りんごと言えば、冬の果物。りんごの直売所が使われない春と夏の間を利用して、一風変わったお店が誕生した。広島県北部の山あいの集落にできた、店のその船出を取材した。

りんご直売所が…春夏は「アップサイクル」の雑貨店に

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広島県庄原市高野町の、川沿いにある建物。壁には「さとうりんご園」の看板がかかっている。
ここに2022年春、あるお店が誕生した。

アップサイクルニジイロザッカ・伊勢本茂美さん:
りんごの直売所なんですけど、りんごの販売が始まる秋まで間借りして、「アップサイクルニジイロザッカ」というお店になります。古い物や自宅を整理して出てきた物とか、趣味で着物をリメイクしてる人の作品とか、雑貨が並ぶお店になります

取材に訪れたのは、オープン4日前。開店準備の真っ最中だった。店名の「アップサイクル」について、伊勢本さんはこう説明する。

伊勢本さん:
アップサイクルって、付加価値を付けて再利用するとか(という意味)。今、SDGsとか色んな取組がされていますが、昔からもったいない精神とか、おばあちゃんがお孫さんにベストをほどいて次に靴下にするとかしていたと思うので、特別なことではない。
SDGsが叫ばれているからしなければいけないのではなくて、生活の中で楽しんでいければ、それが持続可能になるのかなと

昭和レトロの家具や着物のリメイクも!リサイクル品が所狭しと並ぶ

扱う商品はもとより、陳列棚や家具などもリサイクル品。購入することもできるという。昭和レトロなアイテムがたくさん並んでおり、中にはこんなものも…

伊勢本さん:
これはアイスキャンディを作る道具なんですけど、ラベルが何ともいえずかわいくて、これでアイスを作ろうという人の手に渡ればいいなと。

伊勢本さん:
自分が子供の頃に見たようなものとか、懐かしいとか、ちょいちょい買ったり、もらったりしたものが、30年位ため込んだものが家にたくさんあるんです。その中から次の人につなぎたいなと思う物を並べてあるんです

伊勢本さんと共にお店を運営するのが、自らリメイクした着物を並べる玉井友香里さんだ。

玉井友香里さん:
遺品整理をしていた時なんですけど、着物がたくさん出てきまして、なんか捨てないで使える方法がないかなと。普段もっと着られるものにならないかと思って、カジュアルに着こなせるようにと思って作り始めました

見ているだけでも楽しい店だが、なぜ、りんごの直売所で出店することになったのか。

伊勢本さん:
りんごの販売は9月から11月。ここは豪雪地帯なので、冬は来ることができない。春先から秋までは、ここが空いている。場所も再利用。ここもうまく有効活用して、りんご以外でも高野町に来てもらって、さとうりんご園を知ってもらえる機会が作れるんじゃないなかと思って

農家と消費者をつなぐ…米麹や玄米コーヒーも販売

実は伊勢本さんは、「広島農業体験イベントグループ・つなぐぷらす」という団体で、農作業の手伝いや収穫体験などを行い、消費者と生産者を繋ぐ活動を続けてきた。

そんな、生産者への支援の思いを、店内でも感じることができる。食品も置かれているのだ。

伊勢本さん:
農家が作る加工食品は、究極のアップサイクル。例えば米農家では、精米ではじかれた米は正規品より小さかったりしますが、これで米麹を作ったり、玄米を炒めて焙煎した玄米コーヒーもあったりする。これはアップサイクルというテーマに合うもので、こういったものを扱おうと思っています

山あいで生まれる交流 地域と地域をつなぐコミュニティの役割も

そして迎えた、オープン当日。開店時間すぐから多くの人がお店を訪れた。皆さん、おしゃべりをしたり、気になる雑貨を手に取ったり、楽しんでいるようだ。

客:
これかわいい
伊勢本さん:
かわいいと思うものしかない置いてないから(笑)

日曜、月曜のみの限定オープンで、りんごの出荷が始まる前の、8月末までの予定だ。

そんな新しいお店には、地元の人も大きな期待を寄せている。

地域内外の人々の交流の場になれば…

地元の人は:
高野町は商店が少ないので、ひとつでもこういうお店があるのはうれしい。今までにないようなお店なので、外からの人も遊びに来てもらったり面白いものを持ってきてもらったりして、高野町と他所との交流が増えていったらいいなと期待しています

そんな期待通り、店の前ではお客さんや地元の人、伊勢本さんたちが談笑する姿が見られた。

伊勢本さん:
奥出雲や尾道、三原のお客さんだったり、色んなところから来られる。色んな地域の人たちが交流して面白いことが生まれる店になればいいなと思います

山あいにオープンした店は、地域と別の場所から訪れる人々が出会う、コミュニティの役割も期待されている。

(テレビ新広島)