赤の豊潤に加え、白のやわらかな口当たりで、新たなクラフトビールの魅力をアピールする。

"攻めているビール"

2日に行われたキリンビールの新商品発表会。

キリンビール マスターブリュワー・田山智広さん:
ビールにしては攻めてます。かなり攻めてるビールです。

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"攻めているビール"として発表したのは、キリンのクラフトビールブランド・スプリングバレーから新発売する白ビール「シルクエール」。

一般的なビールの原料には大麦を使用するのに対し、白ビールは小麦や小麦麦芽を多く使用することで、淡い色合いでやわらかい口当たりに。
また、小麦のタンパク質できめ細やかな泡ができるのが特徴だ。

スプリングバレーからは、2021年3月に「豊潤496」を発売して以来、第2弾となる。

飲み比べてみると、「豊潤496」の方は飲みごたえがあったが、新しい「シルクエール」は軽やかで苦味がなく、飲みやすい。

この2つのビールで、新たなクラフトビールの魅力を提案する。

キリンビール マスターブリュワー・田山智広さん:
まさに赤と白ということで、ワインも赤ワインに対して白ワインということがあると思うが、それと同じように捉えてもらえればいいのかなと思う。白ワインに合うようなものは、この白ビールにもぴったり合ってきますので、ぜひペアリングをやるときには参考にしていただければ。

キリンビールによると、日本のクラフトビール市場は、コロナ禍の家飲みを豊かなものにしたいという背景から2021年に急拡大。ビール類全体の販売量に対する構成比も、約1.5%に成長している。

今回の白ビールで、ビールをあまり飲まない層も獲得し、さらなる市場拡大を狙う考えだ。

キリンビール 事業創造部部長・佐藤勇さん:
(ビールに)なじみのないお客さまに1本手に取ってもらうためには、たくさんの場所でこのスプリングバレーのブランドに触れてもらう必要があると思っています。
テレビCMとか量販店で見かけるだけでなくて、例えばお店に行ったらスプリングバレーがあるとか、たくさん接点をつくることによって、お客さまがスプリングバレーブランドを好きになり、それで飲む機会が増えていく。そんな世界もわれわれだからこそつくれるんじゃないかなと。

料理とのペアリングの幅広がる

三田友梨佳キャスター:
一橋大学ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに聞きます。
今回の新しいクラフトビール、どうご覧になりますか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
クラフトビールを原材料や製法、味や色合いで分類すると、100種類以上あるといわれています。そして地方に点在する独立系メーカーの個性に大手ビールメーカーにない魅力を感じる例が多いとされてきました。

ところがクラフトビール市場はこの1年で1.6倍に成長して、その増えた分の約8割をキリンのスプリングバレーが占めており、日本のクラフトビール市場におけるはじめてのマスブランドの構築に成功しつつあります。

三田キャスター:
これからクラフトビールがより多くの人に愛されるためにはどんな事がポイントになるのでしょうか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
乾杯からご馳走様まで、あるいは気分やシーンに合わせて寄り添ってくれる個性豊かなラインナップを楽しめることが鍵になります。

例えば、キリンのスプリングバレーでいうと、これまでの「豊潤496」は苦みが際立っていてホップ本来の風味が味わえます。

これに対して今回の新製品でる「シルクエール」は苦みが少なく、さわやかな味わいが特徴で、まったく異なるラインアップが同じスプリングバレーブランドから展開されることで、料理との相性を楽しむペアリングの幅も広がります。

三田キャスター:
確かに、ワインで「赤ならお肉」、「白ならお魚」 というように美味しい組み合わせはお酒の楽しみの1つですよね。

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
しっかりした味わいの「豊潤496」なら肉や揚げ物などタレやソースが際立った濃い味付けの料理との相性が良く、一方、「シルクエール」は飲みやすく、軽やかなので、魚や野菜などあっさりとした味付けの料理と合うようです。

スプリングバレーの新製品で成功した「豊潤496」のヘビーユーザーの嗜好に合わせず、真逆の特徴をもつタイプを選んだことは、クラフトビールの魅力を知ってもらい 「とりあえずビール」ではなく、「やっぱりビール」という流れをつくりたいというキリンの意気込みを感じました。

三田キャスター:
ビールの選択肢が広がることで、 ビールの楽しみ方も幅が広がりそうですね。

(「Live News α」8月2日放送分)