設備投資を行う中小企業が2021年度から増加したことがわかった。

2021年度から1.4ポイント増

日本商工会議所が中小企業を対象に5月に行った調査では、2022年度「設備投資を行う」と回答した企業は43.1%で、2021年度の調査から1.4ポイント増加した。

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設備投資の規模についても、「2021年度より規模を拡大して実施予定」との回答が1.9ポイント増加。

設備投資の目的については、「省力化・合理化」が47.8%で最も多く、次いで「能力増強」が41.5%となっている。

中小企業では依然、新型コロナウイルスによる経営へのマイナス影響が続く中、前向きな動きも見え始めた形だ。

なぜ設備投資をするのか?

三田友梨佳キャスター:
中小企業の設備投資について詳しく見ていきます。

今湊敬樹キャスター:
なぜ設備投資をするのか、その目的上位は「省力化・合理化」47.8%、「能力増強」41.5%、「既存設備の維持・定期更新」38.5%、いわゆる今までのビジネスの延長線で行く「守り」の投資3つです。

一方、「攻め」の投資は、時代の流れにあわせた「IT投資・情報化対応」19.9%、「新分野への進出」14.1%、「新製品生産」12.7%の3つ。
数字を見ると、「守りの投資」が5割近くあるのに対し、「攻めの投資」は2割に届かない低い水準であることがわかります。

ただ、少ないながら、新たな展開に期待している企業もあります。

帯広、一般工事業:
『測量、設計などのソフトへのIT投資を実現し、 建設DXへの取り組みを推進したい』

福井、麺類製造業:
 『従来の事業にとどまらず、 製造販売やキッチンカーでの出店など新たなビジネスモデルの構築を模索している』

一時しのぎではなく本格的な政策を

三田キャスター:
「キャスター」取締役CROの石倉秀明さんに聞きます。時代の変化をとらえた設備投資、どうご覧になりますか?

「キャスター」取締役CRO・石倉秀明さん:
周囲の会社を見ても、この3年間で業態変換やデジタル化に踏み切る投資で、自ら変化した会社は今のタイミングであまりコロナ禍の影響を受けていない印象があります。

コロナ禍で個人の意識も変わってしまっていると思います。 例えば、手を洗う回数は増えたし、密になるところは自然と避けるような行動は当たり前になっている。

実際、弊社でもコロナ禍以前に比べて毎月の応募者は約2倍ほどに増えています。 これは感染への不安や価値観の変化があって、今後もリモートワークを希望して転職してくる人が増えています。

つまりパンデミックが一定期間続いて、個人の意識が変わって、新しい価値観が根付いたわけですが、まだ元に戻る前提で運営している企業も多いと思います。

三田キャスター:
中小企業は資金面などで限りがあるので、新たな成長を求めて設備投資に踏み切るにはやはり行政や金融機関が背中を押してあげる必要がありそうですね?

「キャスター」取締役CRO・石倉秀明さん:
感染拡大が始まった2020年は緊急事態だったので、雇用調整助成金や持続化給付金で止血するのは良かったと思いますが、この2つはあくまでも一時的にしのぐことを目的としたものだと思います。

いま政府が支援すべきは、今後元に戻ることは無いという前提で、その状況下でも強い業態だったり、デジタルへの投資を行うことをもっと声高に推奨したり、自らも変化していってリーダーシップを取ることだと思います。

また資金の投下先に対しても、業態変換やデジタル投資が進むようなお金の配り方、支援の仕方が求められると思います。
今からでも遅くないと思うので、ウィズコロナ時代に合った事業変化を促すアナウンスを積極的にすることが大事だと思います。

三田キャスター:
日本の中小企業を設備投資によって成長へとどのように導くのか、その支援策が問われています。

(「Live News α」5月31日放送分)