私がお伝えしたいのは、「中国コロナ対策で揺らぐ信頼性」です。

中国の地方銀行で8000億円規模の預金が引き出せなくなっている問題で、抗議に来た預金者がなぜか次々と連行される事態に。

実は地元政府がコロナ対策アプリを不正に操作し、抗議に来た人を隔離が必要な状態にした疑いが指摘されているんです。

ポイントはこちら。「抗議封じ込めのためにはコロナも利用か!?」注目です。

【注目ポイント・記者解説】

今回、地方政府の不正操作が疑われた新型コロナ対策アプリは、中国で生活する上では欠かせない存在です。PCR検査や行動履歴などから、利用者の「感染リスク」を緑・黄・赤の三段階で表示します。

アプリは、飲食店やデパート、コンビニなど、あらゆる所で提示を求められ、緑の場合は「感染リスクが低い」ことを意味し、行動制限なしで生活が出来ます。しかし、赤の場合は「感染リスクが高い」ことを意味し、隔離が求められます。

6月中旬、中国のSNS上では、預金者たちが返金を求め、問題となった銀行がある河南省を訪れたところ、アプリが突然「赤」になったと訴える声が続出しました。

中には、夫婦で一緒に行動していたにもかかわらず、預金者の妻だけが「赤」、預金者ではない夫は「緑」のままの人もいたというのです。隔離が必要とされた人たちは、ホテルなどへ連行され閉じ込められる事態となりました。

これには中国メディアも反応。共産党機関誌の人民日報傘下の環球時報元編集長は、SNSで「特定の健康な人に対し、赤いコードを与えるのは違法で公権力の乱用」と厳しく批判しました。

こうした事態に地元政府も調査に乗り出し、「コロナ対策アプリの管理をめぐり、違反が発見された場合は厳しく処分する」としています。

今回問題となったのは、習近平指導部が「ゼロコロナ」政策を推し進める、まさに柱となるシステム。ここで不正が疑われるとなると、コロナ対策そのものへの信頼が揺るぎかねません。

(FNN北京支局 葛西友久)

葛西友久
葛西友久

FNN北京支局特派員。東海テレビ報道部で行政、経済、ドキュメンタリー制作、愛知県警キャップ、企画デスクなどを担当。現在はフジテレビ国際取材部からFNN北京支局に赴任。