この週末に迫った参議院選挙の投開票を前に、シリーズでお伝えしている「私たち国民は政治に何を求めているのか」

第2回は、FNNが実施した世論調査で、33.4%の回答を集めた 「景気・雇用」
まずは、働く皆さんのホンネを聞いた。

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「景気・雇用」働く人のホンネ

サービス系(派遣・非正規50代):
物価だけ上がってお給料が上がっていないので、どんどん首が絞まっている感じで、生活は先に希望がないです。私はダブルワークをしていて、老後とかを考えた時に生活できるのかなというので、働けるうちに一生懸命働いて蓄えようと。

ーー派遣1本だけだと辛い?
どちらか切られた場合に2つやっていると1つ残るじゃないですか。
50代のダブルワーカーの方はめちゃめちゃ多いです。別に若い子だけじゃなくて、年齢がいっても皆さんフルで働いているので、やっぱり旦那さんがいても先が不安な方が多いのかなというのは感じます。

旅行業界(50代):
会社の経営状況が悪くなっちゃったんですが、良い会社に入りました。「雇用は守る」と言ってくれたので、給料が下がってもしょうがない。腹をくくって会社が存続できるように自分たちは改善し続けることをしていました。
旅行関係なので、安心して来てもらうための努力はしています。政府のガイドラインに則して、そこを守りながら 「来てください」と。

海外よりも日本に行くのはすごく厳しいけど「やっぱり行きたい」と。「厳しいところをクリアしてるから行けるんだ」という風に思って日本に来てもらえたらと思います。是非外国人観光客が日本に来てほしいなと思います。

IT系(40代):
どちらかというと「契約社員はごめんなさい」という感じに先月ぐらいからなっています。
自分も7年前に派遣切りにあっているので、そこが怖かったです。

ーー若い世代の非正規雇用も多いですよね?
多いです。今、若い子の方がモチベーションが高くない気がする。車も要らない、家も要らない、結婚もしたくないという20代の子たちがたくさんいて、その子たちが逆に日本に期待できるような政策をしないかぎり、もう車要らないしみたいなことになっているから、多分働く場所もできてないのかなと思う。

活気があるというイメージは、上の年齢層の人しかないかな。

商社(30代):
ーーベースアップに期待は?
政府としてはそっちに持っていきたいのだと思うけど、企業はなかなか踏み切れないというのが実情としてあるのかなと。

今、人口が減っているじゃないですか。人口=国力だと思うので、やっぱり現役世代、これから日本を背負っていく世代に対して支援・優遇、そういったものをやってもらったほうが全体にとっていいんじゃないかなと思います。

賃金の「格差解消」が重要

三田友梨佳キャスター:
この「景気・雇用」について、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに聞きます。
様々な街の声を石倉さんはどのように聞きましたか?

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
先行きが見えない不安、お金の不安をどう無くしていくかは本当に大きいと感じました。

三田キャスター:
この景気・雇用の問題について政治が向き合う際のポイントはどんなことだと考えますか?

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
景気、雇用での最大トピックは、間違いなく「賃金が上がるか」に尽きると思います。

積極的な金融緩和をして市場にはお金があり、企業は過去最高益を更新し、個人貯蓄は2000兆円を超えていますが、70%超は60歳以上が持っていると言われています。
つまり現役で働く人に対してだけなぜか金が落ちない、この構造をどう打破できるか。それには賃金に関する「格差解消」が求められています。

例えば、男女間や正規と非正規、さらには業種間、企業規模にもそれぞれ差があります。
これを1つの選択で解決することは難しいが、 1つずつでも解消して成功体験を積み上げていくことが大事だと思います。

三田キャスター:
格差の解消のためにはどんなアプローチが考えられますか?

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
正規、非正規の差は最低賃金の引き上げが大事です。
業種間や企業規模の違いによる賃金格差はDX、テクノロジー化を一気に進めて中小企業でも生産性を2倍、3倍と上げられるような政治のアシストが必要だと思います。

それ以外にも、男女間で2~3割の給与格差が生じているので、女性の賃金をどう引き上げていくかが必要な観点だと思います。

1つのやり方として、アメリカで生まれた「ジョブ型雇用」という考え方があります。
これは「人」ではなく、ジョブつまり「仕事」に対して給与を紐づけることで、性別関係なく報酬格差を無くすことができます。

日本でも「ジョブ型雇用」へ移行できている会社が出てきていますが、単に「年功序列を廃止したいだけ」の 「日本流のジョブ型雇用」が生まれないように、同一労働同一賃金を強化する働きが必要だと思います。

三田キャスター:
確かに、新しい働き方を広げていくためには政治が果たす役割も大きいですね。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
賃金の格差を埋めるだけでは不十分で、新たに富を生み出し、多くの人がいまより儲かることが大切で、それには新たな産業を生み出すための規制緩和もセットです。

来年売上が増えるかわからないと思えば賃金を上げる勇気が出ない会社がほとんどのはずです。
来年以降もしばらく成長していくのではないかという、ある種楽観的になれるような実感をどう生み出すか。このモメンタムを創り出すことが政治の最大の役割だと思います。

三田キャスター:
どのように景気を回復させ雇用を安定させるのか、選挙は私たちの未来のための選択です。
投開票日まであと5日です。すでに期日前投票は始まっていますので、1票を大切に投じてください。

(「Live News α」7月5日放送分)