最近では街中で見かけることも増えた「携帯扇風機」。外出の際の暑さをしのぐために手放せなくなった人も多いかもしれない。

手軽に使えて便利な「携帯扇風機」だが、実は2019年から21年までの3年間で、製品評価技術基盤機構(NITE)には47件の事故が報告されている。そこで、どんな事故が起きるのかを実験した2本の動画を公開し、注意を呼びかけているのだ。

(出典:製品評価技術基盤機構)
(出典:製品評価技術基盤機構)
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まずは、「誤って落としたり強い衝撃を与えた」場合。バッテリー内部が破損して爆発する可能性があるという。動画内でも、マネキンの首にかけていた使用中の「携帯扇風機」が突然爆発し、部品の一部が周囲に飛び散っていた。

もし首にかけて使っていたらと思うと、非常に危険だ。

(出典:製品評価技術基盤機構)
(出典:製品評価技術基盤機構)

もう1本は「使えなくなったりした携帯扇風機を一般ゴミとして廃棄した」場合。ごみ収集車の中で圧縮されて火災が起きる危険があるというのだ。

実験した動画では、少しずつ押しつぶされていくと、突然煙が広がり、その直後に一気に炎が上がった。そして、炎が消えた後の「携帯扇風機」は熱で溶け、一部は黒く焼け焦げていた。

(出典:製品評価技術基盤機構)
(出典:製品評価技術基盤機構)

そこでNITEは、携帯用扇風機の扱いで「気をつけるポイント」を4つ挙げ、注意を促している。

・製品を選ぶ基準:製造・輸入事業者や販売元が確かか
インターネットで購入した場合、連絡先が不明などで事故が起きてもリコール等の措置がされないことがある。

・高温となる場所に放置しない、水に濡らさない
車のダッシュボード上や砂浜など、直射日光が当たる場所での長時間の放置や、水没させると、内蔵のリチウムイオンバッテリーが破裂したり正常に働かなかったりするおそれがある。

・落下などの衝撃を与えない
強い衝撃を加えるとリチウムイオンバッテリーが変形して内部がショートし、使い続けると煙や炎が噴き出す恐れがある。もし強い衝撃を与えたら使用を中止し、製造者・輸入業者・販売元などの修理窓口に相談して欲しい。

・一般ごみと一緒に捨てない
携帯用扇風機を捨てる場合、自治体の分別方法に従って廃棄してほしい。


また、万が一、発煙・発火して対処できないときは、直ちに避難するとともに119番に通報するよう呼びかけている。

爆発・発火の「きざし」とは?

これまでにも、スマホに使うモバイルバッテリーが発火するなどの事故が起きているが、そもそもなぜバッテリーから火が出るのか? そして、危険を知らせる予兆のようなものはあるのか?

NITE製品安全広報課の担当者に聞いてみた。


――「携帯扇風機」のリチウムイオンバッテリーはどうして発火する?

リチウムイオン電池の電解液には石油製品のような引火性のある液体が使われています。電池に外部からの衝撃が加わるなどで、電池内部でプラス極とマイナス極を分ける仕切りが破壊されると、ショートにより異常発熱し、発火等の事故につながるおそれがあります。


――爆発や発火する前に、予兆や「きざし」はないの?

「充電できなくなる」「電池部分が今までになく熱くなる」「電池が膨らむことで本体が膨らむ」などの異常があることがあります。その際は、使用を中止して、購入店又は製造・輸入事業者の修理窓口に相談してください。
 

――インターネットではなく、店頭購入したものは安心なの?

インターネットで販売されている製品の中には、店頭で販売されているものもありますので発火のリスクは同等と考えます。店頭購入した携帯用扇風機でも事故は発生しています。実店舗がないインターネットのみで販売されている製品の中には、事業者に問い合わせようとしても連絡先が不明な場合があります。品質管理や購入者への対応をしっかり行う事業者は、製品に責任を持つ者としてその名称や連絡先を明確にしているはずです。製品を選ぶ際には、事業者の連絡先が確かなことを一つの基準としてください。


――公開した動画のように、顔のそばで爆発した事故もあった?

NITEに報告があった携帯用扇風機の事故において、使用中の携帯用扇風機が発火して顔にけがをした事故はありませんが、使用中に発火した事故は発生していますので最悪のケースとして考えられます。


――もし事故が起きたら、どこに相談すればいい?

お近くの市区町村や都道府県の消費生活センター等の消費生活相談窓口にご相談ください。
「消費者ホットライン 188(お近くの消費生活センターへつながります)」

(出典:製品評価技術基盤機構)
(出典:製品評価技術基盤機構)

実験動画を見れば、リチウムイオンバッテリーの爆発・発火がいかに激しいかがわかる。煙が出たと思った次の瞬間、バラバラに飛び散ったり、火が吹き出たり…。こんな事故を起こさぬよう、もし落としたらすぐに使うのをやめてほしい。そして、一般ゴミとして捨てないように気をつけていただきたい。
 

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。