いよいよ、この週末に迫った参議院選挙の投開票を前に、私たち国民は政治に何を求めているのか。4日から3回のシリーズで考えていく。

今湊敬樹キャスター:
第1回目は、FNNが実施した世論調査でおよそ4割もの回答を集めた「物価高対策」についてです。 まずは、働く皆さんのホンネをうかがいました。

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「物価高対策」働く人のホンネ

(物価高を肌で感じていることはありますか?)
メンテナンス業(50代):
いっぱいありますよ!小麦ですよね。パンもありますけど、うどん関係、天ぷら、物価が上がって食べに行きたいけど、おいしいんですけどアウトですよね。なんとかならないんですか!

医療関係(30代):
ネットスーパーとかで3、4日分まとめ買いするときに、だいたい食料品だけで5000~6000円ぐらいだったのが、7000円とかいくことがあったりして「こんなに上がったんだっけ?」みたいな感じです。今までは、タマネギ・ジャガイモ・ニンジンは安くたくさん買えるイメージの野菜だったので、お助けメニュー的な感じでカレーをよく選んで週1回は登場してたのが、2週に1回出てくるぐらいですかね。

IT関係(20代):
IT系の部品メーカー、半導体が非常に高いので、基本的には上げるしかない。 他の部材と置き換えたり、代替提案できるものであれば部品を持ち帰って、他のもので生産するような取り組みはしています。今、海外から輸入するものは全て高くなっている印象なので、コロナもあって物流もストップがかかっているので、改善策はちょっと難しいかなと。

港湾物流(20代):
オリーブオイルが一番でかいですね、僕としては。パスタって簡単じゃないですか。一人暮らしなので、手間がかからない料理だからいいなと思ったんですけど、オリーブオイルを使うようなメニューじゃなくてクリーム系にするみたいな。(オリーブオイルのパスタが)食べたいんですけど、やっぱり抑えていますね。高いので。

小売業(親、50代):
子どもが習い事で水泳をやっていて、送り迎えが入っている水泳教室なので、その関係で値上げがこの1年間で1000円ずつどんどん上がってきているので、入った当初よりも3000円ぐらい上がっています。

(原因は?)
ガソリンの値上げと人手不足と聞いています。 少しお菓子の回数減らしてみようかとか、ジュースの本数減らしてみるとかしています。

(おやつの量が減っちゃったの?)
小学5年生(子):
ちょっぴり。 

小売業(50代):
あ!気付いてた? やっぱりこまめな積み重ねなので。

物価上昇をバネに賃金アップへ環境整備

三田友梨佳キャスター:
この「物価高対策」について経済アナリストの馬渕磨理子さんに聞きます。
様々な街の声を馬渕さんはどのように聞きましたか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
皆さんの切実な声を聞くと物価高をどうするか、これが参議院選挙での争点であるのはもちろん、今の日本の喫緊の課題であると感じました。

現在の状況を整理すると、例えば、電気代は18.6%、ガソリンは13.1%、食品では生鮮野菜が13%以上、生鮮魚介が12%以上と生活に直結するモノの「値上がり幅」が大きいため、 皆さん値上がりを実感する機会も多いかと思います。

三田キャスター:
この物価高に政治が向き合う際のポイントは何ですか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
物価高対策を考える際、忘れてはならないのが所得の低い世帯ほど、その痛みが大きいということです。

食料品やエネルギー価格の値上がりが所得別にどれほどの痛みになるのかを試算したデータによりますと、年収が300万円未満の世帯は、年間5万7000円の負担増でした。
これが年収1000万以上の世帯の場合は、年間8万7000円の負担増となります。

収入に占める割合で考えると、年収300万円未満の世帯は、値上がりのダメージを約2倍も受ける形になります。

三田キャスター:
物価高にどう寄り添うのか、これこそ政治の役割ですよね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
例えば、「物価高」という石につまずいて転んでしまい、膝をすりむいてしまった場合、政治というドクターは補助金や助成金というばんそうこうを貼ります。

問題は、より出血の多い方、つまり所得の低い世帯への手当です。
例えばイギリスでは、低所得の800万世帯に絞って約20万円の支援策を発表しています。
これは、単純計算で1兆6000億円規模となります。

さらに政治というドクターは、ばんそうこうを貼り終えた後に、転ぶことなく、生き生きと歩けるように健康指導を行う必要があります。つまり日本経済を活性化する長期的な視点です。

三田キャスター:
日本経済を活性化する長期的な視点にはどんなことが必要ですか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
物価の上昇をバネに賃金の上昇につながる環境を整えることです。

そんなことができるのかと疑う方もいるかもしれませんが、先進国の中でそれができていないのは失われた30年の中にある日本だけです。 

国の2021年度の税収は67兆円と2年連続で過去最高を更新しました。
国民や企業が納めた税金を人や企業の成長につながる使い道を考えることが求められます。

賃上げがうまくいけば、消費活動も活発になり経済全体が活気づくため、この循環を何としても作っていく必要があります。

三田キャスター:
私たちは物価高という生活に直結する課題に直面しています。政治に無関心という方も無関係ではいられないわけです。
投票は7月10日、もしくは期日前投票はすでに始まっていますので、1票を大切に投じてください。

(「Live News α」7月4日放送分)