新居浜市の山あいにある人口120人ほどの別子山地区で、12年ぶりに夏まつりが復活した。
企画したのは地元の中学生。何気ない一言から過疎の地域をつなぐ試みがスタートした。

盆踊り復活のため中学生たちが奔走

7月19日、新居浜市の山あいの集落・別子山地区に響いたのは、夏の風情があふれる盆踊りの音色。「ふるさと別子夏まつり」。別子山の人口は現在125人。会場の別子中学校には地区の人口とほぼ同じ約110人が集まり、伝統の盆踊りを満喫した。

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参加した住民:
昔、懐かしかった

参加した住民:
小学校のころに踊ってたのを思い出しますね

別子山で盆踊りが行われたのは実に12年ぶり。実は、復活させたのは別子中学校の生徒たちだった。

別子中3年・弓山賀子さん:
この夏祭りを通して、地域の方だったり、別子中生徒、小学生、保護者、卒業生、いろいろな人たちがつながれる場所になったらと思って

別子山地区の人口は30年前が315人、12年前は196人、そして、現在125人に。著しく進む過疎化と高齢化。この人口減少が、別子の夏まつりが長く開かれなくなった大きな要因。

別子校区連合自治会・伊藤幸男会長:
いろいろ費用もかかりましたので、それがなかなか調達しづらくなったとか。それと、主体的に参加する人の人数が減ったというのが一番大きいかなと思います

別子中学校は地域存続のランドマークで、世界の動きを視野に入れて新居浜を発展させるリーダーを育成する「グローバルジュニアハイスクール」に6年前からなっている。

現在、新居浜市の内外から集まった18人の生徒が英語や理数系を充実させた授業を受けながら、地域の活性化にも取り組んでいる。生徒のほとんどが生活するのは、寄宿舎「立志寮」。夏まつり復活のアイデアは、寮での何気ない一言から始まった。

別子中生:
最初は花火したいねみたいな、軽い日常会話から、だったらすればいいじゃんと話になって

別子中生:
もともとこの地域にあった夏まつりというのが無くなってしまっていたということが分かったんで、それを復活させることで

別子中の生徒発のプロジェクトは、5月のゴールデンウィーク明けから始動。祭りの出し物から来場者のもてなし方など、担当を6グループに分けて計画を練ってきた。

別子中生:
くじ引きの景品のことについて話し合ってます。どこに何等を入れるかというところを話しあって

配布するチラシも自分たちで制作。また、防災行政無線の施設では…

防災行政無線での呼びかけ:
7月19日火曜日の17時から19時まで別子小中学校のグラウンドで、ふるさと別子夏まつりを開催いたします

収録したのは、まつりの開催をPRするナレーション。当日まで定期的に放送した。着々と進む準備。ところが7月に入り、別子山にも新型コロナの第7波の影響が…

別子中生:
一番僕たちが知恵をしぼって考えてたことなので、そこは悲しいことなんですけど

目玉の出し物だった「大声自慢大会」は、自粛せざるを得なくなった。

踊りの指導:
倒して2回まわして、これで1回。これで一通りの踊りになるので

地域の住民が中学生に教えているのは、参加した全員で踊る盆踊り、まつりのメイン。来場者の手本に、動きの1つ1つを教わる。第7波に翻弄されながらも、別子山を盛り上げたい気持ちは揺らがない。

12年ぶりの盆踊りの輪…地域の人たちが感激

待望の本番当日はあいにくの雨。夏祭りの会場は体育館に。それでも会場には次々と人が…。楽しみにしていた地域の住民や卒業生たち。

訪れた住民:
楽しみにしてきました

訪れた住民:
子どもたちと踊れるのが楽しみ。本当に久しぶりなんで

ついに開幕、12年ぶりの「ふるさと別子夏まつり」。プログラムは一部変更されたものの、生徒たちは練習を重ねたバンド演奏や太鼓の妙技、ダンスを披露。

また、ヨーヨー釣りやお茶のサービスでも来場者をおもてなし。

そして、夏まつりはクライマックスの全員参加の盆踊りへ。踊りは“扇子をあおぐように大きく回してステップ”。動きがそろってきたころ、人の輪は次第に大きく。別子山に12年ぶりの盆踊りの輪が復活。

参加した住民:
ホンマに久しぶりに盆踊りで、こんなに楽しめるというのはうれしかったですね。感激しました

参加した住民:
踊りが学校を通して、ずっとつながっていってくれたらというのが地域の願いだったので、それが一番良かったです

別子中の卒業生:
私たちが3年生の時に、ちょうどコロナがはやりだして。私たちがいろいろやってみたいと思っても実行できてなかったので、それを後輩たちがこうやって実現してくれてるのが素直にうれしいです

別子山で復活した12年ぶりの夏のにぎわい。中学生たちの試みが紡ぎだすのは…

別子中3年・弓山賀子さん:
地域の方の笑顔とか見れて、うれしかったです。私は中学3年生で今年卒業してしまうんですけど、これからもつなぎたいという思いを未来の後輩に託して、私が高校生になった時は、卒業生として、この夏まつりにまた来れたらいいなと思います

別子山では中学生を中心に、地域と卒業生、そして後輩へと未来へ伝統の輪が広がっている。

(テレビ愛媛)