高齢者向けの介護施設が今、変化している。競争が激しくなったことで利用者本位のサービスに変わり、個性的な売りを持った施設も登場。
リハビリの一環としてカジノを導入している、愛知県一宮市のデイサービス施設を取材した。(※マスクをしていない利用者の映像など、コロナ禍以前に取材した映像も含む)
施設内通貨「シード」は、お茶やネイルに使える
一宮市の「たんぽぽ温泉デイサービス一宮」は約6000平方メートルの広い施設で、介護認定を受けた人が利用することができる。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/1/700mw/img_5173ce64b94f5faa6ab17c6d2e54e3a3179290.jpg)
1日の利用者は250人以上で、一般的なデイサービスの10倍以上と国内最大級の規模だ。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/c/2/700mw/img_c2f66850257534e6028a45d2c3e84598289389.jpg)
デイサービスは、介護が必要な人がリハビリをして元気を取り戻す施設で、こちらには温泉もついている。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/9/f/700mw/img_9f7235a0981b8a2105c976743ce46bf5265744.jpg)
その中にあったのが、カジノだ。「シード」という施設内で使える通貨を賭けて、カードゲームをしている。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/a/700mw/img_5a7eac8bf19f243bfe29fc343860d8b7271847.jpg)
カードを引いて21に近づける「ブラックジャック」。頭を使って数字の計算を行う、これも立派なリハビリに。一回1000シードを賭け、勝てば倍になる。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/8/8/700mw/img_88209431f105d3bffc9fe1ec7adadd05257454.jpg)
この施設では、ほかにもさまざまなリハビリをすることで、ご褒美としてシードをもらえるサービスを取り入れている。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/b/0/700mw/img_b00e5b0f081460a473002973f51b876a275548.jpg)
例えば、ひもを使ったトレーニングで1000シード、マシンを使った「貯筋教室」で1000シード、階段の昇降運動で片道100シード、利用者が使うタオルをたたむお手伝いで300シードなど。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/7/4/700mw/img_740a0c8b4c8b057c98fc2c7890dc013f242362.jpg)
さらにパチンコまであり、大当たり1回で100シードが手に入る。これも指先のリハビリだという。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/4/8/700mw/img_48e5079e0b611b665c074da07600085b322916.jpg)
こうして貯めたシードは様々な形で使うことができる。コーヒー1杯で500シード、3000シードでネイル体験もできる。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/6/0/700mw/img_6066c40656922b3653de857e215f99a2219501.jpg)
また、他にも効果が…。
施設長:
高齢になってくると、なかなか自分で金銭の管理ができなくなってくる。自分で頑張ったことに対して、稼ぐ喜びや使う喜びを体感していただくことで、やる気になったり、楽しさを見出していただきたい
要介護の状態になると、お金や通帳などを家族が管理するケースが多くあるが、ここでは儲ける・稼ぐ・使うといった人生の喜びも得られるとしている。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/b/b/700mw/img_bbe5d522351e5b279ed0148ae73ff6d0227481.jpg)
たんぽぽ温泉デイサービス一宮の利用料金は、介護の度合いによって異なるが、「要介護1」の場合は昼食代込みで1日1293円から。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/8/3/700mw/img_83ee12c681df8b3e2ffc543c52af77cb317406.jpg)
このような個性的な介護施設について、日本福祉大学 健康科学部の来島修志助教は次のように話す。
日本福祉大学 健康科学部 来島修志助教:
仕方なく施設に行くのではなく、こういうサービスを受けたいからここに行くとか、保険料を払って自分が必要なサービスを買っている。利用者が中心、利用者本位のサービスに変わってきた。そういうことが都市部では特に起きていて、競争が激しくなってきている。(施設側は)いろんな個性的な売りを持っている
競争が激しくなった分、差別化を図るために個性的な介護施設が出始めているのだ。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/d/700mw/img_0d830632953075b4056d601c3d6477d7231164.jpg)
取材した施設の他にも、施設内でお祭りなどのイベントを開き、普段関わりの薄い地元の人に来てもらったり、家でもリハビリができるようにLINEで体操の動画を配信したり、老人ホームにペットが暮らしているなど、多岐にわたっている。
(東海テレビ)