この週末に迫った参議院選挙の投開票を前に、シリーズでお伝えしている「私たち国民は政治に何を求めているのか」

第3回は、FNNが実施した世論調査で、29.6%の回答を集めた 「子育て支援・少子化対策」

まずは、働く皆さんのホンネを聞いた。

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「子育て・少子化」働く人のホンネ

(習い事はしてますか?)
子ども(5歳):
英語とダンス。英語が好き。

父親・通信系(40代):
今度絵画教室に通わせる。

母親・専業主婦(30代):
息子が何かしたいと言った時に「あぁ、ごめん、お金ない」という風にはなりたくない。
小学校、中学校と上がっていくとこんなに自由にはさせてやれないかもしれない。

(今からやっていることは?)
父親・通信系(40代):
株投資は普通にしているので、今は景気悪いけど子どもが20歳ぐらいの時はもう一回盛り返すと思うので、その時に学業で使えるようにするとか最低限やっています。
 

商社(30代):
今「少子化」じゃないですか。そうすると、例えば塾とか習い事系というのも少ない子どもに対してお金をかける家庭が多くなっていると思うので、全部高いんですよね。
給料がそんなに上がっていない中で教育費は高くて、塾とかに通わせないと不利になってしまう環境だと思うので、周りの家庭だと子どもにお金かけて習い事をさせていて、そういった観点でいうと「3人にお金かけるより1人にお金かけた方が」という発想にはなると思う。

極論だが、3人なら例えば100万円支給とか、金銭的メリットがないと子どもも増えないと思います。
 

薬品卸(20代):
休みをとろうとすると、得意先の事情とかで内部で調整したり、いろいろハードルが高いので、例えば最近の人手不足もそうですが、もっと人が増えて仕事を割り振りしやすくなると1人あたりの負担が減って、その分好きなタイミングで休みがとれたりということにつながってくると思います。
 

航空業界(20代):
自分は結婚はまだですが、結婚したり、子どもを産んだ友達を見て、将来的に子育てでお金が要るというのを見ていて思うので、「つみたてNISA」とか財形を見直したり、お金は大事だなというのは感じます、最近。

(雇用への不安は?)
「子どもが何歳までは時短勤務で、小学何年生からフルタイムに戻る」というその切り替わりのタイミングで辞めていく先輩が多いので、会社の制度がさらに寄り添った感じで準備されていれば、先輩たちが辞めなくてもよかったと思います。

「もっと働きたかったんだけど」と言いながら辞めていった先輩が多いので、国からの補助とかもっとあれば良かったのかなとか、条件がもっと緩くなれば子育てしながらでも働ける環境になっていくのかなと思います。

2人目を諦める理由は「経済的不安」

三田友梨佳キャスター:
「子育て支援・少子化対策」については、産婦人科専門医で4人のお子さんを育てる母でもある稲葉可奈子先生に聞きます。

臨床の現場で命の誕生と向き合う稲葉先生は「少子化」についてどのようにとらえていますか?
 

産婦人科専門医・稲葉可奈子先生:
子どもはとてもかわいく、子育ては楽しいですが本当にお金がかかります。
去年の出生数は81万人と過去最少で、予測よりもかなり前倒しで少子化が進んでいます。

なぜ少子化が進んでいるかというと、ライフスタイルの多様化が進んだことにより、1番は結婚率の低下、そして晩婚化や、最近では結婚しても子どもを望まない人も増えているからです。

では、少子化がなぜマズいのかというと、少子化自体というよりも、いびつな人口構造が問題なのです。
社会保障の観点からいうと、多くの高齢者を少ない若い世代が支える状況がマズいのです。

子どもを望んでない方に産みましょうとはもちろん言えませんが、「子どもを望んでいる人はみんな子どもに恵まれる状況」を目指すのが健全かつ現実的な少子化対策といえます。

三田キャスター:
確かに、子宝という言葉がありますが、子どもという宝物を望む方たちの願いがかなう環境づくりが必要ですよね。
 

産婦人科専門医・稲葉可奈子先生:
もう1人欲しいけど諦めるケースの理由の第1位は、育児や教育にお金がかかるという経済的不安です。つまり子育て支援の強化こそ少子化対策になるのです。

出産資金の支援ももちろん有難いですが、出産は一時的な出費であるのに対して、育児は生まれたあとずっと続きます。そこにかかる経済的不安を緩和することができると、もう1人と思う人が増えるかもしれません。
 

三田キャスター:
子育てに関わる経済的な不安を取り除く。 まさにそれこそが政治の出番ですよね。
 

産婦人科専門医・稲葉可奈子先生:
「少子化対策」というと聞こえはいいですし、皆さん「少子化対策を!」と言っていますが、それが本当に意味のある政策なのかウォッチする必要があります。

子育て支援が手厚い国ほど出生率も高まる傾向がある中、日本は先進国の中で子育て支援にかける予算がGDP比で少ないと言われています。

投票率が高い年代のことは軽視できないはずなので、子育て世代の投票率が高まることで、子育て支援も充実していくのではないかと期待しています。

三田キャスター:
参院選を現場で取材していても、子育て支援を重視する方の声が非常に多くあります。
投票は私たちの未来のための選択です。自分の将来のため、大切な人の未来のために1票を投じたいと思います。

(「Live News α」7月6日放送分)