新潟県魚沼市と福島県桧枝岐村(ひのえまたむら)にまたがる巨大ダム「奥只見ダム」。特別に許可をもらい、ダムの内部を案内してもらった。
建設から60年以上が過ぎる今も、現役の発電施設として稼働。先人たちの偉業により、大自然の中にそびえ立つその姿はまさに圧巻だ。

60年を超えても…今でも変わらない3つの“日本一”

3つの“日本一”を誇る奥只見ダム
3つの“日本一”を誇る奥只見ダム
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奥只見ダムをつくるための資材運搬専用道路として建設された「奥只見シルバーライン」。

全長22kmのこの道路は、うち18kmがトンネルという、国内でも稀な道路だ。そして19ものトンネルを抜けた先には、先人たちの英知と努力の結晶が実を結んだダムが、姿を現す。あるヒット映画のロケ地としても有名だ。

ダムを案内する伊藤俊樹 館長
ダムを案内する伊藤俊樹 館長

案内してくれたのは、奥只見電力館の伊藤俊樹館長。 

奥只見電力館・伊藤俊樹 館長:
このダムは100%発電が目的。今から61年前に完成と還暦は超えたが、まだ現役バリバリで頑張っている

奥只見ダムの設計形式は、コンクリート自体の重さでダム湖の水を支えて水圧に耐える「重力式コンクリートダム」で、日本で一番多い形式だ。高さは157mと、重力式コンクリートダムでは日本一を誇る。

また、ダム湖の中で発電に使える水量「有効貯水量」は4億5800万㎥、発電所の最大出力は56万kWと、ともに同形態のダムの中では日本一の最大水量・最大出力だ。この3つの“日本一”は60年を超えた今でも変わっていない。

水量が増えた場合に開ける「洪水吐ゲート」
水量が増えた場合に開ける「洪水吐ゲート」

ダムの上部に設置された水色の洪水吐(こうずいばき)ゲートは、大雨が降って水量が増えた場合に開けるゲートで、61年の歴史で8回しか開けていない。直近では11年前の2011年、新潟福島豪雨で開けたのみ。

また、その下にある放流バルブは、貯水量が著しく増える緊急事態の場合のみ開けて放流をするが、建設中に試運転で一度開けているのみで、竣工後は一度も放流したことがない、開かずのバルブとなっている。

建設中の試運転以外、一度も放流されたことがない放流バルブ(画像は試運転時の放流写真)
建設中の試運転以外、一度も放流されたことがない放流バルブ(画像は試運転時の放流写真)

ダムの内部へ潜入!

今回は特別な許可をもらい、ダムの内部を案内してもらった。

大きな資材を運んだり出したりする搬入口から中へ入ると、大きなトンネルが待ち構えていた。さらにそこから、ダム内部用のエレベーターに乗って2階へ上がると、今度はやや狭く人が通れるくらいの大きさのトンネルが登場する。
これは「監査廊」と呼ばれる、ダム内部の点検や観測のためにつくられた通路で、まるで迷路のような構造になっている。

奥只見ダム内部の縦断図
奥只見ダム内部の縦断図

内部には4台の発電機がある。発電機では落差170mから流れ落ちる水の力で最大出力56万kWの電気をつくることができ、これで約18万世帯の電力を賄うことができる。そしてこの約7割が首都圏へと送電されている。

ダム内部の監査廊 気温は10℃前後とかなり低い
ダム内部の監査廊 気温は10℃前後とかなり低い

また、内部は水の下にあることから、真夏日にもかかわらず気温10℃とかなり低い。

日本一のダムと大自然が織りなす絶景…グルメや観光も

伊藤館長のお勧めは、ダムの本体と下流側・上流側を一度に見られる電力館2Fから見える景色
伊藤館長のお勧めは、ダムの本体と下流側・上流側を一度に見られる電力館2Fから見える景色

そんなダム、伊藤館長のお勧めスポットは、電力館2階から見える景色だ。ダムの本体と下流側・上流側が一度に見られる、数少ないスポットになっている。

また、奥只見ダム近くにある奥只見ターミナルでは、おすすめのグルメもある。
ダム観光で定番ともなっている「奥只見ダムカレー」は、重力式ダムの形をしたご飯に、なんと新潟名物のササダンゴを添えた逸品だ。

定番メニュー「奥只見ダムカレー」ササダンゴが添えられている
定番メニュー「奥只見ダムカレー」ササダンゴが添えられている

また、レジャースポットとしても美しい湖を周遊することができる「奥只見湖遊覧船」がある。

奥只見湖遊覧船「ファンタジア号」から見える景色はまさに絶景
奥只見湖遊覧船「ファンタジア号」から見える景色はまさに絶景

アメリカの外輪船をモデルにつくられた「ファンタジア号」は、奥只見湖を約40分間かけて優雅にクルージングして楽しむことができる。目の前に広がる大自然の絶景は季節や天気によって見える景色が違い、来るたびに新しい発見ができるスポットといえそうだ。

最後に伊藤館長に奥只見ダムへの思いを聞いた。

奥只見電力館・伊藤俊樹 館長:
水力発電というのは自然と共生しながら、なくてはならないエネルギーを生み出している。これからもメンテナンスをしっかりとやり、電力の安定供給に寄与できる設備として貢献していきたい

(NST新潟総合テレビ)