行楽シーズンが到来し、ドライブで遠出するという人も多いのではないだろうか。そんな時、注意しなければいけないのが野生動物との衝突事故だ。
暗い夜道を走行中…。
ドライバー:
うお~(衝突音が響く)

これはシカとの事故の瞬間を撮影したドライブレコーダーの映像だ。飛び出してきたシカが画面中央右側に見えるが、暗い夜道では判別することも難しい。
一瞬のアクシデント 事故は5年連続で過去最多
2021年、北海道内で発生したシカとの衝突事故は約4000件。過去最多を記録している。
ドライバー:
道路に「シカ注意」と書いてあるけれど、あるのかなと。他人事だと思っていました

増加するシカとの事故。避ける方法はあるのだろうか。
夜道を走行中、勢いよくシカとぶつかってしまった事故で車は大破。運転していた男性によると、修理費の見積もりは約250万円となり、廃車にせざるを得なかったという。

北海道警察によると、エゾシカによる交通事故の発生件数は、5年連続で過去最多を更新。2021年は初めて4000件を超えた。

ドライバー:
2020年かな。前を走っている車が、シカとぶつかったのを目の前で見ているので。本当に他人事ではないよね

一頭かわしても続けて出てくる…看板の場所は要注意
誰もが可能性があるシカとの衝突事故。どういった時に事故は起きやすいのだろうか。シカの習性に詳しい専門家に聞いた。
酪農学園大学 環境共生学類 伊吾田宏正 准教授:
シカはどの時間帯も活動はしますが、特に早朝と夕方に活動が活発になりますから、その時間帯は特に注意が必要だと思います

北海道警察本部による時間帯別の発生状況を見ても、夕方の事故が最も多く、午後4時から午後8時までの間で、全体の半分以上を占めている。

酪農学園大学 環境共生学類 伊吾田宏正 准教授:
よくシカが出やすい所や過去に事故があった所は、飛び出し注意看板があちこちにあると思うんですが、そういう場所はリスクが高い。そこでは極力スピードを制限する。一頭かわしても続けて出てくるので、油断しないことだと思います

市街地も危ない 車両保険の内容確認を
最近ではシカが市街地に出没することも珍しくなく、交通量の多い札幌市内の幹線道路でも衝突事故が起っている。特に2022年は、市街地に出没しやすい傾向にあるという。
酪農学園大学 環境共生学類 伊吾田宏正 准教授:
この前の冬のように雪がすごく多いと、標高の高いところで越冬できず標高の低いところに下がってきて、その先には市街地があると。そのため、市街地への出没も増加したと思います

万が一、シカとの事故に遭ってしまった場合に重要になるのは車両保険だ。日本損害保険協会によると、ここ数年は保険金の支払い額が増加しているという。
日本損害保険協会 北海道支部 長崎達さん:
2021年度は保険金支払い件数・金額とも最高になっていて、平均支払い額も58.2万円に及び、非常に高額になっています

その車両保険。対象を限定し保険料を抑えたエコノミー型だと、動物との事故は補償の対象にならないケースがあるという。

ドライバー:
シカでも効くという保険に乗り換えた。普通の保険だと保険金が出ないことがあると聞いたから。割高になるけれども、万が一の時に

一方で、大手損害保険会社の一部では新たな動きも出ている。
日本損害保険協会 北海道支部 長崎達さん:
一番早かった会社は2021年4月から。その次に2022年1月から補償を拡大して、動物との衝突による車体の損傷も、エコノミー型の車両保険で補償するように少しずつなってきています

今一度、保険の内容を確認すること。そして、何より大事なのはスピードを落とした安全運転だ。シカに十分注意して、楽しいドライブシーズンを過ごそう。
(北海道文化放送)