全国的に梅雨入りし、大雨への備えが必要な季節になった。広島県は、土砂災害が起きやすい場所が日本で最も多い。
頭に入れておかなければならないのが、万が一に備えた避難のこと。あらかじめ、やっておくべきことと心構えを再確認する。

3年ぶりの防災訓練 線状降水帯による大雨を想定

6月11日、広島・海田町で実施された3年ぶりの防災訓練。線状降水帯による大雨を想定し、町内全域を対象に行われた。

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竹原小学校で開かれたのは、人型ロボット「ペッパー」を使った授業。

ペッパー:
一人の時でも、家族みんなと一緒の時でも、災害が起きる前に避難できるようになりましょう

この授業では、土砂災害が起きやすい危険な場所が約4万8000カ所と日本一多い広島県で、いつ起きてもおかしくない土砂や洪水による災害に備えて、正しい知識を身に着け、少しでも早く避難の決断をすることがいかに大事かを教える。

 

それぞれの避難計画「マイ・タイムライン」作成を

そして、児童とともに地域の人たちも真剣に取り組んだのが「マイ・タイムライン」といわれる災害に備えた避難計画の作成。

万が一の際に、適切な対応をするための重要なアイテムだ。

さらに、県が開発したVRを使って土砂災害の仮想体験も。

児童:
あ~怖い

VRの映像
VRの映像

取材した木村アナウンサー:
音がすぐ耳の近くで聞こえるので、実際にこの状況だったらというのが想像しやすいです

小学4年生:
わかりやすくて勉強になった

小学4年生:
命を守るために行動をしたいと思った

VRもかなりリアルで、こどもたちも地域の人たちも考えておくことが大切ということがわかる仕掛けになっている。取材した木村アナウンサーが詳しく解説。

木村アナウンサー:
授業をきっかけに、児童たちや地域のみなさんも備えの大切さを再確認していました

2021年8月、ちょうどお盆の時期に広島県内で大雨が降った。
この大雨の時の広島県民の避難状況について、調査結果が出ている。

2021年8月の大雨…実際に避難したのはわずか5.7%

男女約2000人を対象に県が行った調査では、警戒レベル4以上が出ていたのに、実際に避難した人はわずか5.7%にとどまった。
※土砂災害については、垂直避難を推奨していないことから含まれていない

避難しなかった理由は、コロナ禍のなかで感染の不安という人もいるが、それ以上に「避難しなければならないほど危険だとは思わなかった」という人が突出して多い。

県の調査は初めてだったので、これまでとの比較はできないものの、避難状況が「低調」だということが浮き彫りになった。

警戒レベル3は「高齢者と体の不自由な方」 レベル4で「全員避難」

本格的な雨の時期に入ったが、改めてどういう時に避難を決断すべきなのかを確認する。
まず覚えておくべきなのは、警戒レベル「3」と「4」。
警戒レベル3では、高齢者や体の不自由な方、小さなお子さんがいる方など避難に時間のかかる人が避難の対象。

そして、警戒レベル4では全員避難となる。

警戒レベル5ではすでに災害が発生、ひっ迫している状況なので、手遅れになってしまうかもしれない。

街の人からは、レベル5とか特別警報が出たら避難すればいいという声をきくことがあるが…警戒レベル3、4が発表されたらすぐに行動できるようにしておく必要がある。そのためにいまやっておくべきなのが、防災用品の調達と「マイ・タイムライン」の作成だ。

これには、どこに避難するのか、誰がどんな行動をするのかなどが書かれている。いざという時の行動を想定しておくと、心に余裕も。素早い避難にもつなげられる。

災害が起きた場合のイメージをしっかり持っておかないと、実際に行動を起こすのはむずかしいかもしれない。この時期、改めてどういうときにどういう行動をとるのかを、家族で、地域で確認しておきたい。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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