新型コロナウイルスの影響で増えた冷凍食品需要に対応すべく、横浜高島屋が人気総菜を冷凍して販売する「凍眠フードフェア」を開催。イベントではデパート初のサービスが行われている。

できたて総菜を急速冷凍して持ち帰り

1日100個売れるというメンチカツに老舗鶏肉店の焼き鳥丼など、ずらっと並ぶ冷凍食品。

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これらを売っているのは、“できたて総菜”が人気のデパ地下。コロナの影響で増えた冷凍食品需要に対応すべく、横浜高島屋が人気総菜を冷凍して販売する 「凍眠フードフェア」を開催している。

イベントでは、食料品フロアで買った品物を「液体凍結機」を使い、客自らが冷凍食品を作ることができる、デパート初の急速冷凍サービスを行っている。

冷凍方法は簡単。 指定された店舗で購入した商品を専用の袋に移し替え、その袋を担当者に渡し空気を抜いてもらったら、あとは、マイナス30度のアルコールが入った液体凍結機に入れるだけ。

この機械最大のメリットは通常の冷凍庫よりも早い時間で冷凍が可能なこと。

今島遥海ディレクター:
3~40分経ちましたがすごく硬く冷凍されています。

通常の冷凍庫は「冷たい空気」で凍らせるが、この機械で使うのは熱が伝わりやすい「液体」。 同じ温度でも通常の空気を使った冷凍庫と比べると約20倍の速さで冷凍が可能だ。

老舗総菜店のお肉や有名店のパンなどもサービスの対象になっていて、冷凍して持ち帰ることができる。

お客さん:
総菜だとその日じゃないとダメでしょ。冷凍だといつでもいただけますので。やっぱり助かります。老舗のお店の冷凍なのでおいしいし

また、急速冷凍にはこんなメリットも…

横浜高島屋 小泉博幸 食料品副部長:
急速に冷凍することで、(食材の)細胞が壊れないので解凍した後でも食感や新鮮味が冷凍する前とほとんど変わりません

さらに、冷凍保存ができるようになることで、消費期限を延ばすことができフードロス対策にもつながると期待されている。

いつでも簡単に食べられる冷凍食品戦略で、客にも環境にも優しい百貨店へ。「凍眠フードフェア」は5月31日まで行われる。

飲食店は冷凍宅配で全国に商圏拡大

Live News αではマーケティングアナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

内田嶺衣奈キャスター:
様々なグルメを冷凍して持ち帰ることができるということですが、このサービス、渡辺さんはどうご覧になりますか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
コロナ禍の巣篭もり需要やスーパーやコンビニ、ドラッグストアが売場を拡充したこともあり、2021年の家庭用冷凍食品市場は5.2%増で業務用冷凍食品を上回るなど好調に推移しています。今回の液体急速凍結の技術は解凍時の再現性が高く、様々なグルメを自宅で気軽に楽しめるということで私もよく利用していますが、特にこの技術は外食を提供する店舗などにとって、大きなビジネスチャンスになると思っています

内田嶺衣奈キャスター:
大きなビジネスチャンスとは具体的にはどういったことでしょうか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
通常、冷凍食品というのは専用の工場で製造しますが、今回の液体急速凍結機があれば、店舗内で料理を冷凍できるため、店舗自体が冷凍食品の工場になる。外食の店舗は、基本的には商圏が限られていて顧客数アップにも限界がありますが、冷凍の宅配を活用すれば商圏を日本全国に拡大することが可能となります。また顧客側から見ても自宅にいながら、外食でしか食べられないメニューを再現性の高い味で食べることができるメリットも感じます

内田嶺衣奈キャスター:
確かに私たち利用者にとっては選択肢が大きく広がりますね?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
冷凍食品はスーパーでの安売り商品の位置付けだったり、ストックしておくことが基本でしたが、この取り組みはラインナップを高級品に拡大させるとともに、買ってすぐに食べる「即食」にも幅を広げています。また希少性のある商品の展開も可能なため、価格競争に巻き込まれない『ここでしか買えない商品』の展開も可能となります。実際に山口県の酒造メーカーの「獺祭」などはこの技術を使って普段は蔵でしか飲めないしぼりたての日本酒を提供していて、飲食物などの価値を最大限に引き出すため活用も始まっています。この技術は日本のみならず世界でも展開できる、そんな可能性を秘めていると思います

内田嶺衣奈キャスター:
日本酒のしぼりたてやパンの焼き立てなど、その瞬間、その場でしか味わえないおいしさを自宅で気軽に楽しめる日がすぐそこまで来ていますね。私たちの日常をより豊かにしてくれそうです

(「Live News α」5月26日放送分より)