東日本大震災で多くの児童・教職員が犠牲になった、宮城県石巻市の大川小学校。その卒業生が映画を制作し、高知市で上映会を行った。作品に込めた思いを取材した。

妹を亡くし…大川小学校の卒業生が映画を製作「自分を納得させるため」

この記事の画像(15枚)

映像作家・佐藤そのみさん:
みずほへ。お元気ですか。みずほはもう21の年だろうか。あっという間だね。
お姉ちゃんはあの後、中学と高校を卒業して、その後、東京に行って映画を勉強する大学に入りました。映画なんて5本くらいしか、真剣に観たことがないのにね

ドキュメンタリー映画「あなたの瞳に話せたら」は、震災で亡くした家族や友人に宛てた手紙を元に撮影された。

制作したのは、宮城県石巻市出身で、大川小学校の卒業生・佐藤そのみさん(26)だ。

東日本大震災直後の大川小学校
東日本大震災直後の大川小学校

11年前の3月11日、中学生の時に自宅で被災。津波で84人が犠牲になった大川小学校で、当時小学6年生だった妹を亡くした。

映像作家・佐藤そのみさん:
震災のことを語り継ぎたいというよりは、自分を納得させるために、自分が次に進むために、作品を作らなければいけないという思いがあった

ドキュメンタリー映画「あなたの瞳に話せたら」
ドキュメンタリー映画「あなたの瞳に話せたら」

7月24日、高知市で開催された映画の上映会。満席になるほど多くの人が詰めかけた。
映画は、震災から8年半が過ぎた2019年12月に撮影された。当時大川小に在学し、家族や友達を亡くした男性らが出演している。

只野哲也さん(ドキュメンタリー映画「あなたの瞳に話せたら」より):
5年1組のみんなへ。震災から8年が過ぎ、皆とも少しずつ年が離れていきますね。あまり皆の所に顔を出しに行けなくてごめんね。本当は皆の家に手を合わせに行きたかったけど、残された皆の家族に悲しい思いをさせてしまうと感じて行けませんでした

“被災地で同じ境遇にいる人の間にも、溝が”…「超越できる作品を」

3年前に撮影した映画「春をかさねて」
3年前に撮影した映画「春をかさねて」

また今回は、佐藤さんが脚本から手がけた3年前に撮影した映画「春をかさねて」も、同時に上映された。大学の同級生で、高知県越知町出身の織田知樹さんが撮影を担当した。

舞台は震災から1カ月が経った、とある被災地。地震で妹を亡くした中学生の主人公は、まだ実感が湧かないまま、マスコミの取材に応じている。

記者(映画「春をかさねて」より):
妹さんの安否を知ったのはいつのことですか?

主人公(映画「春をかさねて」より):
震災から2日目です

ある日、同じく妹を亡くした幼馴染が、ボランティアの大学生に恋心を抱き始める様子に嫌悪感を抱いてしまう。

幼なじみ(映画「春をかさねて」より):
別に何も考えてない訳じゃないよ

主人公(映画「春をかさねて」より):
ごめん

幼なじみ(映画「春をかさねて」より):
いいよね、祐未(主人公)は。なんでも人の前で話せて。お手本みたいに生きれて立派で。私なんかまだ、ちなつ(妹)の夢も見てないもん

映画では、多感な10代の子どもたちに、震災がもたらした現実を表現している。

映像作家・佐藤そのみさん:
被災地の中でも皆同じ境遇にありながら、表に出てこれない人、逆に発信している人、色んな人がいて、その中で溝が生まれていったように見えたんですよね。それを超越できるような作品を作りたくて。だからあえて同じ境遇にありながら、違う正反対の二人を描いてみた

観客(埼玉から):
大切な家族や人を亡くして生き続けるっていうのは、すごくつらいことだなと

観客(高知県越知町から):
大人を中心じゃなくて、子どもさんの気持ち、葛藤を見せてもらって、こういうふうに皆が考えて子どもって大きくなって、その場を広げて行くんだなあって

高知でも30年以内に、70%から80%の確率で起こるとされている南海トラフ地震。

佐藤さんは「震災で苦しい経験をしても必ず前に進める」と言う。

映像作家・佐藤そのみさん:
誰にもこの苦しみがわかってもらえないんじゃないかっていうふうになるのかなと思うんですけど、周りの人に話したり自分と向き合ったり、もしくは自分から離れたり。なにかそういう時間を持つことで必ず前に進めると思う。その作業を放棄しないでほしい。きっと、何とかなるってことですかね

(高知さんさんテレビ)