小麦に食用油、調味料。食品の値上げが相次いでいる。子どもたちが楽しみにしている学校給食の現場では、どのように対処しているのだろうか。

食材値上げでも"量"減らせない…給食費は「すべて購入費に」 

北海道札幌市中央区の小学校。この日の給食はジンギスカンにシューマイ、人気のメニューだ。
札幌市の給食費は月額で小学校が4550円、中学校は5250円。

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これらは全て食材の購入にあてられ、人件費や光熱費などは札幌市が負担している。
給食は文部科学省が栄養価などの基準を決めているため、値上げが続いても量を減らすことはできない。

桑園小学校 藤本 早紀 栄養士:
札幌市では給食の献立に3品から4品を出しているが、それを3品にして1品あたりのボリュームが多い献立にした

札幌市では2020年に給食費を値上げしたばかりだ。札幌市は食材の高騰を受け、栄養バランスや量などを保つため、保育所や小中学校などに5億1000万円の食材購入費を補助することを決めた。

桑園小学校 藤本 早紀 栄養士:
献立によって、1食あたりどれくらいになるのか計算している。できるだけ安い献立を組み合わせていくしかない

苦しい「学校給食」事情…地元企業が"救いの手"

学校給食が苦境に陥っている。さまざまな工夫とともに、地域の子どもたちのため“ご当地食材”を提供する取り組みもある。

北海道空知地方の浦臼町と新十津川町の農家で作る「ピンネ農業協同組合」では、特産のコメ240kgを2013年から地元周辺の給食センターに提供してきた。

地元のブランド米のおいしさを知ってもらうことが目的だ。
肥料や燃料費などの値上げで苦しい経営が続いているが、今後も提供を続けていきたいとしている。

稲作農家 小野 康さん:
物価高騰のあおりは、もろに受けている状態。みんなにおいしいものを食べてもらいたいという思いでやっている

周辺町村にも提供…「子どもたちに地元の"ソウルフード"を」 

滝川市民のソウルフード「味付きジンギスカン」を、学校給食に提供している松尾ジンギスカン。
2015年から始め、2021年は周辺10市町の小中学校に年間1トン以上を提供している。

金額にして300万円以上になる。

松尾ジンギスカン 松尾 吉洋 社長:
2015年と比べると約1.5倍の価格にはなっているが、中空知地方で「味付きジンギスカン」ができたということを知ってもらう機会にしたいので、この取り組みは続けていきたい

砂川市の学校給食センターでは、周辺4市町の小中学校の1日1680人分の給食を作っている。

食材費が高騰する中、コメの提供は6万円分の負担軽減となる。
食材の提供を受けている子どもたちは。

児童:
めちゃくちゃ、おいしい。好きなのは野菜を使った料理

児童:
給食はおいしい。パンよりコメ派

値上げラッシュが続く中、どうやって給食の質と量を確保していくのか。苦しい状況が続く。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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