉原功兼アナウンサー:
大きい…!

いにしえから続く歴史を感じることができる町、奈良。続いて向かったのは…。

吉原功兼アナウンサー:
こういう場所が奈良にあるんですね。小京都みたいな町並み

石舞台古墳から車で15分の今井町。江戸時代にお寺を中心に栄えたいわゆる「寺内町」で、歴史的な建物が残っている地域だ。

そんな今井町で、おしゃれなお店を見つけた。毎週金曜日限定でランチを提供している古民家カフェだ。

この日のランチは、夏バテしないようにと考案された沖縄風。

吉原功兼アナウンサー:
うわ~おいしそう!ジューシーで旨味も出てきて、弾力と脂身のふわふわが楽しめる

週替わりのメニューは、店主のインスピレーションで作られているそうだ。

吉原功兼アナウンサー:
その時その時に感じるものを表現していくってことなんですね。その辺りも“セレンディピティ”じゃないですか?

くじに導かれた奈良の旅。すてきな偶然にあふれた、セレンディピティな1日になった。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年8月25日放送)