福岡・久留米市の某所で待ちあわせしたのは、久留米市内に住む70代の女性。この女性は2020年、ニセ電話詐欺の被害にあった。
事件から1年半が経過した今でも、後悔の念にさいなまれているという。いくら振り込んだかとたずねると、女性は通帳を開いた。

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被害にあった70代女性:
49万9,673円。50万円に手数料を引いた分。ショックですね。バカだなって、へこみますね、自分的に…

不特定多数に電話を掛け、巧妙な手口で現金を振り込ませるニセ電話詐欺。その被害が今、福岡で急増している。
福岡県内の2022年の被害額は、5月末時点で3億928万円。2021年の同時期と比べて、倍増しているのだ。長引くコロナ禍で、在宅時間が長くなったことで犯人に狙われやすくなっているとの見方もあり、警察では注意を呼びかけている。

お金もらえると信じ…犯人の巧妙な手口とは?

2020年12月、午後2時ごろ。家事を終えた女性は、ソファーに腰掛け、普段と変わらない時間を過ごしていた。そこへ鳴り響いた1本の電話。この電話が、女性を悪夢へと誘うことになる。

女性の家の電話には録音機能がついており、実際の犯人とのやりとりが残っていた。

久留米市職員を名乗る男:
もしもし、お世話になります。私、久留米市役所保険課の○○と申します

被害にあった70代女性:
久留米市役所?

久留米市役所職員を名乗る男。受話器から感じた男の第一印象は…

被害にあった70代女性:
誠実であるような感じですね。威圧的な言葉ではない、普通の営業トーク

物腰の柔らかい口調だったため、女性は、相手が市役所職員だと信じて疑わなかったという。

久留米市職員を名乗る男:
介護保険料の水色の封書なんですけど、こちらご郵送したんですが、まだご返信いただいてなかったんですが

被害にあった70代女性:
届いてないですが

久留米市職員を名乗る男:
5月にご郵送したと思うんですけど。

被害にあった70代女性:
5月に? どこに置いたかわからない

久留米市職員を名乗る男:
書類の方が、大変申し訳ないんですけども、再発行できないものなので、内容はご確認していただけてますかね

被害にあった70代女性:
わからんったい。覚えていない、ごめんなさい

久留米市職員を名乗る男:
いえいえ。あの今回の内容はですね、期間内で多く支払いしている月がありまして、こちら納税の兼ね合いですね、2万1,200円。こちらが今、市の方で預かっている状況なんですね

男は「払いすぎた2万1,200円が返ってくる」、還付金の返金手続きができていないと伝えてきた。
そのとき、女性が思ったことは…

被害にあった70代女性:
私が当然もらわないかんことを、手をかけてもらって申し訳ないなと。気の毒ですよね、また(書類を)出してもらわないかんごとなるから

また手間をかけるのは気の毒だと考えたという女性に、犯人の男はこう話を続けた。

久留米市職員を名乗る男:
書類のない方に関しては、(被害女性が)ご希望される金融機関。銀行、信用金庫になるんですけど

被害にあった70代女性:
あ、○○銀行?

久留米市職員を名乗る男:
○○銀行がいいですかね?

被害にあった70代女性:
うん。○○銀行がいいです

久留米市職員を名乗る男:
一度、私から○○銀行にご連絡いたしまして、自宅の方にお電話が入りますので、ご本人様確認としてお話しいただいて、支店に足を運んでいただければと思います

被害にあった70代女性:
どうもありがとうございました

久留米市職員を名乗る男:
とんでもないです。よかったです

電話の相手を市役所職員と信じ込んでいた女性は、いつも使っている金融機関の名前を伝達。その数分後、今度は銀行のコールセンターを名乗る別の男から電話がかかってきた。

コールセンターを名乗る男:
お世話になっております。私、○○銀行コールセンターのですね、○○と申します

被害にあった70代女性:
お世話になっております

コールセンターを名乗る男:
市役所の方からですね、お手元に書面の方がないというお話を伺っているんですが

被害にあった70代女性:
そうなんですよ

コールセンターを名乗る男:
書面のないお手続きですね、当行の方で対応取らさせていただいておりますので、ご安心いただければ

被害にあった70代女性:
すみません

(Q.役所が銀行の手配したことに違和感は?)
被害にあった70代女性:
わあ、すごいねって思った。市役所がこういうサービスもするんだなという感心はしました

指示されたATMへ…男に言われるがまま操作

犯人グループの巧みな連携。女性は、還付金が返ってくると完全に信じ込んだという。

コールセンターを名乗る男:
書面のない手続きというのを、窓口の方で申請のお手続きを対応させていただいてたんですけども、今、当行の方で窓口の方がかなりお待たせしてしまう状態でしたので、お近くの○○銀行の機械の方で申請のお手続きをですね...

男は通帳とキャッシュカードを持って銀行ATMに行き、そこから携帯電話で連絡するように誘導した。

被害にあった70代女性:
わかるやろか。機械弱かったいね

コールセンターを名乗る男:
機械(ATM)に足を運ばれたら、コールセンターにご連絡いただければと思うんですけども。奥様の携帯電話から、本人確認も兼ねさせていただきますので、携帯からご連絡いただければと思います。足を運ぶ際に、(当行の)通帳とキャッシュカードをお持ちいただければ

被害にあった70代女性:
電話したらいいんですね

女性は、銀行のコールセンターを名乗る男に指示されたATMへ。

被害にあった70代女性:
あそこですよ

女性はスーパーにあるATMに到着すると、男に電話をかけた。

被害にあった70代女性:
着きましたよって言ったら、何何の画面があるでしょうって感じで、指示で。画面に沿って順番があるから、それに沿って操作をした

ATM操作に慣れていない女性は、男に言われるがままにボタンを押した。そして、ATMから自宅に帰る途中…

被害にあった70代女性:
終わって(控え)を見たときに、あれって入れたっけ? おかしいな。何で私がもらわないといかんのに、払っているのって

2万1,200円のお金が返ってくるどころか、逆にATMから約50万円を振り込んでしまったことに気づいた。
振り込んだ先は、男たちが名乗った名前と違う個人名義だった。その後、不信に思った女性は警察に相談し、ニセ電話詐欺の被害にあったことがわかった。

被害にあった70代女性:
今はもう…いい勉強になりましたね。自分がダメだったなって。しょうがないですもん。返ってこないものは…

泣き寝入りするしかないと諦める女性。今も犯人の電話番号を記録している。
そこで取材班がかけてみると…

電話ノイズ:
おかけになった電話番号は通信できない状態にあり、かかりません…

いまだ、犯人の逮捕には至っていない。

(テレビ西日本)