これからの夏本番に向け、いっそう懸念される熱中症。
果たして、皆さんの常識は、どこまで正しいのか?知っていそうで知らない、そのメカニズムと効果的な対策について解説します。

猛暑日続く東京 熱中症による搬送者急増…正しい知識で予防を!

観測史上最も早い梅雨明けとなった東京都では、連日の猛暑日により、早くも熱中症患者が急増しています。

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東京都の熱中症とみられる搬送者の推移を見ていくと、6月30日は226人。グラフを見ると、25日から搬送者が急増していることがわかります。25日は、観測史上最も早く35度を超えた猛暑日となった日です。この日以降、6日連続の猛暑日で、搬送者も連日100人を超えている状況です。

帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長の三宅康史さんも、「我々のところは重症の患者をみるのですが、今の時期から1日何人も搬送されてくるというのはこれまでなかったことです」と、早い時期に患者が増えていると話します。

命の危険もある熱中症。正しい知識を身に着けることが、その最大の予防法と言えます。まずは、熱中症のメカニズムを見ていきます。

そもそも「熱中症って?」知っているようで知らないメカニズム

そもそも熱中症とは、高温多湿な環境の中で、多量の汗をかくことにより脱水状態になったことを指します。その影響で、体温の調節に不具合が起き、平熱を超える温度にまで上昇、体に様々な異変が起こり始めます。
脱水状態になると、体温の調節に不具合が起きるメカニズムは、こうです。通常血管は、体温が上昇すると、血管が拡張し、体内の熱を放出しやすくなります。しかし、脱水症状になってしまうと、血液内の水分が減って“ドロドロ状態”に。血管を拡張してもスムーズに血液が流れず、体温をうまく調節することができなくなってしまいます。
つまり、熱中症の症状というのは、脱水症状による体の機能不全のことなのです。

“脱水症状による体の機能不全”とは、例えば、脳がダメージを受けると、めまい・立ちくらみ。胃腸がダメージを受けると、食欲低下・吐き気。筋肉がダメージを受けると、足のつり・痛みなどの症状を引き起こします。このように、血管は体を巡っているため、熱中症の症状は多岐にわたるのです。

さらに気をつけたい点が、時間差で症状が出る場合もあるということです。炎天下での活動(発汗)から、自宅など涼しい場所へ移動すると、体温は下がります。しかし、そこで十分な水分を補給しないと、血流は不完全なまま。無自覚のままで体へのダメージが蓄積し、時間差で熱中症の症状が現れることもあるといいます。

このように、脱水症状の怖いところは、症状が出るまで、ほとんど自覚症状がないという点です。予防をするためには、数少ない「サイン」を見逃さないことが重要です。

熱中症を防げ…数少ない脱水症状のサインは?こまめな水分補給を

数少ない危険サインの1つは、「のどの渇き」の有無。実は、のどが渇いたと感じた時点で、すでに初期の脱水状態になっています。つまり、のどが渇く前の水分補給がベストです。
2つ目のサインは、尿”の変化です。体の水分が減少すると、尿の回数が減ったり、尿の色が濃くなったりするといいます。

帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長・三宅康史さん:
我々は持続的に水分を体から失っているので、本来であれば、点滴のように持続的に入れた方がいいです。ですが、それは難しいので、少なくとも30分に1回ぐらい水分補給し、足りなくなったらすぐ補う。そうやって、翌日に熱中症の症状を残さない、すぐに手を打つ、ということが、重症化させない、あるいは、後から後遺症を残さないために大切なことです。
また、持病のある方、心臓病や高血圧、腎臓病などがある方は、日頃、塩分を取らないで、水分を取らないで、と言われていますので、夏は非常に難しいです。水分を取り過ぎると血圧が上がる、持病が悪化するということが起こりえます。なので、バランスがとても大切です

熱中症の原因となる脱水症状ですが、特に注意が必要な人もいるといいます。

「高齢者」「運動不足」は熱中症になりやすい?

まず、注意が必要なのが高齢者です。感覚機能が衰えることで“のどの渇き”に鈍感になるので、熱中症のリスクが増加します。
さらに、運動不足の人もリスクが高いといいます。実は、体内の水分の4割は筋肉などの細胞に貯められています。つまり、運動不足により筋肉量が減ってしまうと、体内の水分をためる場所も減ってしまい、熱中症のリスクを高めることになるのです。

ダイエットも熱中症リスク増…1日に必要な水分の半分は食事から

さらに、夏のダイエットにも注意が必要です。

1日に必要な水分の約5割を、人は食事から取っています。従って、3食しっかり食べることが、熱中症の予防にも繋がっているのです。特に重要なのは朝食。人が寝ている際にかく汗の量は、最大でコップ一杯分にもなっているといい、実は毎朝、軽度の脱水状態になっているのです。ダイエットなどで、朝食を減らしたり抜いたりすると、水分や塩分が補給できず、少し活動しただけでも熱中症のリスクを上げてしまいます。

そんな中、どのような朝食がこの時期に適しているのでしょうか。

熱中症予防に最適なのは「米飯」 ポイントは水分量

100gあたりに含まれる水分は、ごはんで約60g、トースト(焼いた食パン)で34g。ご飯の水分量は、トーストの約2倍という結果に。
また、朝食は和食がおすすめだといい、みそ汁・煮物類(野菜)など、水分の多いおかずと組み合わせることで、十分な水分補給が可能になります。
飲み物ではなく、食事から1日の約半分もの水分補給をしているということに、気づいていない人も意外と多いのかもしれません。

帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長・三宅康史さん:
食事をきちんと食べるということは、栄養だけではなく、塩分、水分もとれるということです。特に、朝食を抜くというのは非常にリスクが高いです。夜中なにも食べないで、朝食も食べないというのは、とても長い時間水分を補給していないことになります。
また、パンが悪いという訳ではなく、パンを食べるならサラダやスープを添えるなど、工夫することで、和食でなくても、リカバーすることができます

ほかにも重要な、三宅先生おすすめの熱中症への備えは、“暑さに耐えうる体”になることです。

専門家直伝!「汗をかける体になること」

“暑さに慣れる”とはつまり、「汗をかける体になること」、これが大事です。汗をうまくかけないと、体温調節も困難になり、1時間の外出でも熱中症になりやすいといいます。

そこで、自宅で簡単にできる対策として、ぬるめ(38度~39度)のお湯に、10分~15分入浴します。この際、入浴の前後に水分補給も忘れずに行ってください。

正しい知識で有効な対策をとって、熱中症を予防していきましょう。

(めざまし8「わかるまで解説」7月1日放送)

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