広島市で初の真夏日となった5月29日。その暑さに負けない高校生たちのアツい戦いが、広島県高校総体・陸上で繰り広げられた。

特別支援学校から砲丸投げでインターハイ出場を夢見る1人のアスリートを追った。

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自己記録更新なるか 多くの応援を胸に予選へ

庄原特別支援学校高等部3年の住田英樹選手。

住田英樹選手:
インターハイに出るのを目標にして頑張っています

部活動が盛んではない特別支援学校で、ただ1人の陸上部員として練習に励んできた。

2022年に入ってからはクラウドファンディングで本格的な練習用具の支援を受け、オンラインなどで東京家政学院大学の松山先生の指導を受けながら二人三脚で歩んできた。

そして迎えた地区予選。夢のインターハイに出場するためには、この地区予選と県大会、さらに中国大会を勝ち抜かなればならない。

試合を前にお父さんが作った”勝負メシ”で力を蓄える。

住田英樹選手:
緊張は全然していない。目標にしていることができればいい

住田選手を指導している 松山直輝 助教:
きのうメッセージで12m出すと私に送ってきた。絶対明日出しますと

その言葉通り、自己新記録12m39を公式で出し、大きな自信を胸に県大会に駒を進めた。

6人の枠を37人で競う県大会 不安と闘う

”県代表の切符”をかけて迎えた決戦の日。ウォーミングアップをする住田選手の表情はやや硬め。松山先生が不安を取り除いていく。

住田英樹選手:
6人しか入れない…大丈夫ですかね?

松山直輝 助教:
大丈夫ですよ。記録がどれだけでるか、その挑戦だと思えばいいよ

住田英樹選手:
自分との勝負ですね

松山直輝 助教:
間違いなく。そのためのこの数カ月ですよ。いや数年だな

住田英樹選手:
数年…長い…

エントリーしたのは県内各地の高校に通う37人。特別支援学校からの出場は住田選手ただ1人。まずは3回投げてベスト8に入ったが、思うように記録が伸びない…。

松山直輝 助教:
滑った?

住田英樹選手:
突き指した

松山直輝 助教:
手首は大丈夫?がんばって!

越えるか”12mの壁” 砲丸投げへの思い

そして、最後のチャンス。中国地区大会に出場するためには12m03以上。出来るだけ遠くまで投げる必要がある。

この日一番の放物線を描き、12m付近に落ちた砲丸。果たして”12mの壁”を越えているのか…。

場内アナウンス:
11m99

あと4cm届かず、住田選手のインターハイ出場の夢は途絶えた。

住田英樹選手:
あと4cm足りなかったという悔しさでいっぱい

住田選手は「この先も砲丸投げを続けていたい」と話し、卒業後の進路はこれから考えていくという。

(テレビ新広島)

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