インフラだけはちゃんとしてるはずが
このコラムを書いている7/6朝の東京の気温は26度。先週の36度とか37度から10度近く下がり、雨も降ったのでようやく一息ついた。ただいずれまた気温は上がる。ホントに猛暑で停電に怯える生活というのは勘弁してほしい。
週末には携帯電話のauの通信障害で混乱が生じた。日本という国は人口が減り、成長もせず、株も上がらない、だけど社会保障やインフラはちゃんとしてるから住むには最高だと思っていたので、電気とか通信とか社会インフラが意外に危ういのは相当まずいことだと思う。
日本は電気、ガス、水道、電話、道路などの社会インフラが世界一整った国だ。これらは「国の根幹」だが空気のようなもので、なくなってみないとそのありがたみはわからない。だからこそ政治家はこの社会インフラを国民にきちんと保証する義務がある。そこが今おろそかになってはいないだろうか。

不思議なのは週明けに出たFNNの参院選中盤情勢の議席予測が、引き続き自公が過半数確保の勢いを維持しているという事である。先週あたり内閣支持率が少し下がっていたのだが今週は戻しており、現状では与党優勢の選挙情勢である。
なぜ与党優勢のままなのか
インフラへの不安だけでなく物価上昇もあって与党へのネガティブな感情が大きくなるかなと思っていたのだが与党批判、政権批判が大きなうねりになっていない。なぜなのか。

もしかしたら選挙の争点に電力ひっ迫が急浮上したため、左派野党は与党に比べ原発ゼロを強く主張していたので、エネ政策については与党の方に信頼が集まったのかもしれない。
ただ自民党のエネ政策もほめられたものではない。3.11という不幸な事故のために日本、いや世界全体が脱原発にかじを切ったので安倍、菅両政権は積極的に原発の再稼働をできなかった。加えて欧州からの脱炭素圧力に屈して石炭火力も減ってしまった。
再エネ偏重は失政だった
特にここ数年の再エネ偏重は、ロシアのウクライナ侵略を受けての結果論ではあるが、失敗だったと言わざるを得ない。今後自民党はもちろん野党も一緒に一度頭を冷やして、日本のエネルギー戦略の再構築をしなければならない。
いやそれでは遅い。この選挙戦中にエネ戦略の抜本的な改革案をなぜどこの政党も、どの候補者も出さないのか。熱しやすく冷めやすい日本人は、気温が下がって「電力ひっ迫注意報」が解除されれば電力危機など忘れてしまったのだろうか。

停電しても携帯が使えなくても、元気な人やお金のある人は実はあまり困らない。代替手段を探す余裕があるからだ。ただ子供や病人や生活困窮者にとっては命に関わる問題だ。社会インフラとはそういうものだろう。選挙といういい機会に政治家も有権者も「国の根幹」についてもっと真剣に考えるべきだ。
【執筆:フジテレビ 上席解説委員 平井文夫】