毎年のように豪雨による被害に悩まされている佐賀県。被害を少しでも軽減しようと、水田に雨水をためる「田んぼダム」が2022年、県内9つの市町で導入される。

米どころ佐賀県の「田んぼダム」には、どれくらいの効果があるのだろうか。

水量を抑制し、市街地などへの増水を防ぐ

波佐間崇晃 記者:
武雄市西川登町です。この地域は山に囲まれていて、目の前には田んぼが広がっています。田んぼダムで使うある部品が配られます

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――ここにある「せき板」は何枚くらい?

木寺稔さん:
180くらい? 190枚くらい来とったよ

武雄市西川登町の庭木地区に住む木寺稔さん(69)は、地区の農地や農業用水などを管理している。5月31日、武雄市と県が用意した田んぼダムに使う「せき板」が届いた。

木寺稔さん:
木を班ごとに分けて、各班の代表者に持って行って、各個人の家に配ってもらう。どういうふうに板をはめるかとか、田んぼの中干しの時に外していいよとか。いろいろなことを書いた説明書も入っている

田んぼダムの説明書のようなもの

田んぼダムは出水期を前に、武雄市、佐賀市、神埼市など県内9市町で準備が進んでいる。

大雨が降った際、河川の上流の地域の田んぼにV字の「せき板」を排水口に設置する田んぼダム。田んぼから出る水の量を抑制し、河川や市街地への急な増水を防ぐ。

これは模型を使った実験の様子。

右側が通常の田んぼ、左側が田んぼダムだ。通常の田んぼの方が下流に多くの水が流れ出し、家の模型が流されている。

田んぼダムによって水量を抑制

木寺稔さん:
敏彦さーん!田んぼダムのせき板!きょう来とったけん、あなたのところの分

東島敏彦さん:
住まいは庭木でもちょっと上の方です。武雄市、大町、北方、そこらへんが大変でしょうから、できるだけあっちに水がいかないように。田んぼダムは今年が初めてですからね。どのくらい効果があるか、我々も検証しながら

「田んぼダム」のメリットは

せき板の費用は1枚あたり100円~200円。上流域の農家の協力があれば、比較的安いコストですぐに導入できる。

田んぼダムの第一人者である、新潟大学農学部の吉川教授にそのメリットを聞いた。

新潟大学農学部 吉川夏樹教授:
水田には「あぜ」があるので、水をためられる仕組みが元々ある

新潟大学農学部 吉川夏樹教授:
水田のピーク時の流出量を抑制することによって、河川に集まる水量を減らして被害を減らすというのが、大きなメリットになると思います。コスト的にも安く済む

庭木地区は11日ごろから田植えをする予定で、その後、せき板を設置する。

木寺稔さん:
水をためた時の高さがここになるように設置する。効果がどんなもんかわからんですけどね。少しなりとも協力できるんだったらね、やすいことですよ

住民が安心して暮らすため、できることから

一方、吉川教授は田んぼダムの効果について、限界もあると話す。

新潟大学農学部 吉川夏樹教授:
田んぼダムは「全ての水害を防止する、なくしてしまう」という効果はない

武雄市によると、市内で田んぼダムとして使う田んぼは約164ヘクタール。貯水量は16万トンほどを見込んでいる。

しかし、2021年の豪雨の降水量は六角川流域だけで約3億2300万トン。田んぼダムだけでは抜本的な治水対策とはならない。

県危機管理・報道局 松隈克彦副局長:
大雨が降るという前提で動かないといけない。そうなると、すぐに対応できるものからやっていこうということになる

県危機管理・報道局 松隈克彦副局長:
ダムを作ったりするのが一番効果があるかもしれないが、お金もかかるし住民の同意も必要

ここ数年、毎年のように水害に見舞われている佐賀県。住民が安心して暮らすためには抜本的な対策が必要だが、まずはすぐにできることから。

2022年は、上流地域の協力を得た「田んぼダム」を導入して出水期に臨む。

(サガテレビ)

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